日経、またもやしょーもない「利回り比較表」
水瀬ケンイチ
今朝の日経新聞4面に、「満期マネー 安全志向」という記事が出ていました。
記事をひと言でまとめると、「1月から始まった個人向け国債の大量償還に対して、金融機関は投信への資金流入を期待していたが、ふたを開けてみたら預貯金・国債が多くて肩透かしだった」という内容でした。
内容自体は「ああそうですか」という程度なのですが、その記事に「主な個人向け低リスク型金融商品の利回り」という比較表が出ていたのが目にとまりました。
その「利回り比較表」では、定期預金、定額貯金、個人向け国債、国内債券型投信を「利回り」という言葉で括って比較していました。
去る1月14日、私はブログ記事で、日経新聞の「利回り比較表」がひどいというとことを取り上げました。
<該当記事>
2011/01/14 利回りの比較?
その表では、投信、社債、株、国債、定期預金を「利回り」という言葉で括り比較していました。
それぞれの商品の「利回り」は、投信は公募投信の平均分配金利回り、社債は明記されてませんがおそらく昨年発行の利率、株は東証1部平均の配当利回り、国債は昨年10月発行の3年債と10年債の利率、定期預金はメガバンク1年物の利率という、期間もバラバラだし、元本固定の商品と変動する商品を一緒くたにしているし、投信の分配金利回りなどという珍妙なものを利回りとして並べていたりと、とにかくひどいものでした。
コメントにも「これはひどい」という内容が並びました。
ちなみに、山崎元氏も週刊ダイヤモンドのコラム「山崎元のマネー経済の歩き方」で「利回り比較にだまされるな!」というタイトルで同様の指摘をされていました。
そして今日、またもや日経新聞に「利回り比較表」が出ていたので、がっくりきました。

(日経新聞2011年2月24日朝刊より引用)
ただ、今回の比較表は、いまだにおかしな点はあるものの、若干の「改善」が見て取れます。
まず、定期預金、定額貯金、個人向け国債の3商品に関しては、期間を3年に揃えています。(前回は1年物や3年物や10年物まで期間はバラバラでした)
そして、国内債券型投信の「分配金利回り」には注記が付いています。そこには、
「投信の分配金利回りは過去1年の分配金支給額を基準価格で割って算出。運用損益とは異なる」
と書かれています。
前回に比べれば少しマシになったと言えるかもしれません。
しかし、やはり元本が固定の商品と変動する商品を「利回り」で比較するのは間違っていると思います。
前出の山崎氏の言葉を借りれば、投信の分配金利回りは「元本の値下がり損を考慮していない「直利(ちょくり)」だろう。直利をもって「利回り」と称し、投信が有利な投資対象であるかのような記事を書くのは不正確だ」ということになると思います。
注記に「運用損益とは異なる」などという苦しい言い訳を書くくらいなら、そんな比較はやめればいいのにと思うのですが、どうしても投信を有利に見せたいのでしょうか。
困ったものですね。
記事をひと言でまとめると、「1月から始まった個人向け国債の大量償還に対して、金融機関は投信への資金流入を期待していたが、ふたを開けてみたら預貯金・国債が多くて肩透かしだった」という内容でした。
内容自体は「ああそうですか」という程度なのですが、その記事に「主な個人向け低リスク型金融商品の利回り」という比較表が出ていたのが目にとまりました。
その「利回り比較表」では、定期預金、定額貯金、個人向け国債、国内債券型投信を「利回り」という言葉で括って比較していました。
去る1月14日、私はブログ記事で、日経新聞の「利回り比較表」がひどいというとことを取り上げました。
<該当記事>
2011/01/14 利回りの比較?
その表では、投信、社債、株、国債、定期預金を「利回り」という言葉で括り比較していました。
それぞれの商品の「利回り」は、投信は公募投信の平均分配金利回り、社債は明記されてませんがおそらく昨年発行の利率、株は東証1部平均の配当利回り、国債は昨年10月発行の3年債と10年債の利率、定期預金はメガバンク1年物の利率という、期間もバラバラだし、元本固定の商品と変動する商品を一緒くたにしているし、投信の分配金利回りなどという珍妙なものを利回りとして並べていたりと、とにかくひどいものでした。
コメントにも「これはひどい」という内容が並びました。
ちなみに、山崎元氏も週刊ダイヤモンドのコラム「山崎元のマネー経済の歩き方」で「利回り比較にだまされるな!」というタイトルで同様の指摘をされていました。
そして今日、またもや日経新聞に「利回り比較表」が出ていたので、がっくりきました。

(日経新聞2011年2月24日朝刊より引用)
ただ、今回の比較表は、いまだにおかしな点はあるものの、若干の「改善」が見て取れます。
まず、定期預金、定額貯金、個人向け国債の3商品に関しては、期間を3年に揃えています。(前回は1年物や3年物や10年物まで期間はバラバラでした)
そして、国内債券型投信の「分配金利回り」には注記が付いています。そこには、
「投信の分配金利回りは過去1年の分配金支給額を基準価格で割って算出。運用損益とは異なる」
と書かれています。
前回に比べれば少しマシになったと言えるかもしれません。
しかし、やはり元本が固定の商品と変動する商品を「利回り」で比較するのは間違っていると思います。
前出の山崎氏の言葉を借りれば、投信の分配金利回りは「元本の値下がり損を考慮していない「直利(ちょくり)」だろう。直利をもって「利回り」と称し、投信が有利な投資対象であるかのような記事を書くのは不正確だ」ということになると思います。
注記に「運用損益とは異なる」などという苦しい言い訳を書くくらいなら、そんな比較はやめればいいのにと思うのですが、どうしても投信を有利に見せたいのでしょうか。
困ったものですね。
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