日興アセット・東証とのETF勉強会に参加。国内ETFの「市場価格と基準価額の乖離」主因が判明!
水瀬ケンイチ
先日、日興アセット・東証とのETF勉強会に行ってきました。
もともと、2年前に東証で意見交換会があり(該当記事)、日興アセットETFセンター長の今井氏がETFの説明をしたのですが、ある参加者が話の腰を折ってしまい、説明を最後まで聞けなかったということがありました。
そんなことも忘れていたのですが、何ヶ月か前の「コツコツ投資家がコツコツ集まる夕べ@六本木」で日興アセットのかたが来られていて、飲みながら話している中で、「そういえばあの時は今井さんの話を最後まで聞きたかったんですよねー」という話をしたら、「では場を設定しましょう」ということになり、今回の意見交換会が行われるということになりました。
ブロガー仲間に声をかけて、当日を迎えました。
場所は東京ミッドタウン、日興アセット本社です。

もともと、2年前に東証で意見交換会があり(該当記事)、日興アセットETFセンター長の今井氏がETFの説明をしたのですが、ある参加者が話の腰を折ってしまい、説明を最後まで聞けなかったということがありました。
そんなことも忘れていたのですが、何ヶ月か前の「コツコツ投資家がコツコツ集まる夕べ@六本木」で日興アセットのかたが来られていて、飲みながら話している中で、「そういえばあの時は今井さんの話を最後まで聞きたかったんですよねー」という話をしたら、「では場を設定しましょう」ということになり、今回の意見交換会が行われるということになりました。
ブロガー仲間に声をかけて、当日を迎えました。
場所は東京ミッドタウン、日興アセット本社です。

東証上場の国内ETFについては、いろいろ知りたいことがあったので、意気揚々と乗り込みました。
今回も日興アセットと東証の方々が来られていていました。
さっそくETFについて、今井氏から説明がありました。
特に、外国株式クラスに投資する国内ETFの先駆けだった「上場MSCIコクサイ株」(1680)や「上場MSCIエマージング株」(1681)の設定について、詳しい話がありました。
印象に残ったポイントは以下のとおり。
・1680と1681は先物運用だが、最後の最後までリンク債運用でいくことになっていた
・リーマン・ショックがあり信用上の問題を見直す契機になった
・日本と米国は租税条約で配当課税は10%(本来30%)だが、ETFは日本人以外も買えるので現物運用だと30%を課せられてしまう可能性があった(QI制度のため)
・再検討の結果先物運用にしたが、リンク債運用のシステム投資数千万円をドブに捨てることになった
・2013年にFATCA(外国口座税務コンプライアンス法)が施行されればETFは対象から除外される予定
・1680・1681は先物運用から現物運用に切り替える可能性あり
なんと。先物運用から現物運用に切り替える可能性があるとのことです。
ただし、先物運用には先物運用のメリットもあり、規制が厳しい新興国株式は先物の方が安定的に運用できる面もあるため、メリット・デメリット両面から検討するとのことです。
ブロガーチームも、たくさんの質問を投げかけました。
特に皆が知りたがっていたのは、やはりアノ問題です。そう、「ETFの市場価格と基準価額の乖離」についてです。
乖離水準は縮小傾向にあるものの、月毎に拡大したり縮小したりしています(該当記事)。そして、何故かプラス側(プレミアム)に大きく偏っています。
その乖離要因はたくさんあるらしいということは分かっているのですが、何が「主因」なのか、まことしやかに言われている通説は本当なのかを聞きました。
ポイントは以下のとおり。
・乖離の主因は投資家の「買い」が多いから(直球ドーーーン!!)
・副因1、ETF内部の新規設定に2日かかるためブローカーが在庫を持ちがち(解約は少ない)
・副因2、マーケットメーカーに数量・価格の義務および達成インセンティブがない(米国にはある)
・通説1、先物運用だと裁定が働きにくい →ウソ。むしろ裁定しやすい
・通説2、マーケットメーカー等が大きなショートポジションを取らないよう当局が指導 →ウソ。大きなショートポジションを取る金融機関はたくさんある
・乖離縮小のためには、「多様な」市場参加者を増やす
・香港・シンガポール等海外のマーケットメーカーも招き入れる
・運用各社がPCF情報(ポートフォリオ構成銘柄情報)をきっちり開示する
乖離要因とその対策について、日興アセットと東証からかなりスッキリとした回答が得られました。そうだったのか!エウレカ!
このETF勉強会は、とても勉強になりました。
普段、疑問に思っていたことが明らかになり、こうしてブログでご報告できるというのはうれしいものです。
また日興アセット、特に今井氏のETFに対する情熱は、並々ならぬものを感じました。東証もETFの発展に向けて厚いサポートをしている様子がうかがえました。
このような機会を作ってくれた日興アセットと東証の皆さまに感謝申しあげます。
国内ETFが今後ますます便利な投資ツールになるよう祈念しております。
※当ブログ記事は、勉強会の内容を水瀬の解釈でまとめたものです。内容の正確性には最大限配慮しておりますが、間違い・曲解等の可能性があることをご了承ください。ご指摘いただければできるだけ早く対応いたします。
今回も日興アセットと東証の方々が来られていていました。
さっそくETFについて、今井氏から説明がありました。
特に、外国株式クラスに投資する国内ETFの先駆けだった「上場MSCIコクサイ株」(1680)や「上場MSCIエマージング株」(1681)の設定について、詳しい話がありました。
印象に残ったポイントは以下のとおり。
・1680と1681は先物運用だが、最後の最後までリンク債運用でいくことになっていた
・リーマン・ショックがあり信用上の問題を見直す契機になった
・日本と米国は租税条約で配当課税は10%(本来30%)だが、ETFは日本人以外も買えるので現物運用だと30%を課せられてしまう可能性があった(QI制度のため)
・再検討の結果先物運用にしたが、リンク債運用のシステム投資数千万円をドブに捨てることになった
・2013年にFATCA(外国口座税務コンプライアンス法)が施行されればETFは対象から除外される予定
・1680・1681は先物運用から現物運用に切り替える可能性あり
なんと。先物運用から現物運用に切り替える可能性があるとのことです。
ただし、先物運用には先物運用のメリットもあり、規制が厳しい新興国株式は先物の方が安定的に運用できる面もあるため、メリット・デメリット両面から検討するとのことです。
ブロガーチームも、たくさんの質問を投げかけました。
特に皆が知りたがっていたのは、やはりアノ問題です。そう、「ETFの市場価格と基準価額の乖離」についてです。
乖離水準は縮小傾向にあるものの、月毎に拡大したり縮小したりしています(該当記事)。そして、何故かプラス側(プレミアム)に大きく偏っています。
その乖離要因はたくさんあるらしいということは分かっているのですが、何が「主因」なのか、まことしやかに言われている通説は本当なのかを聞きました。
ポイントは以下のとおり。
・乖離の主因は投資家の「買い」が多いから(直球ドーーーン!!)
・副因1、ETF内部の新規設定に2日かかるためブローカーが在庫を持ちがち(解約は少ない)
・副因2、マーケットメーカーに数量・価格の義務および達成インセンティブがない(米国にはある)
・通説1、先物運用だと裁定が働きにくい →ウソ。むしろ裁定しやすい
・通説2、マーケットメーカー等が大きなショートポジションを取らないよう当局が指導 →ウソ。大きなショートポジションを取る金融機関はたくさんある
・乖離縮小のためには、「多様な」市場参加者を増やす
・香港・シンガポール等海外のマーケットメーカーも招き入れる
・運用各社がPCF情報(ポートフォリオ構成銘柄情報)をきっちり開示する
乖離要因とその対策について、日興アセットと東証からかなりスッキリとした回答が得られました。そうだったのか!エウレカ!
このETF勉強会は、とても勉強になりました。
普段、疑問に思っていたことが明らかになり、こうしてブログでご報告できるというのはうれしいものです。
また日興アセット、特に今井氏のETFに対する情熱は、並々ならぬものを感じました。東証もETFの発展に向けて厚いサポートをしている様子がうかがえました。
このような機会を作ってくれた日興アセットと東証の皆さまに感謝申しあげます。
国内ETFが今後ますます便利な投資ツールになるよう祈念しております。
※当ブログ記事は、勉強会の内容を水瀬の解釈でまとめたものです。内容の正確性には最大限配慮しておりますが、間違い・曲解等の可能性があることをご了承ください。ご指摘いただければできるだけ早く対応いたします。
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