日本債券インデックス、マグマ吹き上げに備えるためには?
水瀬ケンイチ

ポートフォリオにおける「日本債券」クラスの重要性は、過去のブログ記事でも何度か取り上げてきました。
日本債券は、ポートフォリオ全体の期待リターン・リスクに与える影響がとても大きいものです。自分のリスク許容度の範囲内にリスク水準をおさめるというポートフォリオの「最重要目的」のためには、日本債券の比率が「肝」になります。
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2011/11/03 【第5回】 保有資産の値動きの9割を決める資産配分の「肝」は意外にも日本債券だった!
その日本債券について、ニッセイ基礎研に無視できないレポートが出ていました。
ニッセイ基礎研究所 ニッセイ年金ストラテジー 2013年9月号
国内債券マーケットリスクの見方
詳しくは、上記レポートをご覧いただきたいのですが、レポートの要旨には、『国内債券の主なリスク指標として、標準偏差とデュレーションがある。しかし、現在の国内債券マーケットを市場インデックスで見ると標準偏差のリスクは減少し、デュレーションのリスクは増加している。この相反する結果をどのように評価すべきか考察する』と書かれています。
これだけ見ると、「は?なんのことかサッパリわからん!」と思われるかたもいらっしゃると思います。誤解をおそれずに水瀬流に翻訳すると、
『日本債券インデックスのリスク水準は現在低いが、将来一気に吹き上がるマグマためこみ中』
ということではないかと理解しました。グラフを引用してみましょう。

(上記ニッセイ基礎研レポートより引用・クリックで拡大)
超低金利政策により、金利がずっと低位安定しているので、標準偏差(リスク)は低くなってきています。しかし逆に、超長期(20年・30年・40年)国債が大量発行されるようになり、デュレーションは長くなってきています。言い換えると、いざ金利が動いた時の、債券価格の「感応度」がどんどん上がってきている状況だということです。
ポートフォリオのリスクを抑える役割を担っている日本債券インデックスのリスクが変動してしまったら、ポートフォリオ全体のリスクまで変わってしまいます。もし将来、マグマが吹き上がった時に備えるには、いったいどうすればよいのでしょうか?
思いついた対策案を列挙しておきます。
≪対策案その1≫ 日本債券インデックスファンドのまま放っておく
デュレーションが長くなったと言っても、将来の金利上昇時にリスクが株式等と同じレベルになってしまうわけではないでしょう。細かいことで大騒ぎせず、債券という原資産の本質を重視してそのままにしておく。何年かごとに直近のデータでポートフォリオ全体のリスクを計算しなおせばいいだけ。
≪対策案その2≫ 自分でラダー型債券ポートフォリオを組む
債券インデックスのデュレーションが勝手に変わってしまうなら、自分で作ってしまえばいいじゃないか。毎年、10年債等を同じ金額ずつ買っていけばいいだけ。満期まで保有すれば(そして10年で1周すれば)、デュレーションは固定されます。
≪対策案その3≫ デュレーションを短期で固定
デュレーション水準ごとの中期債、長期債の個人向けインデックス商品はありませんが、短期債だけに投資する商品ならあります。ご存知MMF・MRFです。将来の金利上昇を予測するかたにはぴったり。機を見て、いつでも中長期債に乗り換えることができる機動性も魅力です。
≪対策案その4≫ 債券価格変動を回避
そんなことできるのか?と思われるかもしれませんが、債券価格が変動しない債券があります。それが個人向け国債(変動10・固定5・固定3)です。途中売却しても、過去2回分の利子等を手放せば、金利動向にかかわらず購入価格で売却可能です。
≪番外編≫
米国のように短期債・中期債・長期債それぞれのETF等があれば、お好みのデュレーション水準で投資できるので、日本の運用会社に作ってもらえるように直接要望する。日本の債券インデックス商品は貧弱すぎるんだよ、まったくもう……。
方法はいろいろありそうです。どの方法がよいか、あるいは他の方法もあるのではないかなど、考えてみる価値はあると思います。なんたって、日本債券がポートフォリオの「肝」なのですから。
P.S
個人的には、対策案3と4でディフェンシブに運用しています。そのかわり、金利低下による債券価格上昇の恩恵にはあずかれませんが、それでよいと考えています。
国内債券マーケットリスクの見方
詳しくは、上記レポートをご覧いただきたいのですが、レポートの要旨には、『国内債券の主なリスク指標として、標準偏差とデュレーションがある。しかし、現在の国内債券マーケットを市場インデックスで見ると標準偏差のリスクは減少し、デュレーションのリスクは増加している。この相反する結果をどのように評価すべきか考察する』と書かれています。
これだけ見ると、「は?なんのことかサッパリわからん!」と思われるかたもいらっしゃると思います。誤解をおそれずに水瀬流に翻訳すると、
『日本債券インデックスのリスク水準は現在低いが、将来一気に吹き上がるマグマためこみ中』
ということではないかと理解しました。グラフを引用してみましょう。

(上記ニッセイ基礎研レポートより引用・クリックで拡大)
超低金利政策により、金利がずっと低位安定しているので、標準偏差(リスク)は低くなってきています。しかし逆に、超長期(20年・30年・40年)国債が大量発行されるようになり、デュレーションは長くなってきています。言い換えると、いざ金利が動いた時の、債券価格の「感応度」がどんどん上がってきている状況だということです。
ポートフォリオのリスクを抑える役割を担っている日本債券インデックスのリスクが変動してしまったら、ポートフォリオ全体のリスクまで変わってしまいます。もし将来、マグマが吹き上がった時に備えるには、いったいどうすればよいのでしょうか?
思いついた対策案を列挙しておきます。
≪対策案その1≫ 日本債券インデックスファンドのまま放っておく
デュレーションが長くなったと言っても、将来の金利上昇時にリスクが株式等と同じレベルになってしまうわけではないでしょう。細かいことで大騒ぎせず、債券という原資産の本質を重視してそのままにしておく。何年かごとに直近のデータでポートフォリオ全体のリスクを計算しなおせばいいだけ。
≪対策案その2≫ 自分でラダー型債券ポートフォリオを組む
債券インデックスのデュレーションが勝手に変わってしまうなら、自分で作ってしまえばいいじゃないか。毎年、10年債等を同じ金額ずつ買っていけばいいだけ。満期まで保有すれば(そして10年で1周すれば)、デュレーションは固定されます。
≪対策案その3≫ デュレーションを短期で固定
デュレーション水準ごとの中期債、長期債の個人向けインデックス商品はありませんが、短期債だけに投資する商品ならあります。ご存知MMF・MRFです。将来の金利上昇を予測するかたにはぴったり。機を見て、いつでも中長期債に乗り換えることができる機動性も魅力です。
≪対策案その4≫ 債券価格変動を回避
そんなことできるのか?と思われるかもしれませんが、債券価格が変動しない債券があります。それが個人向け国債(変動10・固定5・固定3)です。途中売却しても、過去2回分の利子等を手放せば、金利動向にかかわらず購入価格で売却可能です。
≪番外編≫
米国のように短期債・中期債・長期債それぞれのETF等があれば、お好みのデュレーション水準で投資できるので、日本の運用会社に作ってもらえるように直接要望する。日本の債券インデックス商品は貧弱すぎるんだよ、まったくもう……。
方法はいろいろありそうです。どの方法がよいか、あるいは他の方法もあるのではないかなど、考えてみる価値はあると思います。なんたって、日本債券がポートフォリオの「肝」なのですから。
P.S
個人的には、対策案3と4でディフェンシブに運用しています。そのかわり、金利低下による債券価格上昇の恩恵にはあずかれませんが、それでよいと考えています。
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