「投信、ネット購入広がる」という記事、よくよく見たら…

水瀬ケンイチ

投信のネット購入が広がっているそうです。

【日経新聞2011年2月4日夕刊1面より引用】
投信、ネット購入広がる ネット証券26%増 3メガ銀は6割増
個人投資家が投資信託をインターネット経由で購入する比重が増している。2010年4~12月の主要ネット証券3社の販売額は前年同期比26%増の2170億円と伸びたほか、3メガバンクも同65%増の950億円がネット経由での購入だった。店頭での購入と比べ手数料が低い点などが利用増の背景。金融機関も個人向け国債償還の受け皿として品ぞろえを拡充している。
【引用おわり】

新聞記事によると、投信のネット購入が、ネット証券で前年同期比26%増、3メガバンクも同65%増と勢いのある数字が並びます。
また、野村證券など証券大手では販売手数料を店頭より下げたり、メガバンクではネット専用投信を用意、三井住友銀行では昨年度の5倍に増える見通しだったり、ネット証券大手では09年以降投信販売を強化して2年でほぼ倍増させている、といった積極的な事例が並びます。
そして、「自分の判断で投信を購入する投資家が増えてきたこともネット販売増につながった」という銀行関係者の頼もしい言葉で記事は締めくくられています。

これを見ると、投信のネット購入もずいぶん浸透してきたんだなぁと思えます。
かくいう私も投資を始めた10年前から、ネット証券で投信などを購入しており、対面販売を使ったことがありません。
しかし、記事にさりげなく書いてあった次の数字を見てガクッときました。


「最近2年ではネット販売が伸び、投信販売全体の5%を占めるようになった」


え?5%?
先ほどの威勢の良い数字や事例は、投信販売全体のたった5%の中での出来事?
ということは、投信販売全体の95%は依然、対面販売ということかい。

新聞記事では、対面販売はリスクの説明などを受けられる一方、販売する金融機関側が手数料稼ぎの目的で回転売買を勧める弊害があると指摘しています。
投信の回転売買は、以前のブログ記事「続・知っておくべき日本の投資信託の黒歴史」でも指摘した証券業界の悪しき伝統です。

毎年、旬の新規投信が何本も設定され、販売会社の強力な営業力で何百億、何千億円と純資産を集めていることを考えると、金融機関側が売りたい投信を勧められて購入する投資家が多く、「自分の判断で投信を購入する投資家」はまだまだ少数派ということなのかもしれません。

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Posted by水瀬ケンイチ