「震災後のお金の救急ナイト」体験記 その2
水瀬ケンイチ
前回の記事『「震災後のお金の救急ナイト」体験記 その1』の続きです。
・ミュージックセキュリティーズの「セキュリテ被災地応援ファンド」の紹介(小松) ※詳しくはこちらのサイトを参照
・寄付は金銭的リターンがない投資。資金が何に使われたかを投資家にきちんと報告
・先日も被災地へお金を届けに行ったが、事業者の方々は既に気持ちが切り替わっていて、事業運営する上でこのタイミングでの資金は大変有難いと言われた
・ファンドに集まったお金の半分は寄付、半分は投資となる。金銭的に見ると割に合わないが、被災地を応援したいという人がお金を出してくれている
ここで水瀬所感。
「セキュリテ被災地応援ファンド」は、投資商品としてというよりも、助けてほしい人と助けたい人を素早くマッチングさせ、その後も継続的に応援できる仕組みとして有効だと思いました。
ただ、ファンドと名前は付いていますが、スキームは匿名組合契約であり、投資信託とは大きく異なります。投資信託にはない様々なリスク(流動性リスクや各種信用リスクなど)があるので、投資を考えられているかたは商品性をよく理解してから投資された方がよいと思います。
・ミュージックセキュリティーズの「セキュリテ被災地応援ファンド」の紹介(小松) ※詳しくはこちらのサイトを参照
・寄付は金銭的リターンがない投資。資金が何に使われたかを投資家にきちんと報告
・先日も被災地へお金を届けに行ったが、事業者の方々は既に気持ちが切り替わっていて、事業運営する上でこのタイミングでの資金は大変有難いと言われた
・ファンドに集まったお金の半分は寄付、半分は投資となる。金銭的に見ると割に合わないが、被災地を応援したいという人がお金を出してくれている
ここで水瀬所感。
「セキュリテ被災地応援ファンド」は、投資商品としてというよりも、助けてほしい人と助けたい人を素早くマッチングさせ、その後も継続的に応援できる仕組みとして有効だと思いました。
ただ、ファンドと名前は付いていますが、スキームは匿名組合契約であり、投資信託とは大きく異なります。投資信託にはない様々なリスク(流動性リスクや各種信用リスクなど)があるので、投資を考えられているかたは商品性をよく理解してから投資された方がよいと思います。
・有事の際の投資行動をリスト化しているアクティブ投資家を取材した。揺れている最中にリストに基づきPCでトレードしていた(羽生)
・今回の震災で日本リスクが顕在化した。円を貯蓄する極端に円に偏ったポートフォリオ、仕事も日本人相手、年金も国債に多く投資している(内藤)
・日本には教育リスクもある。東大ブランドの陳腐化についてブログに書いたら反響が大きかった。世界の大学ランキングで見ても日本の大学は評価が低い(内藤)
・日本の新聞だけを見ているといいことしか書かないので日本は素晴らしいと思ってしまうが、海外からはくそみそに言われている。エコノミスト誌では日本は人をがっかりさせる驚異的な能力があるとまで(宮本)
・過去の株価で見ても、アメリカや中国のインデックスにドルコスト平均法で20年積み立てたら結構得をしてる。日本株のインデックス投資に意味はあるのかと疑問を持っている(宮本)
・日本株低迷の理由は3つ。①人口減(50%)、②日銀の誤った金融政策(30%)、③利益を出せない日本的企業経営(20%)。今後も変わらないと思う(宮本)
・宮本さんの会社はボストンにあり、外国の運用会社はだいたい日本をこう見ていると思ってほしい(内藤)
・少しムカっとしている。日本的経営を強みとして、人を切らないでうまくやっている会社もある(安原)
・日経平均はバブル頂点から77%下落したが、その中でもニトリは騰落率1259%、ヤマダ電機は814%、久光製薬など株価が大きく上昇している企業もある。個別株を選別できるのならその方がインデックスより儲かる確率は高い(深野)
・よい個別株をピックするのは我々プロでも簡単な仕事ではない(宮本)
・日本の価値観を変えるチャンスにある。例えば東電の処理をどうするのかで日本の未来がわかるかもしれない。ここでだめなら日本株を全て売るかもしれない。日本を助けることと資産を守ることは別(内藤)
・みんなで力を合わせればと言うが、みんなで同じことをやってきたからこんなことになってしまったのではないか。人と違う意見を言ったり聞いたりできることが必要(内藤)
・日本株インデックス100%ではなく、時代に合わせていろいろな企業や国に分散してリスクコントロールできる人がお金持ちになっていくのでは(羽生)
ここで水瀬所感。
日本に対する悲観論が続出しました。
しかし、聞いていて少し論点がごっちゃになっていたように思います。
全体的には日本に対する悲観論なのですが、話を整理すると
・個人の問題(みんな同じ内向きの価値観・日本偏重の資産配分)
・企業の問題(人を切れない日本的経営・いいことしか言わないマスコミ)
・国の問題(人口減・日銀の金融政策)
に分かれるところ、それらを一緒くたにして、ある人は日本人という意味で、ある人は日本企業という意味で、ある人は日本国という意味で、それぞれ「日本はダメだ」とたたみかけてあまり議論が深まらないうちに、「だから日本株はダメだ」と帰結してしまっていたように思います。
私は日本株に強気かというとそうではありませんが、この話を聞いていて「日本」の(と対象範囲を広げて)あら探しをしただけで終わってしまった感があって少し残念でした。
国レベルや企業レベルの問題を解決することは難しいのかもしれませんが、個人レベルの問題には処方箋があったように思います。
ちょっと辛口になってしまいましたが、震災イベントであるからこそ、ダメ出しのその次、前を向いて生きていくための「知恵」の方をもっと聞きたかったし、今回の出演者たちならそれができたのではないかと思ったので、率直に書かせていただきました。お気を悪くされたら申し訳ございません。
この後、会場との質疑応答がありました。
「生活防衛資金は生活費の何ヶ月分必要か?」の質問に対して深野氏から「4ヶ月。理由は失業手当が出るまでの3ヵ月にプラス1ヶ月の余裕がほしいから。ただし、35歳以上は転職が極端に厳しくなるので1歳につき1ヶ月分を増やすべき(50歳で19ヶ月分)」との回答があり、なるほどそういう考えもあるのかと思いました。
他は、「今後日本国債はどうなるか?」「Jリートはどうか?」という相場観の話だったので割愛させていただきます。
なお、当日の売り上げの一部は東日本大震災被災地へ寄付されるとのことです。
(レポートおわり)
・今回の震災で日本リスクが顕在化した。円を貯蓄する極端に円に偏ったポートフォリオ、仕事も日本人相手、年金も国債に多く投資している(内藤)
・日本には教育リスクもある。東大ブランドの陳腐化についてブログに書いたら反響が大きかった。世界の大学ランキングで見ても日本の大学は評価が低い(内藤)
・日本の新聞だけを見ているといいことしか書かないので日本は素晴らしいと思ってしまうが、海外からはくそみそに言われている。エコノミスト誌では日本は人をがっかりさせる驚異的な能力があるとまで(宮本)
・過去の株価で見ても、アメリカや中国のインデックスにドルコスト平均法で20年積み立てたら結構得をしてる。日本株のインデックス投資に意味はあるのかと疑問を持っている(宮本)
・日本株低迷の理由は3つ。①人口減(50%)、②日銀の誤った金融政策(30%)、③利益を出せない日本的企業経営(20%)。今後も変わらないと思う(宮本)
・宮本さんの会社はボストンにあり、外国の運用会社はだいたい日本をこう見ていると思ってほしい(内藤)
・少しムカっとしている。日本的経営を強みとして、人を切らないでうまくやっている会社もある(安原)
・日経平均はバブル頂点から77%下落したが、その中でもニトリは騰落率1259%、ヤマダ電機は814%、久光製薬など株価が大きく上昇している企業もある。個別株を選別できるのならその方がインデックスより儲かる確率は高い(深野)
・よい個別株をピックするのは我々プロでも簡単な仕事ではない(宮本)
・日本の価値観を変えるチャンスにある。例えば東電の処理をどうするのかで日本の未来がわかるかもしれない。ここでだめなら日本株を全て売るかもしれない。日本を助けることと資産を守ることは別(内藤)
・みんなで力を合わせればと言うが、みんなで同じことをやってきたからこんなことになってしまったのではないか。人と違う意見を言ったり聞いたりできることが必要(内藤)
・日本株インデックス100%ではなく、時代に合わせていろいろな企業や国に分散してリスクコントロールできる人がお金持ちになっていくのでは(羽生)
ここで水瀬所感。
日本に対する悲観論が続出しました。
しかし、聞いていて少し論点がごっちゃになっていたように思います。
全体的には日本に対する悲観論なのですが、話を整理すると
・個人の問題(みんな同じ内向きの価値観・日本偏重の資産配分)
・企業の問題(人を切れない日本的経営・いいことしか言わないマスコミ)
・国の問題(人口減・日銀の金融政策)
に分かれるところ、それらを一緒くたにして、ある人は日本人という意味で、ある人は日本企業という意味で、ある人は日本国という意味で、それぞれ「日本はダメだ」とたたみかけてあまり議論が深まらないうちに、「だから日本株はダメだ」と帰結してしまっていたように思います。
私は日本株に強気かというとそうではありませんが、この話を聞いていて「日本」の(と対象範囲を広げて)あら探しをしただけで終わってしまった感があって少し残念でした。
国レベルや企業レベルの問題を解決することは難しいのかもしれませんが、個人レベルの問題には処方箋があったように思います。
ちょっと辛口になってしまいましたが、震災イベントであるからこそ、ダメ出しのその次、前を向いて生きていくための「知恵」の方をもっと聞きたかったし、今回の出演者たちならそれができたのではないかと思ったので、率直に書かせていただきました。お気を悪くされたら申し訳ございません。
この後、会場との質疑応答がありました。
「生活防衛資金は生活費の何ヶ月分必要か?」の質問に対して深野氏から「4ヶ月。理由は失業手当が出るまでの3ヵ月にプラス1ヶ月の余裕がほしいから。ただし、35歳以上は転職が極端に厳しくなるので1歳につき1ヶ月分を増やすべき(50歳で19ヶ月分)」との回答があり、なるほどそういう考えもあるのかと思いました。
他は、「今後日本国債はどうなるか?」「Jリートはどうか?」という相場観の話だったので割愛させていただきます。
なお、当日の売り上げの一部は東日本大震災被災地へ寄付されるとのことです。
(レポートおわり)
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