「保険会社が知られたくない生保の話」(後田亨著)は日経電子版連載コラムの総集編+アルファの価値あり

水瀬ケンイチ

「保険会社が知られたくない生保の話」(後田亨著)を読みました。本書は、日経電子版で同氏が毎週連載しているコラムの総集編+アルファ(特にアルファが大事)でした。

保険会社が知られたくない生保の話 (日経プレミアシリーズ)保険会社が知られたくない生保の話 (日経プレミアシリーズ)
後田 亨

日本経済新聞出版社 2013-10-09
売り上げランキング : 1409

Amazonで詳しく見る
楽天ブックスで詳しく見る
by G-Tools

人生において、不動産の次に大きな買い物とも言われる保険ですから、無用な保険料が削減できれば、その影響は数百万円レベルになることもありえるようです。

本書では、事例として保険販売員から顧客への説明文を取り上げ、それに対して筆者が疑問を呈する、というスタイルが多いです。

でも、私のように保険のことをよく知らない人にとっては、保険販売員の説明文を読んだ時点では、正直、「いいじゃん!」と思ってしまうでしょう。その後に筆者が投げかける疑問を読んで初めて、「ああ、そんなカラクリがあったのか」と気付かされます。

個人的にいちばん目からウロコだったのは、いま払い込む保険料と将来受け取る保険金の損得についての保険販売員の説明は、(投資ではポピュラーな)「割引現在価値」の考え方がすっぽり抜け落ちているという指摘です。これがどういうことかは、本書を読んでいただきたいと思います。

他にも、保険ならではの「えっそうなの!?」と驚くような、保険の裏話がたくさん掲載されています。

冒頭に書いたように、本書は日経電子版コラムの総集編ですが、単なる総集編ではなく、掲載データが最新化されていたり、その後の保険会社の動向をフォローしていたり、コラム掲載時によくあった質問や反論に答えたりしています。連載コラムに加えて「プラスアルファ」の価値があるので、日経電子版コラムを読んでいるかたも読み返す価値がある一冊だと思います。

ただ、一点思ったのは、基本的に一話完結のコラムを集めたものなので、良くも悪くも、同じ主張が何度も何度も出てきます。私を含め、保険をよく知らない方にとっては、大事な話が何度も出てくるのはありがたいと感じるかもしれませんが、詳しい方にとってはやや冗長に感じるかもしれません。

というわけで、本書をおすすめしたい方は、ズバリ、「投資のことはある程度知っているけど、保険のことはよく知らない」という当ブログ(梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー)の読者さんです。
関連記事




投資判断は自己責任でお願いします。当ブログの情報により投資判断を誤ったとしても、管理人は責任を負えません。また、当ブログ内容の無断転載を禁じます。

Posted by水瀬ケンイチ