何故、リレー投資によってドルコスト平均法の効果がなくなると思ってしまうのか?

水瀬ケンイチ

前回の記事、『「ちょっと投資心をくすぐるドルコスト平均法」6月分の投資を実行』のなかで小話的に、何故か定期的に寄せられるリレー投資に関する「不思議な質問」について取り上げました。
すると、予想外に「私もそう思っている(思っていた)」というご意見が多く寄せられました。

その質問とは、「リレー投資をしたら、せっかく積み立てたドルコスト平均法の効果がなくなってしまうのではないですか?」というもの。
返答としては、「そんなことはありません」であり、コメントへのレスではその理由を詳しく説明しました。
幸い、大方のかたにはご理解いただけたようで、よかったです。

でも、自分としては、何故そこを疑問に思うのかが相変わらず理解できないままでいました。
しかし、読者の方々から寄せられた多くのコメントを見ているうちに、理由が分かってきたような気がしました。
その理由とは……

「証券会社のポートフォリオ管理画面に表示されている損益状態(プラス○%、マイナス○%)でしか、自分の運用損益を把握していない人が多くいるからではないか」

というものです。

ちょっと昔話をしていいですか。
私は、最初からインデックス投資家だったわけではなく、もう10年以上前になりますが、日本の個別株をデイトレードしたりスイングトレードしたりしていた時期があります。

その時は、頻繁に株式を売買を繰り返していたので、証券会社のポートフォリオ管理画面の損益状態など、その時点でのスナップショットに過ぎず、あまり重視していませんでした。ポートフォリオ管理画面の銘柄なんて日々どんどん入れ替わっていましたし。
そんなものより重視していたのは、自分が証券会社に入金した額(投資額)に対して、証券口座全体(待機資金のMRFも含む)の合計額が、プラスになっているかどうかであり、そこだけが運用の成否を示していました。

一方で、投資経験の最初からインデックス投資(積み立て投資)をしている方々は、ファンドを積み立てる経験はあっても、売却するという経験がないかたがいてもおかしくありません。
(誤解のないよう申しあげておきますが、これは全然悪いことではありません。むしろバイ&ホールドを貫いていて素晴らしいと思います)

そういう方々は、証券口座のポートフォリオ管理画面の損益が、自分の運用損益と完全一致している状態であるはずです
だから、自分の損益状況は、ポートフォリオ管理画面を見るだけで、事足りていたのだと思われます。

いざ、リレー投資で、インデックスファンドを売却してETFを購入した場合、たとえそれが等価な商品への乗り換えであったとしても、証券口座のポートフォリオ管理画面上の損益は、「プラスマイナス0」に戻ってしまいます。
売買を経験している人たちのように、証券会社に入金した額(投資額)と証券口座全体(MRFも含む)の合計額と比べるという作業をすれば、リレー投資後の利益(損失)は変わらないということは、自然に理解できるはずです。

しかしながら、今まで積み立てしかしていない方々は、ポートフォリオ管理画面でしか運用損益状況を見てこなかったので、そこで混乱して、せっかく出ていた利益がなくなってしまうような錯覚にとらわれてしまうのではないか。
それが、「せっかく積み立ててきたドルコスト平均法の効果がなくなってしまう」と勘違いしてしまう理由なのではないかという仮説です。

これは私にとって盲点でした。
前回のブログ記事に対していただいたコメントなかで、虫取り小僧さんからいただいたコメントを見て、ハッとさせられました。
これは、自分のような紆余曲折を経てインデックス投資にたどり着いた「雑食」インデックス投資家よりも、「純粋」なインデックス投資家ほど勘違いしやすいという罠と言えそうです。
自分の経験を中心に考えるあまり、人によって運用損益状況の確認方法が違う(かもしれない)ということに、思い至らなかったことが、恥ずかしいです。

今日のブログ記事が、「リレー投資によってドルコスト平均法の効果がなくなるということはない」という理解の一助になれば幸いです。

P.S
本記事の解釈は、あくまでひとつの仮説であり、すべてのかたがこの理由によって「リレー投資によってドルコスト平均法の効果がなくなる」と勘違いしていると決め付けているわけではありません。勘違いの要因として大きそうだと推測しているというだけであります。
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Posted by水瀬ケンイチ