毎月分配型投信・通貨選択型投信、ついに法規制へ
水瀬ケンイチ
毎月分配型投信・通貨選択型投信について、ついに当局が投資信託法の見直しを検討するとのこと。
【日経電子版2012/01/27より引用】
投信「配当しすぎ」に歯止め 金融庁が法改正検討
毎月配当の原資、運用益に限定
金融庁はリスクが高く仕組みが分かりにくい投資信託を経験の浅い投資家が購入しないようにするため、投資信託法を見直す。毎月支払われる配当金の原資を運用益に限定したり、人気の高いブラジル関連の投信などで使われるデリバティブ(金融派生商品)の利用を制限したりする措置を検討する。配当のし過ぎに歯止めをかけ、個人投資家が安心して商品購入できる環境を整える。
【引用おわり】
※今朝の日経新聞一面トップ記事ですね。
これらの投信販売の現状を考えると、個人的には妥当な判断だと思われます。
この記事には、問題にしているポイントが2つあります。
(1)毎月分配型投信の配当しすぎ
(2)通貨選択型投信の高すぎるリスク(ボラティリティ)
【日経電子版2012/01/27より引用】
投信「配当しすぎ」に歯止め 金融庁が法改正検討
毎月配当の原資、運用益に限定
金融庁はリスクが高く仕組みが分かりにくい投資信託を経験の浅い投資家が購入しないようにするため、投資信託法を見直す。毎月支払われる配当金の原資を運用益に限定したり、人気の高いブラジル関連の投信などで使われるデリバティブ(金融派生商品)の利用を制限したりする措置を検討する。配当のし過ぎに歯止めをかけ、個人投資家が安心して商品購入できる環境を整える。
【引用おわり】
※今朝の日経新聞一面トップ記事ですね。
これらの投信販売の現状を考えると、個人的には妥当な判断だと思われます。
この記事には、問題にしているポイントが2つあります。
(1)毎月分配型投信の配当しすぎ
(2)通貨選択型投信の高すぎるリスク(ボラティリティ)
(1)の「毎月分配型投信の配当しすぎ」については、高い分配金を定期的に出そうとするあまり、元本を取り崩している投信が続出しています。
それ自体は、知っている人にはうまく活用することもできる仕組みではありますが、現状、毎月分配型投信を購入してきた人たちは「分配金は利益の中から払われている」と勘違いしている投資家(特に高齢者)が圧倒的に多く、トラブルが後を絶たないことを考えると、規制は妥当かと思います。

記事によると、欧米では、投信分配金に回せる原資について、規制があり、日本のように元本を取り崩せない仕組みになっています。
英国・フランスなどは、値上がり益から分配することも禁じられていて、特に厳しい規制がされています。
(2)の「通貨選択型投信の高すぎるリスク(ボラティリティ)」については、原資産のリスクに加えて、デリバティブを使い値動きの激しい高金利通貨を組み合わせることで、原資産のイメージからは想像もつかない高リスク(ボラティリティ)な投信になっているにもかかわらず、投資家がそれを数値で理解していないことが問題だと思われます。
以前の記事にも書きましたが、YOMIURI ONLINEのコラム「ランキングで読み解く投信」(2010年3月11日)によると、米国ハイ・イールド債券をブラジルレアルでヘッジした場合のリスクを算定したところ、リスクは原資産の18.4%から40.6%まで上昇しました。
40.6%というリスク(標準偏差)は、リーマン・ショッククラスの暴落が起きた場合、たった1年で最大7割以上(標準偏差の2倍から期待リターンを引いて算出)を失う計算になります。
投資するのには、確かな相場観と相当の覚悟が必要な商品といえるでしょう。翻って、この商品を購入している多くの投資家たちはその複雑な仕組を理解しているのでしょうか。
投資信託法の改正は、今年3月から年末にかけて投信規制の詳細を詰め、2013年の通常国会に投資信託法の改正案を提出するというスケジュールで動くようです。
問題が起きるとなんでもかんでも規制すればよいという論調には反対ですが、投信が一部のマニアだけでなく、幅広い投資家層に安心して活用できるようにするための環境づくりであり、かつ、それが欧米の規制水準と同程度であるならば、私はこの法改正を支持します。
<関連記事>
2011/12/06 ブームが下火になってから規制しても遅い、通貨選択型投信
それ自体は、知っている人にはうまく活用することもできる仕組みではありますが、現状、毎月分配型投信を購入してきた人たちは「分配金は利益の中から払われている」と勘違いしている投資家(特に高齢者)が圧倒的に多く、トラブルが後を絶たないことを考えると、規制は妥当かと思います。

記事によると、欧米では、投信分配金に回せる原資について、規制があり、日本のように元本を取り崩せない仕組みになっています。
英国・フランスなどは、値上がり益から分配することも禁じられていて、特に厳しい規制がされています。
(2)の「通貨選択型投信の高すぎるリスク(ボラティリティ)」については、原資産のリスクに加えて、デリバティブを使い値動きの激しい高金利通貨を組み合わせることで、原資産のイメージからは想像もつかない高リスク(ボラティリティ)な投信になっているにもかかわらず、投資家がそれを数値で理解していないことが問題だと思われます。
以前の記事にも書きましたが、YOMIURI ONLINEのコラム「ランキングで読み解く投信」(2010年3月11日)によると、米国ハイ・イールド債券をブラジルレアルでヘッジした場合のリスクを算定したところ、リスクは原資産の18.4%から40.6%まで上昇しました。
40.6%というリスク(標準偏差)は、リーマン・ショッククラスの暴落が起きた場合、たった1年で最大7割以上(標準偏差の2倍から期待リターンを引いて算出)を失う計算になります。
投資するのには、確かな相場観と相当の覚悟が必要な商品といえるでしょう。翻って、この商品を購入している多くの投資家たちはその複雑な仕組を理解しているのでしょうか。
投資信託法の改正は、今年3月から年末にかけて投信規制の詳細を詰め、2013年の通常国会に投資信託法の改正案を提出するというスケジュールで動くようです。
問題が起きるとなんでもかんでも規制すればよいという論調には反対ですが、投信が一部のマニアだけでなく、幅広い投資家層に安心して活用できるようにするための環境づくりであり、かつ、それが欧米の規制水準と同程度であるならば、私はこの法改正を支持します。
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