「トンチン年金」、どう思いますか?
水瀬ケンイチ

皆さんは、「トンチン年金」という言葉をご存知でしょうか。
ニッセイ基礎研究所 基礎研レポート 2013年08月15日
米国の長寿年金 - トンチン性の活用は有効な長寿リスク対策となるか-
私は知りませんでした。上記レポートを読んで、トンチン年金のことを初めて知りました。なんだかユーモラスなネーミングですが、ちゃんとした年金用語です。
トンチン年金【トンチンねんきん】
イタリアのトンティTontiが17世紀に考案した年金制度。小口出資を広く募集し大量の資金を集め,出資者の年齢群によって集団を設け,各集団ごとに出資に対する利子相当額を毎年支給し,その集団の生存者で分配する。(百科事典マイペディアより)
上記レポートでは、トンチン年金のことを、「65歳時に500万円払っていただけば、85歳の時から毎年300万円の年金を一生涯にわたってお支払いいたします。ただし85歳までの間に死亡された場合、死亡給付金は支払われません」という年金であると紹介していました。
これ、どう思いますか?
私はこの年金、ちょっといいなと思ってしまいました。このトンチン年金のポイントは、
・年金の支払い開始年齢が遅く、超高齢期になってから手厚い年金が出る
・支払い開始年齢前に亡くなっても一切お金は出ない
という2点だと思います。平たく言えば、みんなでお金を出し合って、長生きした人でそれを山分けするという年金だと言えます。早死にしたひとの分の掛け金もすべて長生きした人に回るので、結果的に掛け金に対してとても手厚い年金になります(こういう性質を「トンチン性」と言うそうです)。
一見、不公平な感じもします。でも、私は以下の2点でちょっといいなと思ってしまいました。
(1) 統計的に長生きしそうな人が家族にいるから
統計的なデータとして、男性よりも女性の方が長生きです。日本人の平均寿命は、男性79.94歳、女性86.41歳(2012年簡易生命表より)で、女性は2年ぶりに世界一に返り咲いたそうです。
余談ですが、水瀬家は私が心配性で早死にしそうなタイプなのに対して、相方は実に朗らかなタイプなので、平均に輪をかけて長生きしそうな感じです……(^^;
長生きすることは本来喜ぶべきことのはずですが、予想以上に長生きすることでお金が尽きてしまう事態を考えると、悲しいかな、「長生きはリスクである」とも捉えられます。
トンチン年金はそれに備えられる年金であるということです。強制加入だと少し困りますが、選択できるなら、相方だけには入ってもらいたいと思いました。
ただ、これだけだと、「長生きが分かってるなら、計画的に貯蓄しておけばいいだけだろう」という話になってしまいます。そこで、次の話です。
(2) 支払い開始年齢までに保有資産を存分に取り崩せる
この年金は、平均余命に近いであろう支払い開始年齢以上生きなければ払い損です。とはいえ、寿命のコントロールは難しいです。計算上の期待リターンとしてはあまり期待できません。特に、私は早死にしそうな予感がしますし……(しつこい)
一方で、支払い開始年齢まで生きれば、その後は手厚い年金が生涯出る。それなら、自分がためてきた保有資産を思う存分取り崩して人生を楽しむのもアリでは?という考えも出てこないでしょうか。
どれだけ長生きしてしまうか分からない中で、平均余命近くまではできるだけ質素に……などとビクビクと資産の取り崩しを躊躇しているうちに大金を残してポックリ、なんてことになったら悲しいじゃないですか。
一説によると、日本の老人は2000~3000万円もの貯蓄を残して亡くなるケースが多いというお話もあります。それでは何のために働いたのか、そして資産形成したのか、よくわからなくなってしまいます。
そこで、トンチン年金に加入しておけば、「予想外の長生きリスク」を恐れることなく、保有資産を計画的にどんどん使っていけます。
これなら、老後がちょっと楽しみになりそうです。この「老後がちょっと楽しみ」という心持ちになれるということが、存外大きいのではないかとも思いました。
以上の2点から、私はトンチン年金、ちょっといいなと思ってしまいました。
もちろん、超長期の契約になるので、その間のインフレ率や保険会社の健全性など、実際にトンチン年金が登場した際には考慮すべきことはあるでしょう。でも、これから超長寿社会を迎える日本において、トンチン年金という年金商品がひとつの選択肢として存在していてほしいなと思いました。
上記レポートのとおり米国では、既に複数社からトンチン年金が発売されています。日本の保険会社さんもご検討いただけないでしょうか。
・年金の支払い開始年齢が遅く、超高齢期になってから手厚い年金が出る
・支払い開始年齢前に亡くなっても一切お金は出ない
という2点だと思います。平たく言えば、みんなでお金を出し合って、長生きした人でそれを山分けするという年金だと言えます。早死にしたひとの分の掛け金もすべて長生きした人に回るので、結果的に掛け金に対してとても手厚い年金になります(こういう性質を「トンチン性」と言うそうです)。
一見、不公平な感じもします。でも、私は以下の2点でちょっといいなと思ってしまいました。
(1) 統計的に長生きしそうな人が家族にいるから
統計的なデータとして、男性よりも女性の方が長生きです。日本人の平均寿命は、男性79.94歳、女性86.41歳(2012年簡易生命表より)で、女性は2年ぶりに世界一に返り咲いたそうです。
余談ですが、水瀬家は私が心配性で早死にしそうなタイプなのに対して、相方は実に朗らかなタイプなので、平均に輪をかけて長生きしそうな感じです……(^^;
長生きすることは本来喜ぶべきことのはずですが、予想以上に長生きすることでお金が尽きてしまう事態を考えると、悲しいかな、「長生きはリスクである」とも捉えられます。
トンチン年金はそれに備えられる年金であるということです。強制加入だと少し困りますが、選択できるなら、相方だけには入ってもらいたいと思いました。
ただ、これだけだと、「長生きが分かってるなら、計画的に貯蓄しておけばいいだけだろう」という話になってしまいます。そこで、次の話です。
(2) 支払い開始年齢までに保有資産を存分に取り崩せる
この年金は、平均余命に近いであろう支払い開始年齢以上生きなければ払い損です。とはいえ、寿命のコントロールは難しいです。計算上の期待リターンとしてはあまり期待できません。特に、私は早死にしそうな予感がしますし……(しつこい)
一方で、支払い開始年齢まで生きれば、その後は手厚い年金が生涯出る。それなら、自分がためてきた保有資産を思う存分取り崩して人生を楽しむのもアリでは?という考えも出てこないでしょうか。
どれだけ長生きしてしまうか分からない中で、平均余命近くまではできるだけ質素に……などとビクビクと資産の取り崩しを躊躇しているうちに大金を残してポックリ、なんてことになったら悲しいじゃないですか。
一説によると、日本の老人は2000~3000万円もの貯蓄を残して亡くなるケースが多いというお話もあります。それでは何のために働いたのか、そして資産形成したのか、よくわからなくなってしまいます。
そこで、トンチン年金に加入しておけば、「予想外の長生きリスク」を恐れることなく、保有資産を計画的にどんどん使っていけます。
これなら、老後がちょっと楽しみになりそうです。この「老後がちょっと楽しみ」という心持ちになれるということが、存外大きいのではないかとも思いました。
以上の2点から、私はトンチン年金、ちょっといいなと思ってしまいました。
もちろん、超長期の契約になるので、その間のインフレ率や保険会社の健全性など、実際にトンチン年金が登場した際には考慮すべきことはあるでしょう。でも、これから超長寿社会を迎える日本において、トンチン年金という年金商品がひとつの選択肢として存在していてほしいなと思いました。
上記レポートのとおり米国では、既に複数社からトンチン年金が発売されています。日本の保険会社さんもご検討いただけないでしょうか。
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