マイアセットアロケーションを肴に語る(その3) ああ、悩ましい外貨比率

水瀬ケンイチ

前回の記事、
マイアセットアロケーション
マイアセットアロケーションを肴に語る(その1) ポートフォリオが非常識な理由
マイアセットアロケーションを肴に語る(その2) 高い株式比率について
の続きです。

現在のポートフォリオは、約70%が外貨建てです。

外貨比率70%。ポートフォリオが非常識に見える要因は、なんといってもココではないでしょうか。
僕も我ながら、おいおいちょっと極端じゃないのか!?とも思います。外貨比率については、資産運用における、僕の最大の悩みと言っても過言ではありません。
現在のポートフォリオは、常に高い為替リスクに晒されています。為替リスクとは、為替レートが円安になると儲かるけど、円高になると損をするというリスクです。いくら株価が上昇しても、円高になったら利益がに帳消しされてしまうこともあります(もちろん、その反対も大いにありえますが)。為替リスクを避け、日本株しかやらないという方も多いと聞きます。

では、ポートフォリオにおいて、どれくらいの外貨比率ならよいのでしょうか。
外貨比率について、いくつか各種投資本を紐解いてみると、以下のような感じでした(解釈が間違っていたらごめんなさい)。

○「ウォール街のランダム・ウォーカー」(バートン・マルキール著)の場合
・ポートフォリオ全体の外貨比率については明確な言及なし。
・但し、水瀬の解釈で計算すると、20代半ばの投資家で21.7%

「外貨比率」という切り口での解説はありませんでした。
しかしながら、「ライフサイクルに合わせた投資の手引き」(前回の記事でも参考として紹介しました)の中で、ポートフォリオが紹介されています。20代半ばの投資家のポートフォリオとして、現金5%、債券20%、株式65%、不動産10%とある中で、株式クラスについて、米国株を2/3、新興市場を含む外国株を1/3にと勧めています。ということは、株式クラス以外に外貨資産が含まれないと仮定すれば、ポートフォリオ全体の21.7%が外貨比率となります。同様に、30代後半から40代初めの投資家の場合は18.3%、50代半ばの投資家の場合は、11.3%、60代後半以降の投資家の場合は、0%と計算できました。
但し、米国における外貨比率なので、ドルとそれ以外の外貨の比率なのでご注意を。

○「内藤忍の資産設計塾 実践編」(内藤忍著)の場合
・「標準的なアセットアロケーション」として、外貨比率は40%に。

「一般的な傾向として日本の個人投資家は、日本株式に資産を配分し過ぎて株価リスクを取りすぎ、また外貨資産の保有比率が低く、為替リスクについてはリスクを取らなさすぎ」という筆者は、「標準的なアセットアロケーション」として、日本株式30%、日本債券10%、外国株式20%、外国債券20%、それ以外を20%と提唱しています。これだと、外貨比率は40%になります。
僕が知りうる限りでは、提唱する外貨比率がかなり高い部類だと思います。
○「お金がふえるシンプルな考え方」(山崎元著)の場合
・外貨建て資産は、「リスク資産の1/3くらい」。

筆者によると、「年金などを運用する機関投資家の配分を参考にすると、国内株式と外国資産の比率が2:1くらいの組み合わせならば、プロの資産配分と相当程度似ているといえます」と言っています。
機関投資家の世界でも、基本的に外貨比率は半分以下って感じなんでしょうかね。

○「投資戦略の発想法」(木村剛著)の場合
・為替リスクに慣れていない方であれば、10~20%が限度と考えるべき。

ちなみに、筆者は投資初心者向けに、国内株式、国債、外貨預金の3分割ポートフォリオを提唱しています。商品構成がシンプルで分かりやすいかもしれませんが、この部分については個人的にちょっと賛成しかねます。特に、外貨預金については、以前ブログでも商品性の欠陥を指摘させていただきました。今回の話とは関係ないので、ご興味がある方は、過去の記事「銀行で投資する人って、投資の勉強しているんですか?(後編)」をご参照のこと。


本によって、バラつきはあるものの、外貨比率は概ね20~30%程度を勧めるものが多いような気がしました。しかも、山崎氏の話によれば、機関投資家、つまり「プロ」の運用の世界でもそうなっているようです。
やはり、常識的には、外貨比率70%というのは、異常値と言えるのかもしれません。
では、そうであるにもかかわらず、いったいどうして、僕がこんなに高い外貨比率にしているのか?
その理由はまた次回に。

(次回に続く)

<ご参考>
参考文献(書名をクリックすると詳細画面へとリンクしています)
・「ウォール街のランダム・ウォーカー」(バートン・マルキール著)
・「内藤忍の資産設計塾 実践編」(内藤忍著)
・「お金がふえるシンプルな考え方」(山崎元著)
・「投資戦略の発想法」(木村剛著)
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Posted by水瀬ケンイチ