「賢い芸人が焼き肉屋を始める理由」(岡本和久著)は珍しい和風投資本

水瀬ケンイチ

「賢い芸人が焼き肉屋を始める理由」(岡本和久著)を読みました。
本書は題名こそ奇抜ですが、投資の基本をしっかりと、かつ「和風」に伝える真面目な投資本でした。

賢い芸人が焼き肉屋を始める理由 投資嫌いのための「和風」資産形成入門 (講談社プラスアルファ新書)賢い芸人が焼き肉屋を始める理由 投資嫌いのための「和風」資産形成入門 (講談社プラスアルファ新書)
岡本 和久
講談社 2011-01-21
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今までいろいろな投資本を読んできましたが、その多くが欧米の投資理論を紹介する内容でした。
それが悪いわけではありませんが、本書はそれを「和風」で紹介する新しい試みをしています。

特に興味深かったのは、第3章『お金を育てる「和風」資産運用の考え方』です。
日本人のメンタリティを日本史に絡めて説明しています。
具体的には、農耕民族ゆえの長所として、

①種を蒔く重要性を知っている
②「おかげさま」を大事にする
③「和」を尊ぶことができる
④「知足」を知っている
⑤「永代」の時間感覚がある

をあげ、投資の基礎である「長期投資」「国際分散投資」「インデックス投資」「低コスト」というスタイルが日本人に合っていることを解説しています。
逆に日本人ゆえの弱点として、

①内向き発送の島国根性が強い
②「根拠なき楽観」に支配される
③収穫しなければ気が済まない
④団体行動が好き
⑤お金に偏見がある

をあげ、「国内集中投資」「預貯金偏重」「毎月分配型投信への偏向」「人気投信に集中」「資産運用に真剣でない」という状況を戒めています。

後半では、一転して具体的になり、推奨アセットアロケーションやインデックスファンド銘柄名、積立投資方法、モニタリングとリバランス等についてコンパクトに解説されています。
ただ、主にリターンについては分かりやすく解説されていましたが、リスクについての記述があまりないのが少し気がかりです。
国際分散投資もインデックス投資も、リターンを上げることよりもリスクを減らすことに主眼に置いた投資法だと思います。

本書により、投資未経験者の資産運用に対するハードルが下がりやる気になると思いますので、その次に本格的投資本に進んでほしいなと思いました。
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Posted by水瀬ケンイチ