「MAXIS トピックスリスクコントロール(10%)上場投信」上場と一般投資家のリスク・バジェッティング

水瀬ケンイチ

三菱UFJ投信は本日、「MAXIS トピックスリスクコントロール(10%)上場投信」を8月9日に東証へ上場すると発表しました。

三菱UFJ投信 プレスリリース
『MAXIS トピックスリスクコントロール(10%)上場投信』新規設定について

この国内ETFの商品概要は以下のとおり。

MAXIS トピックスリスクコントロール(10%)上場投信 (証券コード:1574)
 TOPIXリスクコントロール指数(ボラティリティ10%)連動・信託報酬年率0.252%

東証には既に、「MAXIS トピックスリスクコントロール(5%)上場投信」というETFが上場されています。
これで、リスクが5%と10%で選べるようになりました。
いずれも、日本株式(TOPIX)と現金の比率を勝手に調整してくれるETFであり、なかなかおもしろい商品だと思います。

「いやいや、現金は手元に置いてTOPIXのETFへの投資比率を自分で調整すればいいだけでしょ。その方がコストが安いし」という声がインデックス投資家の間から聞こえてきそうです。
でも、私が個人的に思うにこのETFのポイントは、株式部分の比率が、

10%(ターゲットボラティリティ) ÷ TOPIX(配当込み)のヒストリカルボラティリティ

という計算式で「毎日」「勝手に」計算され、リスク量を一定に保つ運用が自動的になされるというところだと思います。
「資産配分」を一定に保つのはインデックス投資の定石ですが、「リスク量」を一定に保つという運用も年金の世界ではけっこう知られた運用方法のようです。
資産配分ではなく、リスク配分に注目することにより効率的なリスク管理および資産運用を行なう考え方を、「リスク・バジェッティング」というそうです。

リスクを一定に保つ運用といえば、以前(といっても3年以上前ですが)、「野村総研の分散投資の評価」というブログ記事の中で紹介した野村総研のレポート「分散投資は機能しなかったのか」を思い出します。
このレポートでは、ポートフォリオのリスク量をある一定レベルに保っていれば、2008年のリーマンショックを通じてなお、パフォーマンスがマイナスにならなかったというデータが示されていました。

しかしながら、当時は実際問題として、後に「100年に一度」と総括されたあのジェットコースターのような大暴落のなか、日々、ポートフォリオのリスク量を計算してそれを一定に保つ運用など、投資が仕事でも趣味でもない一般人に出来るわけないだろ!!と一蹴して、「やっぱり伝統的4資産への資産配分を守ることもそれほど悪くないな」と結論づけてしまいました。

ポートフォリオ全体ではなく日本株式クラスの中だけとはいえ、「MAXIS トピックスリスクコントロール上場投信」シリーズは、リスク量を一定に保つ運用を「毎日」「勝手に」やってくれ、今まで一般の個人投資家がなかなかできなかった「リスク・バジェッティング」を実現できるという意味で、意外と価値あることなのではないかと、今は思っております。

ちなみに、東証のTOPIXリスクコントロール指数の説明資料によると、過去20年弱のTOPIXとTOPIXリスクコントロール指数(5%・10%・15%)のパフォーマンスは以下のとおりです。

過去20年弱のTOPIXとTOPIXリスクコントロール指数のパフォーマンス

TOPIXリスクコントロール指数5%は、なんと、失われた20年を通じてパフォーマンスがプラスです。
人によっては、この「MAXIS トピックスリスクコントロール上場投信」シリーズ、なかなか面白い投資対象だと思うのではないでしょうか。
私も少し心を動かされており、コア・サテライト運用の「サテライト」部分として投資を検討し始めたところです。

P.S
リスクが低く保たれているということは、下落局面で損失が軽減されるのと同時に、上昇局面で利益も軽減されてしまうことを表している(2000年頃に注目!)ので、このETFに優位性があるかどうかは今後の相場動向次第ということもお忘れなく。


<ご参考>
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Posted by水瀬ケンイチ