国内ETFの「基準価額と市場価格の乖離」(2013年12月末時点)、先進国株式インデックス連動の1581がまさかの暴走
水瀬ケンイチ
個人投資家の期待を集めながらも、基準価額と市場価格の乖離の大きさが課題と言われてきた国内ETF。
海外資産クラスの主要銘柄の乖離率を、2013年12月末時点でチェックしてみます。今年7月から追加して半年経過したiシェアーズ3銘柄(iS先進国株・iSエマージング株・iSフロンティア株)がどうなったのかにも注目です。それでは、ご覧ください。

んんっ!? ちょっと異常値が出ていますね。
水色の折れ線、「iS先進国株」(1581)が +1.76%という大きな乖離をしています。「iS先進国株」(1581)は、MSCI コクサイ・インデックスというメジャーな先進国株式インデックスに連動する国内ETFで、同インデックスに連動する先物やETFなどの商品が複数あるもののうちのひとつです。
にもかかわらず、これだけ +1.76%という大きな乖離をしています。+1.76%というのは月平均であり、日次で見ると12月は最大で、+9.38%(2013年12月27日)というありえない乖離をしています。
一般に、ETFのメリットとして、インデックスファンドよりも更に信託報酬が低いことがあげられます。例えば、先進国株式インデックスに連動する代表的なインデックスファンド「SMT グローバル株式インデックス・オープン」の信託報酬は年率 0.525%です。国内ETFの「iS先進国株」(1581)の信託報酬は年率 0.25%です。「iS先進国株」(1581)の方がコストが安いです。
ただ、その差は年率 0.275%です。この差を大きいと考えるか小さいと考えるかは人によるかもしれませんが、もし、「iS先進国株」(1581)を基準価額の 9.38%割高に購入してしまうと、挽回するのに実に34年以上かかる計算になります。これでは、せっかくの低信託報酬が台無しであり、多くの方の許容度を超えているでしょう。
海外資産クラスに投資する国内ETFは、上場してしばらくプラス乖離することが多いです。その主因は、投資家の「買い」が多いからだと言われています。他にも、上場直後はブローカーが在庫を持ちがちであるとか、マーケットメイカーの価格調整をするインセンティブが乏しいといった事情があるようです。
<関連記事>
2012/06/02 日興アセット・東証とのETF勉強会に参加。国内ETFの「市場価格と基準価額の乖離」主因が判明!
ただ、今まで主要な国内ETFをウォッチしてきた中で、上場後だいたい1年程度経過すると、概ねプラスマイナス1%以内に収まってきました(単なる経験則ですが)。今回の「iS先進国株」(1581)は、「iSエマージング株」(1582)・「iSフロンティア株」(1583)とともに、上場後まだ半年しか経過しておらず、これからも要注意だと思います。
「要注意と言っても、お前は月1回しかブログでデータをアップしてくれないだろうが!」
という声が聞こえてきそうですが、通常、国内ETFのNAV(純資産価値)は、東証WEBサイトのインディカティブNAV(iNAV)情報でリアルタイムに見ることができます。
東京証券取引所WEBサイト インディカティブNAV
しかし、海外資産クラスに連動するETFはその対象外であり、「iS先進国株」(1581)も対象外です。ですので、日々の乖離に気づかず、予想外に割高に購入してしまった投資家もいると思います。この状況はよろしくありません。
個人投資家が安心して長期投資できるように、ETF市場は「買う時も売る時も適正価格」であってほしい。マーケットメイカー等の関係者におかれましては、がんばっていただきたいと思います。
<関連記事>
2011/07/30 インデックスファンド、国内ETF、海外ETFの比較
<ご参考>
上記の「MAXIS 海外株ETF」(1550)や「MAXIS トピックス上場投信」(1348)を売買するならカブコムがおすすめです。「フリーETF」対象でいくら売買しても売買手数料が無料なので。以下から口座開設できます(無料)
・カブドットコム証券
海外資産クラスの主要銘柄の乖離率を、2013年12月末時点でチェックしてみます。今年7月から追加して半年経過したiシェアーズ3銘柄(iS先進国株・iSエマージング株・iSフロンティア株)がどうなったのかにも注目です。それでは、ご覧ください。
海外資産クラスの主要国内ETFの「市場価格と基準価額乖離率」(2013年12月末)

んんっ!? ちょっと異常値が出ていますね。
日興 上場MSCIコク株(1680) | -0.10% |
日興 上場MSCIエマ株(1681) | -0.77% |
MAXIS 海外株ETF (1550) | +0.33% |
iS先進国株 (1581) | +1.76% |
iSエマージング株(1582) | +0.33% |
iSフロンティア株(1583) | +1.47% |
水色の折れ線、「iS先進国株」(1581)が +1.76%という大きな乖離をしています。「iS先進国株」(1581)は、MSCI コクサイ・インデックスというメジャーな先進国株式インデックスに連動する国内ETFで、同インデックスに連動する先物やETFなどの商品が複数あるもののうちのひとつです。
にもかかわらず、これだけ +1.76%という大きな乖離をしています。+1.76%というのは月平均であり、日次で見ると12月は最大で、+9.38%(2013年12月27日)というありえない乖離をしています。
一般に、ETFのメリットとして、インデックスファンドよりも更に信託報酬が低いことがあげられます。例えば、先進国株式インデックスに連動する代表的なインデックスファンド「SMT グローバル株式インデックス・オープン」の信託報酬は年率 0.525%です。国内ETFの「iS先進国株」(1581)の信託報酬は年率 0.25%です。「iS先進国株」(1581)の方がコストが安いです。
ただ、その差は年率 0.275%です。この差を大きいと考えるか小さいと考えるかは人によるかもしれませんが、もし、「iS先進国株」(1581)を基準価額の 9.38%割高に購入してしまうと、挽回するのに実に34年以上かかる計算になります。これでは、せっかくの低信託報酬が台無しであり、多くの方の許容度を超えているでしょう。
なぜ、こんなことになっているのか?
海外資産クラスに投資する国内ETFは、上場してしばらくプラス乖離することが多いです。その主因は、投資家の「買い」が多いからだと言われています。他にも、上場直後はブローカーが在庫を持ちがちであるとか、マーケットメイカーの価格調整をするインセンティブが乏しいといった事情があるようです。
<関連記事>
2012/06/02 日興アセット・東証とのETF勉強会に参加。国内ETFの「市場価格と基準価額の乖離」主因が判明!
ただ、今まで主要な国内ETFをウォッチしてきた中で、上場後だいたい1年程度経過すると、概ねプラスマイナス1%以内に収まってきました(単なる経験則ですが)。今回の「iS先進国株」(1581)は、「iSエマージング株」(1582)・「iSフロンティア株」(1583)とともに、上場後まだ半年しか経過しておらず、これからも要注意だと思います。
「要注意と言っても、お前は月1回しかブログでデータをアップしてくれないだろうが!」
という声が聞こえてきそうですが、通常、国内ETFのNAV(純資産価値)は、東証WEBサイトのインディカティブNAV(iNAV)情報でリアルタイムに見ることができます。
東京証券取引所WEBサイト インディカティブNAV
しかし、海外資産クラスに連動するETFはその対象外であり、「iS先進国株」(1581)も対象外です。ですので、日々の乖離に気づかず、予想外に割高に購入してしまった投資家もいると思います。この状況はよろしくありません。
個人投資家が安心して長期投資できるように、ETF市場は「買う時も売る時も適正価格」であってほしい。マーケットメイカー等の関係者におかれましては、がんばっていただきたいと思います。
<関連記事>
2011/07/30 インデックスファンド、国内ETF、海外ETFの比較
<ご参考>
上記の「MAXIS 海外株ETF」(1550)や「MAXIS トピックス上場投信」(1348)を売買するならカブコムがおすすめです。「フリーETF」対象でいくら売買しても売買手数料が無料なので。以下から口座開設できます(無料)
・カブドットコム証券
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