長期パフォーマンスが優れた投資信託に共通する秘訣
水瀬ケンイチ
モーニングスターに「長期パフォーマンスが優れた投資信託に共通する秘訣」という興味深い記事が出ていました。
モーニングスター アナリストの視点(ファンド)
2011/02/08 長期パフォーマンスが優れた投資信託に共通する秘訣は?
詳しくは上記記事をご覧いただきたいのですが、追加型公募株式投信2,592本を対象に過去10年間の運用成績の分析を行ったものです。
1年や2年くらいパフォーマンスが良い投資信託ならたくさんあるでしょうが、10年間パフォーマンスが良い投資信託なんてあるのでしょうか?
また、そんな投資信託に共通する秘訣はあるのでしょうか?
ざっくりと記事をまとめると、以下のとおりです。
モーニングスター アナリストの視点(ファンド)
2011/02/08 長期パフォーマンスが優れた投資信託に共通する秘訣は?
詳しくは上記記事をご覧いただきたいのですが、追加型公募株式投信2,592本を対象に過去10年間の運用成績の分析を行ったものです。
1年や2年くらいパフォーマンスが良い投資信託ならたくさんあるでしょうが、10年間パフォーマンスが良い投資信託なんてあるのでしょうか?
また、そんな投資信託に共通する秘訣はあるのでしょうか?
ざっくりと記事をまとめると、以下のとおりです。
■運用成績の安定度が高いファンド(暦年トータルリターンがプラスとなった年数)
・10年中10年プラスになったファンド なし
・10年中9年プラスになったファンド 8本
・その特徴:(1)過去10年間高い成長率を示した国の株式に投資するファンド、(2)為替ヘッジも併用して運用する債券ファンド、(3)国内債券への投資比率の高いファンド
■類似ファンド分類平均に対する勝率の高いファンド(暦年のトータルリターンが類似ファンド分類平均を上回った回数)
・10年中10回上回ったファンド 1本
・10年中9回上回ったファンド 4本
・その特徴:明確な運用哲学やポートフォリオ構築方針を持っており、それらを運用において継続して実践していること
以上です。
この結果を見てどう考えるかですが、個人的には「厳しい現実だ」と思いました。
2,592本のファンドのうち、10年間ずっとパフォーマンスが良いファンドは1本あるかないかですから。
9年間良いものはあってもその数はたった1桁です。
それでも、1桁は長期パフォーマンスが優れた投資信託があることはあるので、その共通の秘訣はどうでしょう。
前段の「運用成績の安定度が高いファンド」については、(1)過去10年間高い成長率を示した国の株式に投資するファンド、とありますが、まず今後10年間ずっと高い成長率を示す国がどこなのかを当てることが難しい。
現在高成長を続けている中国は、このまま今後10年間も成長し続けるのでしょうか?インドは?ベトナムは?南アフリカは?エジプトは?
また、たとえ高い成長率を示したとしても、それがそのまま株価上昇につながるかと言えば、「成長の罠」(成長企業は過大評価されることが多いので投資家にとってのリターンが低くなることがある)に陥る可能性もあり、必ずしもそうとは言い切れません。
(2)為替ヘッジも併用して運用する債券ファンド、(3)国内債券への投資比率の高いファンド、とありますが、国内債券と為替ヘッジをした外国債券は概ね同じリターンになることが多いようです。その国内債券はリスクが低いので、安定度が高いファンドになるのは、ある意味当然のことです。
そして、ここ10年の相場環境では、「100年に一度」と言われたリーマン・ショックに大きく影響されているはずです。あの時、ほぼ全てのアセットクラスが下落する中、唯一プラスになったのが国内債券でした。
運用成績の安定度については相場環境の影響を受けていることが、記事の中でも指摘されています。
では、その相場環境の影響を除外するために行なった、後段の「類似ファンド分類平均に対する勝率の高いファンド」についてはどうでしょうか。
秘訣として、「明確な運用哲学やポートフォリオ構築方針を持っており、それらを運用において継続して実践していること」と言われても、なんとも抽象的過ぎて困ってしまいます。
目論見書を見れば、一応殆どのファンドが投資哲学らしきものをうたい、ポートフォリオ構築方針を持っています。
2,592本のファンドの中から数本を選び出すほど決定的な違いを見出せるのか、大いに疑問です。
この記事を見る限り、長期パフォーマンスが優れた投資信託を探し出すのは、至難の業のように感じます。
もちろん、そのようなファンドは今までもあったし、今後も出てくることは確かだと思います。
しかし、それを事前に選び出せるかというと、殆ど「運」レベルのような気がします。
・10年中10年プラスになったファンド なし
・10年中9年プラスになったファンド 8本
・その特徴:(1)過去10年間高い成長率を示した国の株式に投資するファンド、(2)為替ヘッジも併用して運用する債券ファンド、(3)国内債券への投資比率の高いファンド
■類似ファンド分類平均に対する勝率の高いファンド(暦年のトータルリターンが類似ファンド分類平均を上回った回数)
・10年中10回上回ったファンド 1本
・10年中9回上回ったファンド 4本
・その特徴:明確な運用哲学やポートフォリオ構築方針を持っており、それらを運用において継続して実践していること
以上です。
この結果を見てどう考えるかですが、個人的には「厳しい現実だ」と思いました。
2,592本のファンドのうち、10年間ずっとパフォーマンスが良いファンドは1本あるかないかですから。
9年間良いものはあってもその数はたった1桁です。
それでも、1桁は長期パフォーマンスが優れた投資信託があることはあるので、その共通の秘訣はどうでしょう。
前段の「運用成績の安定度が高いファンド」については、(1)過去10年間高い成長率を示した国の株式に投資するファンド、とありますが、まず今後10年間ずっと高い成長率を示す国がどこなのかを当てることが難しい。
現在高成長を続けている中国は、このまま今後10年間も成長し続けるのでしょうか?インドは?ベトナムは?南アフリカは?エジプトは?
また、たとえ高い成長率を示したとしても、それがそのまま株価上昇につながるかと言えば、「成長の罠」(成長企業は過大評価されることが多いので投資家にとってのリターンが低くなることがある)に陥る可能性もあり、必ずしもそうとは言い切れません。
(2)為替ヘッジも併用して運用する債券ファンド、(3)国内債券への投資比率の高いファンド、とありますが、国内債券と為替ヘッジをした外国債券は概ね同じリターンになることが多いようです。その国内債券はリスクが低いので、安定度が高いファンドになるのは、ある意味当然のことです。
そして、ここ10年の相場環境では、「100年に一度」と言われたリーマン・ショックに大きく影響されているはずです。あの時、ほぼ全てのアセットクラスが下落する中、唯一プラスになったのが国内債券でした。
運用成績の安定度については相場環境の影響を受けていることが、記事の中でも指摘されています。
では、その相場環境の影響を除外するために行なった、後段の「類似ファンド分類平均に対する勝率の高いファンド」についてはどうでしょうか。
秘訣として、「明確な運用哲学やポートフォリオ構築方針を持っており、それらを運用において継続して実践していること」と言われても、なんとも抽象的過ぎて困ってしまいます。
目論見書を見れば、一応殆どのファンドが投資哲学らしきものをうたい、ポートフォリオ構築方針を持っています。
2,592本のファンドの中から数本を選び出すほど決定的な違いを見出せるのか、大いに疑問です。
この記事を見る限り、長期パフォーマンスが優れた投資信託を探し出すのは、至難の業のように感じます。
もちろん、そのようなファンドは今までもあったし、今後も出てくることは確かだと思います。
しかし、それを事前に選び出せるかというと、殆ど「運」レベルのような気がします。
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