【特別寄稿】 世界各国のバリュエーション表(2013年10月版)
水瀬ケンイチ
ご好評いただいている、読者のタカちゃんさんによる特別寄稿「世界でいちばん割安なのはどの国?世界各国のバリュエーション表」の2013年10月版が寄せられました。
PERだけでなく、PBR、ROE、実質実効為替レート、長期金利、配当利回り、益回り、配当成長率といった複数指標を網羅的にまとめたデータは貴重です。
ここ2~3か月、PERが突出していたエジプトでしたが、落ち着いてきました。そのかわり、日本のPERがいちばん高い状況になっています。深追いは禁物、資産の分散を意識したいですね。
以下、特別寄稿「世界各国のバリュエーション表(2013年10月版)」です。
世界各国のバリュエーション表
(タカちゃん作成)

(クリックで拡大します)
バリュエーション表の使い方の留意点
各種バリュエーション指標の説明をしておきます。
◆PER(株価収益率:price earnings ratio)
株価収益率は株価を一株当たり当期純利益で割ったものであり、次の式で求められる。
株価収益率 = 株価 ÷ 一株当たり当期純利益
例えば、株価が2000円で一株当たり当期純利益が100円の場合のPERは2000円/100円=20として求められます。
PERは低いほど割安、高いほど割高です。
株主の側から見れば、「利益が全て配当に回された場合に何年で元本を回収できるか」という指標として見ることができる。
例えば、株価が2000円で一株当たり当期純利益が100円の場合は20年で出資が取り戻せる計算です。
日本ではPERと略していますが、米国ではP/EないしPEと表記するのが一般的です。
◆PBR(株価純資産倍率:price book-value ratio)
PBRは一株あたり純資産額に対する株価の倍率(状況)を測る指標である。以下の式で求められる。
PBR = 株価 ÷ 一株あたり純資産額(BPS)
一般にPBRが1倍であるとき、株価が解散価値と等しいとされ、それ以下だと割安株として扱われる。1倍以下の水準では会社が保有する純資産の額より株式時価総額のほうが安いことを意味しており、継続的に事業を行うより解散した方が株主の利益になる可能性がある。
PBRは低い事は割安ですが、企業の収益率が低い為にPBRが低い場合がある為、ROEとセットで使う必要があります。
◆ROE(自己資本利益率:return on equity)
ある企業が、一年間の企業活動を通じて、「株主の投資額に比してどれだけ効率的に利益を獲得したか」を判断するのに用いられる指標で、当期純利益を、前期及び当期の自己資本の平均値で除したものである。
ROE(%) = 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100
ROE(%) = 一株当たり当期純利益(EPS) ÷ 一株当たり純資産額(BPS) × 100
ROEは収益性の指標で、ROEが高ければ自己資本に対して効率的に利益を出している事になります。
◆長期金利:各国の10年国債の利回りです。
一般的には、全ての国で信用リスクが全く無い場合は、長期金利の高い国ほど長期的に為替レートは下落していく傾向にあります。
信用リスクが高い国では長期金利が高くなる傾向にあり、この場合は約束された元本と利息が確実に支払われない可能性があります。
信用リスクを知るには格付けを使う方法がありますが、万能ではありません。
一般的には金利が高いって事は国の状況はあまり良い事ではありません(高インフレ、または、信用リスクが高い場合が多いから)。
◆実質実効為替レート
実質実効為替レートは、特定の2通貨間の為替レートをみているだけでは捉えられない、相対的な通貨の実力を測るための総合的な指標です。具体的には、対象となる全ての通貨と自国通貨との間の2通貨間為替レートを、物価指数で実質化して貿易額等で計った相対的な重要度でウエイト付けして集計・算出します。
詳しい説明はこちら↓
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/5072.html
◆益回り
株式益回り(earnings yield)とは、PERの逆数(1株当たり純利益を株価で除したもの)で、株価に対する1株当たり純利益の比率を表したものです。
益回りが高ければ、割安です(PERの逆)。
◆配当利回り
配当利回りとは、購入した株価に対し、1年間でどれだけの配当を受けることができるかを示す数値です。
配当利回り(%) = 1株当たりの年間配当金額÷1株購入価額×100
配当利回りは割安の指標として使われます。
配当利回りが益回りよりも高い場合は、企業が内部留保を取り崩して配当している事になる為、長期にわたって続く場合は減配のリスクがあります。
海外では日本に比べて配当性向が高い国が多く、配当利回りが日本に比べて高い国が多くあります。
◆配当成長率
ROE、益回り、配当利回りから計算した理論上の1年間の配当成長率(%)を示します。
配当成長率(%) = ROE X 内部留保率 = ROE X (益回り - 配当利回り) / 益回り
ここで言う配当成長率は利益成長率として使う事もできます。
出口戦略として配当を年金代わりに使う方法としては配当利回りが高くて、配当成長率の高い国への株式ETFを購入する方法があります。
PERだけでなく、PBR、ROE、実質実効為替レート、長期金利、配当利回り、益回り、配当成長率といった複数指標を網羅的にまとめたデータは貴重です。
ここ2~3か月、PERが突出していたエジプトでしたが、落ち着いてきました。そのかわり、日本のPERがいちばん高い状況になっています。深追いは禁物、資産の分散を意識したいですね。
以下、特別寄稿「世界各国のバリュエーション表(2013年10月版)」です。
世界各国のバリュエーション表
(タカちゃん作成)

(クリックで拡大します)
バリュエーション表の使い方の留意点
各種バリュエーション指標の説明をしておきます。
◆PER(株価収益率:price earnings ratio)
株価収益率は株価を一株当たり当期純利益で割ったものであり、次の式で求められる。
株価収益率 = 株価 ÷ 一株当たり当期純利益
例えば、株価が2000円で一株当たり当期純利益が100円の場合のPERは2000円/100円=20として求められます。
PERは低いほど割安、高いほど割高です。
株主の側から見れば、「利益が全て配当に回された場合に何年で元本を回収できるか」という指標として見ることができる。
例えば、株価が2000円で一株当たり当期純利益が100円の場合は20年で出資が取り戻せる計算です。
日本ではPERと略していますが、米国ではP/EないしPEと表記するのが一般的です。
◆PBR(株価純資産倍率:price book-value ratio)
PBRは一株あたり純資産額に対する株価の倍率(状況)を測る指標である。以下の式で求められる。
PBR = 株価 ÷ 一株あたり純資産額(BPS)
一般にPBRが1倍であるとき、株価が解散価値と等しいとされ、それ以下だと割安株として扱われる。1倍以下の水準では会社が保有する純資産の額より株式時価総額のほうが安いことを意味しており、継続的に事業を行うより解散した方が株主の利益になる可能性がある。
PBRは低い事は割安ですが、企業の収益率が低い為にPBRが低い場合がある為、ROEとセットで使う必要があります。
◆ROE(自己資本利益率:return on equity)
ある企業が、一年間の企業活動を通じて、「株主の投資額に比してどれだけ効率的に利益を獲得したか」を判断するのに用いられる指標で、当期純利益を、前期及び当期の自己資本の平均値で除したものである。
ROE(%) = 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100
ROE(%) = 一株当たり当期純利益(EPS) ÷ 一株当たり純資産額(BPS) × 100
ROEは収益性の指標で、ROEが高ければ自己資本に対して効率的に利益を出している事になります。
◆長期金利:各国の10年国債の利回りです。
一般的には、全ての国で信用リスクが全く無い場合は、長期金利の高い国ほど長期的に為替レートは下落していく傾向にあります。
信用リスクが高い国では長期金利が高くなる傾向にあり、この場合は約束された元本と利息が確実に支払われない可能性があります。
信用リスクを知るには格付けを使う方法がありますが、万能ではありません。
一般的には金利が高いって事は国の状況はあまり良い事ではありません(高インフレ、または、信用リスクが高い場合が多いから)。
◆実質実効為替レート
実質実効為替レートは、特定の2通貨間の為替レートをみているだけでは捉えられない、相対的な通貨の実力を測るための総合的な指標です。具体的には、対象となる全ての通貨と自国通貨との間の2通貨間為替レートを、物価指数で実質化して貿易額等で計った相対的な重要度でウエイト付けして集計・算出します。
詳しい説明はこちら↓
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/5072.html
◆益回り
株式益回り(earnings yield)とは、PERの逆数(1株当たり純利益を株価で除したもの)で、株価に対する1株当たり純利益の比率を表したものです。
益回りが高ければ、割安です(PERの逆)。
◆配当利回り
配当利回りとは、購入した株価に対し、1年間でどれだけの配当を受けることができるかを示す数値です。
配当利回り(%) = 1株当たりの年間配当金額÷1株購入価額×100
配当利回りは割安の指標として使われます。
配当利回りが益回りよりも高い場合は、企業が内部留保を取り崩して配当している事になる為、長期にわたって続く場合は減配のリスクがあります。
海外では日本に比べて配当性向が高い国が多く、配当利回りが日本に比べて高い国が多くあります。
◆配当成長率
ROE、益回り、配当利回りから計算した理論上の1年間の配当成長率(%)を示します。
配当成長率(%) = ROE X 内部留保率 = ROE X (益回り - 配当利回り) / 益回り
ここで言う配当成長率は利益成長率として使う事もできます。
出口戦略として配当を年金代わりに使う方法としては配当利回りが高くて、配当成長率の高い国への株式ETFを購入する方法があります。
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