どのスマートベータがよいのかわかる?ランキング推移一覧表
水瀬ケンイチ
最近、TOPIXなど従来型の時価総額加重平均ではなく、「財務指標や株価の変動率などに着目して銘柄を組み入れる株価指数」(日経電子版)である進化形の指数「スマートベータ」が取りざたされています。
でも、いったいどのスマートベータがよいのか? 日本ではまだ新しいものなので、まだまだデータが足りません。そんななか、過去14年分のスマートベータランキング推移一覧表がありましたので、とりあげます。

(ニッセイ基礎研REPORT(冊子版)2014年8月号「プロの技術をご家庭へ-基礎から学ぶスマートベータ」より引用)
ニッセイ基礎研のレポートに、「短期的な優劣は入れ替わる」というタイトルの図表が掲載されています。
TOPIX、バリュー・ウェイト、リスク・ウェイト、最小分散、クオリティ、高配当の6つの戦略について、年間リターンをランキング付けして、2000年から2013年の14年間の推移を一覧表にしたものでした。
レポートでは、図表タイトルのとおり、「短期的な優劣は入れ替わる」としています。また、「例えばNISA口座に定められた5年間で投資する場合はスマートベータの中から“最良の1本”を探すことはあまり意味を持たない」としています。
一方で、レポートでは、「長期投資の場合は、“高配当”や“バリュー・ウェイト”に絞って投資する方法も考えられる」としています。
上記の一覧表を、目を細めて色だけ見てみます。私の目には、“高配当利回り”はTOPIXに比べて高ランキングだったように見えますが、“バリュー・ウェイト”は良かったり悪かったりのバラつきが大きいように見えます。むしろ“リスク・ウェイト”の方が安定的に高ランキングのように見えました。
期間中のリターンとリスクの分布を表したもっとわかりやすい図表がほしいな~と思ったところ、どこかで見たことがある気がしました。
思い出した。春先にブログでとりあげた、日経電子版の記事です。

(日経電子版 2014/02/02より引用)
データ出所は同じMSCIですし、調査期間も2001年~2013年とほぼ同じです。結果、“高配当利回り”と“リスク・ウェイト”がほぼ同じ位置にプロットされています。“バリュー・ウェイト”はややリスク高めにプロットされています。これらは、私の細目チェックの感覚と近しい結果になっていました。
実際に投資しようと考えた場合、高配当利回り戦略のインデックス商品として、「NEXT FUNDS 野村日本株高配当70連動型上場投信(1577)」「上場インデックスファンド日本高配当(1698)」などが既に存在しています。
ちなみに、東証と日経の肝いりで開発されたJPX日経インデックス400は、“クオリティ”に分類されることが多いようです。公的年金に採用されたこともあり、JPX日経インデックス400連動の商品は10数本出ています。でも、このデータで見ると、うーん……ですね。
今後、“リスク・ウェイト”や“最小分散”などに連動するインデックス商品が出てくれば、個人投資家の選択肢が増え、投資環境が良くなると思います。最小分散などはきちんと理解されれば、リスクを抑えたい個人投資家にニーズがあるような気がします。
ただし、この分野はまだ新しく、本記事でとりあげたデータもたかだか直近十数年のものです。今後どうなるかはわかりません。米国の別のデータでは、スマートベータは従来型インデックスに勝ったり負けたりで、少なくとも常勝ではないというデータもあります。
採用するとしても、リスクを抑えるいちばん簡単かつ低コストな方法は「リスク資産への投資金額を抑えること」であることを念頭に置きつつ、資産の一部にとどめておく方がよいかもしれません。
※言わずもがなですが、投資判断は自己責任でお願いします。
<特に関連性が高い記事>
2014/02/02 伝統的インデックスの進化系「スマート・ベータ」との付き合い方
でも、いったいどのスマートベータがよいのか? 日本ではまだ新しいものなので、まだまだデータが足りません。そんななか、過去14年分のスマートベータランキング推移一覧表がありましたので、とりあげます。

(ニッセイ基礎研REPORT(冊子版)2014年8月号「プロの技術をご家庭へ-基礎から学ぶスマートベータ」より引用)
ニッセイ基礎研のレポートに、「短期的な優劣は入れ替わる」というタイトルの図表が掲載されています。
TOPIX、バリュー・ウェイト、リスク・ウェイト、最小分散、クオリティ、高配当の6つの戦略について、年間リターンをランキング付けして、2000年から2013年の14年間の推移を一覧表にしたものでした。
レポートでは、図表タイトルのとおり、「短期的な優劣は入れ替わる」としています。また、「例えばNISA口座に定められた5年間で投資する場合はスマートベータの中から“最良の1本”を探すことはあまり意味を持たない」としています。
一方で、レポートでは、「長期投資の場合は、“高配当”や“バリュー・ウェイト”に絞って投資する方法も考えられる」としています。
上記の一覧表を、目を細めて色だけ見てみます。私の目には、“高配当利回り”はTOPIXに比べて高ランキングだったように見えますが、“バリュー・ウェイト”は良かったり悪かったりのバラつきが大きいように見えます。むしろ“リスク・ウェイト”の方が安定的に高ランキングのように見えました。
期間中のリターンとリスクの分布を表したもっとわかりやすい図表がほしいな~と思ったところ、どこかで見たことがある気がしました。
思い出した。春先にブログでとりあげた、日経電子版の記事です。

(日経電子版 2014/02/02より引用)
データ出所は同じMSCIですし、調査期間も2001年~2013年とほぼ同じです。結果、“高配当利回り”と“リスク・ウェイト”がほぼ同じ位置にプロットされています。“バリュー・ウェイト”はややリスク高めにプロットされています。これらは、私の細目チェックの感覚と近しい結果になっていました。
実際に投資しようと考えた場合、高配当利回り戦略のインデックス商品として、「NEXT FUNDS 野村日本株高配当70連動型上場投信(1577)」「上場インデックスファンド日本高配当(1698)」などが既に存在しています。
ちなみに、東証と日経の肝いりで開発されたJPX日経インデックス400は、“クオリティ”に分類されることが多いようです。公的年金に採用されたこともあり、JPX日経インデックス400連動の商品は10数本出ています。でも、このデータで見ると、うーん……ですね。
今後、“リスク・ウェイト”や“最小分散”などに連動するインデックス商品が出てくれば、個人投資家の選択肢が増え、投資環境が良くなると思います。最小分散などはきちんと理解されれば、リスクを抑えたい個人投資家にニーズがあるような気がします。
ただし、この分野はまだ新しく、本記事でとりあげたデータもたかだか直近十数年のものです。今後どうなるかはわかりません。米国の別のデータでは、スマートベータは従来型インデックスに勝ったり負けたりで、少なくとも常勝ではないというデータもあります。
採用するとしても、リスクを抑えるいちばん簡単かつ低コストな方法は「リスク資産への投資金額を抑えること」であることを念頭に置きつつ、資産の一部にとどめておく方がよいかもしれません。
※言わずもがなですが、投資判断は自己責任でお願いします。
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2014/02/02 伝統的インデックスの進化系「スマート・ベータ」との付き合い方
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