チャールズ・エリス氏セミナーレポート(その2)

水瀬ケンイチ

チャールズ・エリス氏セミナーレポート(その1)」の続きです。
繰り返しになりますが、内容については、水瀬の主観による省略やまとめが含まれますことをご了承ください。

■行動経済学
・直近の結果にとらわれる
・確証バイアス
・「知ってる」ことと「理解している」ことの混同
・ニュースへの過剰反応。平常状態の無視
・最近の出来事を過剰にウェイト付けする
→私たち人間は、まったく合理的ではない

(水瀬コメント)
エリス氏の口から行動経済学の話が出るとは、時代の流れを感じます。
投資家がインデックスに勝てない理由を、補完するような位置づけで話しているように感じました。

ちなみに、行動ファイナンスでは、直近の結果にとらわれることを「直近偏向」といい、逆に「確証バイアス」とは、先入観に基づいて自分に都合のいい情報だけを集めて自己の先入観を補強することをいいます。「知ってることと理解していることの混同」は……一般的な人生訓のようにも思えますが、しいて言えば認知的不協和の「親密性」(よく知っている銘柄に投資してしまうこと)のことかな?初めて聞いたのでよく分かりません。

■全ての投資家は平等
・選択の自由
・選択の重要性を知る
・選択肢はとても多い
・投資家はそれぞれ違う(期間・義務・目標・技能・制約・リスク許容度・説明責任)

■ゲームの難易度
・レベルA:長期の目標とアセットミックス
・レベルB:株式ミックス(成長株・安定株・その他)
・レベルC:アクティブ対パッシブ
・レベルD:運用会社選択
・レベルE:銘柄選択

(水瀬コメント)
全ての投資家は多様な選択肢を持ち平等とも言えるが、投資家は皆それぞれ違う。
重要なのは、それぞれの「長期の目標とアセットミックス(アセットアロケーション)」であり、銘柄選択などは一番最後扱い、ということだと思います。
レベルAからEまでの順番が、まったく逆になっている投資家が多そうです。

■キーナンバー(最高機密)
×××

(水瀬コメント)
エリス氏に「これは最高機密なのでメモしないでほしい」と言われたので割愛させていただきます。
私は頭の中にメモしました。

■私たちの責任
・自分自身を知る
・投資目標を明確に定める
・戦略的ポートフォリオを決定
・選択する
・みだりに方針を変えない
・フォルスタッフの名言「自らに誠実であれ」

(水瀬コメント)
「自分自身を知る」ということを強調されていました。フォルスタッフ(シェークスピアに出てくる人物)の名言も同じことを言っています。個人的には、投資の目的やリスク許容度をしっかり把握することなのかなと思いました。
「みだりに方針を変えない」の部分も力説していました。「それができないのなら、投資すべきではない」とまで言っていましたよ。

■投資方針の設定
・市場の現実と自分自身に適したもの
・書き出す
・トミー・アーマーの教訓(内容失念。申し訳ありません…)

■戦略的ポートフォリオの決定
・年1回のテスト
・結果測定

■運用会社選択の方法
・コンサルのデータに強い
・運用会社とは次々とデートしない
・小売業の教訓。バイヤーに実力者、良いものを買えば自然に売れる
・義理の父の教訓。妻との結婚前、義父に「結婚はダメとは言わないが一時的、条件付きだ」と言われた。義父は亡くなったが毎日プロの仕事をしているか自問

■優れた運用会社の条件
・商売よりも職務に忠実
・長期的視野
・自主的思考
・健康的な環境
・人の選択と教育
・組織とコミュニケーション
・給与体系

(水瀬コメント)
「投資方針の設定」は、市場は敗者のゲームであることを踏まえ、自分の実力や限界を知った上で投資方針を立てよ、ということだと思います。
「戦略的ポートフォリオの決定」は、意外にあっさり流されましたが、一度ポートフォリオを組んだら年1回のリバランスやモニタリングで十分だ、ということだと思います。
「運用会社の選択」については、まるで結婚相手の選択のような厳しい条件を付けています。
日本では、運用会社はあまり注目されない風潮がありますが、個人的には、販売会社である証券会社よりも、運用会社のことをよく知りたいし、コミュニケーションを取りたいし、実際そのような動き(個人投資家向けの情報発信やブロガーミーティング等)もあるので大切にしたいと思っています。

次回に続く)
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Posted by水瀬ケンイチ