「出口戦略」という魔法の言葉の罠
水瀬ケンイチ
インデックス投資についてよく勉強されているかたは、「株価動向は予測不能」(ランダム・ウォーク理論)ということに概ね賛同しているかたが多いと思います。
さらに、ランダムに動きながらも長期的には上昇する方向性を持つ(期待リターンがプラス)と考えていると思います。(この「ランダムなのに方向性を持つ」ということに納得できないかたはこちらの記事をご覧ください)
だからこそ、いろいろなアセットクラスに分散したインデックスファンド・ETFを、あまり投資タイミングを考えずに長期保有するのだと思います。
さて、投資を始めた頃は「株価動向は予測不能」だと納得していたインデックス投資家も、長い間インデックス投資家を続けて純資産額が大きくなってくると、こんな不安に襲われることがあります。
「このまま投資していて、もし自分がリタイアする直前に株価が暴落したらどうしよう…」
そこで登場してくるのが、「出口戦略」という言葉です。
「そうだ、出口戦略を考えなくては!」
「出口戦略」とは、もともとは軍事用語で「敗勢からの撤退作戦」という意味でしたが、転じて、ビジネスにおいて「投下した資本を最大限に回収すること」(第三者への転売や株式公開など)という意味で使われるようにもなっています(Wikipediaより)。
資産運用においては、「最終的に利益を確保する」という意味で使っているかたが多いように思います。
将来の不安に襲われてしまったくだんのインデックス投資家も、自分がリタイアする時にはしっかりと利益を確保できるような「出口戦略」を求めて、彷徨いだします。
そして、本やネットを丹念に調べ上げ、こう嘆くのです。
「なんだよ、出口戦略について書かれた情報がないじゃないか!」
さらに、ランダムに動きながらも長期的には上昇する方向性を持つ(期待リターンがプラス)と考えていると思います。(この「ランダムなのに方向性を持つ」ということに納得できないかたはこちらの記事をご覧ください)
だからこそ、いろいろなアセットクラスに分散したインデックスファンド・ETFを、あまり投資タイミングを考えずに長期保有するのだと思います。
さて、投資を始めた頃は「株価動向は予測不能」だと納得していたインデックス投資家も、長い間インデックス投資家を続けて純資産額が大きくなってくると、こんな不安に襲われることがあります。
「このまま投資していて、もし自分がリタイアする直前に株価が暴落したらどうしよう…」
そこで登場してくるのが、「出口戦略」という言葉です。
「そうだ、出口戦略を考えなくては!」
「出口戦略」とは、もともとは軍事用語で「敗勢からの撤退作戦」という意味でしたが、転じて、ビジネスにおいて「投下した資本を最大限に回収すること」(第三者への転売や株式公開など)という意味で使われるようにもなっています(Wikipediaより)。
資産運用においては、「最終的に利益を確保する」という意味で使っているかたが多いように思います。
将来の不安に襲われてしまったくだんのインデックス投資家も、自分がリタイアする時にはしっかりと利益を確保できるような「出口戦略」を求めて、彷徨いだします。
そして、本やネットを丹念に調べ上げ、こう嘆くのです。
「なんだよ、出口戦略について書かれた情報がないじゃないか!」
しかし、よく考えてみれば、これは当然のことです。
彼が求めている「出口戦略」は、言ってみれば「ある時期に必ず儲かっている方法」であり、要するに「必ず儲かる方法」なのですから。
インデックス投資を始めた頃は、「株価動向は予測不能」と納得していたはずなのに、いつの間にか、あるはずのない「必ず儲かる方法」を探していたのです。
それもこれも、「出口戦略」という魔法の言葉が持つ魅力のせいではないでしょうか。
「出口戦略」という言葉はとても便利で、「ぜったい儲からなきゃヤダ~!!」という投資家の本音を、きれいなオブラートで包んでくれます。
「いかなる投資も常に出口戦略を考えて行われるべきだ」なんて言えば、なんだか知的な雰囲気まで醸しだしてくれるので、投資家だけでなくFPや評論家含め、多用するかたが多いのもうなずけます。
しかしながら、冷静な頭で考えれば、特にインデックス投資家なら、必ず儲かる方法などないと知っているはずです。
市場は、○○年後に利益が出ていてほしいという個人の都合などとは無関係に動き回ります。
では、何かできることはないのでしょうか?
腹に落としておきたいのは、私たち投資家がコントロールできるのは、コストと、せいぜいざっくりとしたリスクまでだということです。将来のリターンはコントロールできません。
具体的にできることといえば、極力低コストな商品に投資しながら、(主に加齢による)自分のリスク許容度の低下にあわせて、アセットアロケーションの債券比率を増やしていく、あるいは、投資金額自体を小さくしていくことくらいでしょう。
(これを「出口戦略」と呼ぶことを彼が納得するかどうかはわかりませんが…)
その時のリターンの状況は、多分に「運」の要素が大きく、結果は神のみぞ知るといったところです。
場合によっては、「出口戦略」のもともとの意味である「敗勢からの撤退作戦」を余儀なくされることもありえるのが現実です(もちろん、期待リターンどおり、あるいはそれ以上の利益を得ることもありえるから投資をするのですが)。
「出口戦略」という魔法の言葉の罠にとらわれ、ないものねだりに奔走したりすることのないよう、現実をしっかりと理解しておきたいものです。
※言わずもがなですが、投資判断は自己責任でお願いします。
彼が求めている「出口戦略」は、言ってみれば「ある時期に必ず儲かっている方法」であり、要するに「必ず儲かる方法」なのですから。
インデックス投資を始めた頃は、「株価動向は予測不能」と納得していたはずなのに、いつの間にか、あるはずのない「必ず儲かる方法」を探していたのです。
それもこれも、「出口戦略」という魔法の言葉が持つ魅力のせいではないでしょうか。
「出口戦略」という言葉はとても便利で、「ぜったい儲からなきゃヤダ~!!」という投資家の本音を、きれいなオブラートで包んでくれます。
「いかなる投資も常に出口戦略を考えて行われるべきだ」なんて言えば、なんだか知的な雰囲気まで醸しだしてくれるので、投資家だけでなくFPや評論家含め、多用するかたが多いのもうなずけます。
しかしながら、冷静な頭で考えれば、特にインデックス投資家なら、必ず儲かる方法などないと知っているはずです。
市場は、○○年後に利益が出ていてほしいという個人の都合などとは無関係に動き回ります。
では、何かできることはないのでしょうか?
腹に落としておきたいのは、私たち投資家がコントロールできるのは、コストと、せいぜいざっくりとしたリスクまでだということです。将来のリターンはコントロールできません。
具体的にできることといえば、極力低コストな商品に投資しながら、(主に加齢による)自分のリスク許容度の低下にあわせて、アセットアロケーションの債券比率を増やしていく、あるいは、投資金額自体を小さくしていくことくらいでしょう。
(これを「出口戦略」と呼ぶことを彼が納得するかどうかはわかりませんが…)
その時のリターンの状況は、多分に「運」の要素が大きく、結果は神のみぞ知るといったところです。
場合によっては、「出口戦略」のもともとの意味である「敗勢からの撤退作戦」を余儀なくされることもありえるのが現実です(もちろん、期待リターンどおり、あるいはそれ以上の利益を得ることもありえるから投資をするのですが)。
「出口戦略」という魔法の言葉の罠にとらわれ、ないものねだりに奔走したりすることのないよう、現実をしっかりと理解しておきたいものです。
※言わずもがなですが、投資判断は自己責任でお願いします。
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