インデックス投資の進化の方向性
水瀬ケンイチ
私は基本的に、「ウォール街のランダム・ウォーカー」で提案されている伝統的なインデックス投資を実践しています。
国内外の株と債券のインデックスに連動するインデックスファンド・ETFに投資しています。
インデックスは、国内株式であればTOPIX、外国株式であればMSCIコクサイといった伝統的なものに投資しています。
これはシンプルな基本形のインデックス投資だと思っています。
数年前まで、この基本形を日本で実践しようとするだけで、なんだか知りませんが、次々に障害が立ちはだかりました。
インデックスファンドの繰上償還、新規取扱停止、販売会社の事業廃止……等々。
個人投資家が基本形のインデックス投資をマトモに継続することが極めて困難な時代が続いていました。
<関連記事>
2006/06/06 外国株式インデックスファンド放浪記(まとめ)
マトモなインデックスファンド・ETFが継続的に運用されるようになったのはこの数年のことです。
ようやく腰を据えてインデックス投資を行えると思っていたら、世界のインデックス投資家たちは、早くもその次のステップを模索し始めました。
そのあたりのことは、「ファンダメンタル・インデックス―新しい資産運用手法のすべて」(ロバート・D・アーノット/ジェイソン・C・スー/ジョン・M・ウェスト著)に詳しいです。
ご興味があれば、読んでみてください。
「でもなんだか、海外の本だし分厚いし……」というかたもいらっしゃると思います。
探したら、日本人向けの分かりやすい情報がありました。
国内外の株と債券のインデックスに連動するインデックスファンド・ETFに投資しています。
インデックスは、国内株式であればTOPIX、外国株式であればMSCIコクサイといった伝統的なものに投資しています。
これはシンプルな基本形のインデックス投資だと思っています。
数年前まで、この基本形を日本で実践しようとするだけで、なんだか知りませんが、次々に障害が立ちはだかりました。
インデックスファンドの繰上償還、新規取扱停止、販売会社の事業廃止……等々。
個人投資家が基本形のインデックス投資をマトモに継続することが極めて困難な時代が続いていました。
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2006/06/06 外国株式インデックスファンド放浪記(まとめ)
マトモなインデックスファンド・ETFが継続的に運用されるようになったのはこの数年のことです。
ようやく腰を据えてインデックス投資を行えると思っていたら、世界のインデックス投資家たちは、早くもその次のステップを模索し始めました。
そのあたりのことは、「ファンダメンタル・インデックス―新しい資産運用手法のすべて」(ロバート・D・アーノット/ジェイソン・C・スー/ジョン・M・ウェスト著)に詳しいです。
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「でもなんだか、海外の本だし分厚いし……」というかたもいらっしゃると思います。
探したら、日本人向けの分かりやすい情報がありました。
三菱UFJ信託銀行
視点2010年1月号 進化するパッシブ運用

(上記レポートより。クリックで拡大)
・従来型インデックス
内株:TOPIX
外株:MSCI-KOKUSAI
内債:NOMURA-BPI(総合)
外債:CITI-WGBI
・従来型インデックスの改良
円株:ラッセル/野村 Prime
外債:バークレイズ(総合)
・スタイルインデックス
円株:ラッセル/野村Value、Growth
外株:MSCI Value、Growth
・変国、物国インデックス
円債:NOMURA-CMT(変国)、NOMURA-J-TIPS(物国)
・エマージングインデックス
外株:MSCI-EM
・最小分散ポートフォリオ
内外株:最小分散ポートフォリオ
・企業価値インデックス
内外株:FTSE-GWA
ざっとこんな感じです。
いずれも、伝統的なインデックス運用に対する優位性が指摘されています。
(「エマージングインデックス」は既に多くのインデックス投資家が投資していることと思いますが)
方向性としては、「資産のボラティリティの抑制」「ポートフォリオ価値の極大化」があり、ちょっと毛色が違いますが「資産・負債マッチング」という観点でも運用方法が模索されています。
しかしながら、現在、日本の個人投資家が実践しようとしても、まだ難しい状況です。
海外ETFを使えば、このような新しいインデックス投資を行なうことはできますが、海外ETFは知識の面でも手間の面でも、一般の個人投資家にはハードルが高いと言わざるを得ません。
私を含むインデックス投資家たちの要望は、かつては、何より「基本形のシンプルなインデックス投資」を継続できるような環境を求めるものが多かったように思います。
現在は、「バリューインデックス」だったり「フロンティアマーケット・インデックス」だったり、要望もその次のステップに向かっています。
米国では、次から次へと新しい投資アイディアが商品として実現しています。
新しいインデックス運用の進化は、まだまだ止まりそうにありません。
ぜひ日本でも、このようなチャレンジに追いついてほしいと思います。
ただし、新しいインデックス運用が、伝統的なインデックス運用よりも常に優れているかは、疑ってかかった方がよいです。新しい運用なだけに、たまたま最近の情勢にフィットしているだけで、優位性が普遍的なものではない可能性は十分にあります。
そもそも、新しいインデックス運用も伝統的なインデックス運用も、基本的にリスク資産を長期保有することには変わりなく、市場が低迷すれば悪影響を受けます。
いわゆる「利益の源泉」「リスクの要因」は、そう違わないことを覚えておきたいと思います。
その上で、日本の個人投資家の選択肢が広がることを期待したいと思います。
P.S
ブログで期待を表明するだけでなく、実際に機を捉えて証券会社に要望を出しています。チャンスがあれば、ブロガーミーティングや投資家交流会等の場でも要望しています。皆さまもほしい商品があれば、ぜひ証券会社に直接要望しましょう。
視点2010年1月号 進化するパッシブ運用

(上記レポートより。クリックで拡大)
・従来型インデックス
内株:TOPIX
外株:MSCI-KOKUSAI
内債:NOMURA-BPI(総合)
外債:CITI-WGBI
・従来型インデックスの改良
円株:ラッセル/野村 Prime
外債:バークレイズ(総合)
・スタイルインデックス
円株:ラッセル/野村Value、Growth
外株:MSCI Value、Growth
・変国、物国インデックス
円債:NOMURA-CMT(変国)、NOMURA-J-TIPS(物国)
・エマージングインデックス
外株:MSCI-EM
・最小分散ポートフォリオ
内外株:最小分散ポートフォリオ
・企業価値インデックス
内外株:FTSE-GWA
ざっとこんな感じです。
いずれも、伝統的なインデックス運用に対する優位性が指摘されています。
(「エマージングインデックス」は既に多くのインデックス投資家が投資していることと思いますが)
方向性としては、「資産のボラティリティの抑制」「ポートフォリオ価値の極大化」があり、ちょっと毛色が違いますが「資産・負債マッチング」という観点でも運用方法が模索されています。
しかしながら、現在、日本の個人投資家が実践しようとしても、まだ難しい状況です。
海外ETFを使えば、このような新しいインデックス投資を行なうことはできますが、海外ETFは知識の面でも手間の面でも、一般の個人投資家にはハードルが高いと言わざるを得ません。
私を含むインデックス投資家たちの要望は、かつては、何より「基本形のシンプルなインデックス投資」を継続できるような環境を求めるものが多かったように思います。
現在は、「バリューインデックス」だったり「フロンティアマーケット・インデックス」だったり、要望もその次のステップに向かっています。
米国では、次から次へと新しい投資アイディアが商品として実現しています。
新しいインデックス運用の進化は、まだまだ止まりそうにありません。
ぜひ日本でも、このようなチャレンジに追いついてほしいと思います。
ただし、新しいインデックス運用が、伝統的なインデックス運用よりも常に優れているかは、疑ってかかった方がよいです。新しい運用なだけに、たまたま最近の情勢にフィットしているだけで、優位性が普遍的なものではない可能性は十分にあります。
そもそも、新しいインデックス運用も伝統的なインデックス運用も、基本的にリスク資産を長期保有することには変わりなく、市場が低迷すれば悪影響を受けます。
いわゆる「利益の源泉」「リスクの要因」は、そう違わないことを覚えておきたいと思います。
その上で、日本の個人投資家の選択肢が広がることを期待したいと思います。
P.S
ブログで期待を表明するだけでなく、実際に機を捉えて証券会社に要望を出しています。チャンスがあれば、ブロガーミーティングや投資家交流会等の場でも要望しています。皆さまもほしい商品があれば、ぜひ証券会社に直接要望しましょう。
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