日米の平均信託報酬の推移が正反対すぎて泣ける件

水瀬ケンイチ

投資信託にコスト革命の予兆が見えてきた、という記事が日経電子版に掲載されています。

日経電子版 投資の知恵袋 Money&Investment
2013/7/27 NISAに賭ける投信 手数料ゼロで若い世代争奪

すべての個人投資家にとって、コストが下がることはよいことです。それ自体は歓迎すべきことだと思います。ただ、上記記事を見ると、投信業界内部の事情は、「渋々感」がありありと出ていて、なんだかなぁという感じではあります。

ただ、記事の中に、日米の投信の平均信託報酬の推移が分かるグラフが掲載されていました。これは、データとして有用なので、引用して残しておきたいと思います。

日米の平均信託報酬の推移がわかるグラフ

(上記、日経電子版 2013/07/27の記事より引用)

もともとは、米国バンガードグループの経費率と運用資産の推移を表すグラフですが、同時に、米国の平均経費率と日本の信託報酬の推移も掲載されています。

これを見ると、2003年頃を境に米国はコストが低下傾向に、日本はコストが上昇傾向と、正反対に推移してきたことが分かります。なんやかんや言っても、日本の投信業界は高コスト化のトレンドなんだなぁという悲しい現状が見て取れます。

2013年現在、日本の投信の平均信託報酬の推移は、悲しい状況ではありますが、上記記事のとおりNISA導入によりコスト革命が起こって、今後は平均信託報酬が下がりだすといいですね。

願わくば10年後、「米国から10年遅れたものの、2013年を境に米国と同じ曲線を描くことになった」と振り返れますように……(淡い期待)。

***

とはいえ、私たちは今を生きている投資家です。人生は有限であり、10年も指をくわえて見ているわけにはいきません。

幸いなことに、日本の投信のコスト上昇トレンドとは逆行する形で、インデックスファンドのコストは年々低下するトレンドにあります。

信託報酬は日本株式クラスで年率0.3~0.4%程度、外国株式クラスで0.5~0.6%程度と、私がインデックス投資をはじめた10年前と比べて、半分程度にまで下がってきました。ETFにいたっては、さらに低い水準で運用されています。

しかし、これはあまり知られていません。インデックスファンド・ETFは金融機関側からすると、「薄利」であまり儲からない商品なので、大々的に宣伝されることは、今後もまずないと考えてよいでしょう。

私たちインデックス投資家としては、これら低コストなインデックスファンド・ETFを自らしっかり選び出し、うまく活用することで、賢く資産運用を行ないたいものです。

余談ですが、私の場合、上記グラフにもある米国バンガードの海外ETFを、投資のメイン商品のひとつとして採用しています。バンガードの少しでもコストを下げていこうとする姿勢と実際のコスト低下の実績に信頼を寄せています。

日本の運用会社にも頑張ってほしいと思います。


<ご参考>
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Posted by水瀬ケンイチ