銀行顧客が投信に回帰というけれど 【追記あり】

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今日の日経新聞夕刊1面トップに、「銀行顧客 投信に回帰」という記事が出ています。

【日経新聞2011年2月18日夕刊1面より引用】
銀行顧客 投信に回帰
銀行窓口での投資信託の販売が回復してきた。2010年の販売額は7兆5368億円となり、前年比で7割増えた。低金利が続くなかで預金残高の伸びが鈍り、顧客が相対的に高い利回りが期待できる投信へと資金を振り向けている。
【引用おわり】

見出しには「昨年の窓販7割増、伸び最大」「預金以外に資産分散」「新興国型が人気」という言葉が並び、記事の大半はこの現象を好意的に捉えているようでした。
たしかに、リーマン・ショック後、元本割れリスクがない銀行預金に集まっていたお金が、投信に戻ってきているようです。

ただ、気になるグラフが記事の真ん中に出ていました。

銀行経由の投信販売動向のグラフ
(日経新聞2011年2月18日夕刊1面より)

銀行を経由した投信の販売動向として、販売額と資産残高がグラフになっています。
あれ?
09年から10年にかけて、販売額は伸びているけど、資産残高は伸びていない。いや、少し減っていないか?
もしかして…。
記事の最後にはこう書かれていました。

「外貨建ての商品で円高による目減りがあるものの、販売額が増加するなかで残高は横ばいで、手数料を増やすために商品の乗り換えを促しているとの声が出ている」

銀行経由投信全体のアセットクラスの内訳が分からないので相場の影響については何とも言えない部分はありますが、少なくとも、販売額が7割伸びたのに残高が減ってるというのは、少しおかしい気がします。
記事が指摘している手数料目的の商品乗り換え促進は、投資家が保有している投信を売却させて新しい商品を購入させる、いわゆる「投信の回転売買」です。
これは、かつて証券会社が販売手数料を荒稼ぎするために行なっていた(今も行なっている?)、日本の投信の悪しき伝統です。
それが銀行でも行なわれているとするなら、暗澹たる気持ちになります。
<ご参考>
2011/01/29 続・知っておくべき日本の投資信託の黒歴史

それでも、投資家本人が理解・納得して買っているならいいと思います。
しかし、売れているのが「通貨選択型」の「新興国債券投信」となると、それも甚だ疑問です。
一般に新興国債券は高い金利が魅力のようですが、金利平価説によると、金利が高い国の通貨は先々減価する傾向にあると言われています。
また、通貨選択型投信は、投資対象資産のリターン、為替ヘッジプレミアムによるリターン、選択通貨の値上がりによるリターンの3つの収益獲得を目指した複雑な商品です。

これらの仕組みとバランスが理解できるかた以外は、いくら銀行員に勧められても、よく言われる「自分が理解できないものには投資しない」という原則に従っておいた方がいいかもしれません。


<追記>2011/02/19
ブログをアップした後のツイッターでのやりとりで、実は、日経新聞2011年2月18日夕刊1面トップの「第1版」には、記事最後の「外貨建ての商品で円高による目減りがあるものの、販売額が増加するなかで残高は横ばいで、手数料を増やすために商品の乗り換えを促しているとの声が出ている」のくだりが記載されていないことが分かりました(ちなみに私の手元にあるのは「第4版」)。
記者さんが「最後の良心」で後から付け加えたのか、批判回避の言い訳として「リスクヘッジ」したのかはわかりませんが、こんなこともあるんですね。
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