日本初、レバレッジ3倍の新興国株トリプル・ブルベアファンド登場ですが、いつもの注意事項をば
水瀬ケンイチ

SBIアセットより、日本初のレバレッジ3倍の新興国株トリプル・ブルベアファンドが登場しました。SBI証券の独占販売です。
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2014/08/11 日本初!新興国株の概ね3倍の値動きを目指すファンドが登場!
これまでも日本株や中国株などのブルベアファンドはありましたが、新興国株全体でしかも値動き3倍のトリプル・ブルベアファンドはありませんでした。投資家の選択肢が広がることは結構なことですが、ブルベアファンドに関しては、いつもの注意事項がありますので、あらためて取り上げます。
- インデックスの3倍やマイナス3倍といった目標値を「日ごと」に達成するように設計されているため、2日以上離れた2時点間の騰落率は目標値どおりにならない
- インデックスの値動きが上昇・下降を繰り返した場合に、マイナスの方向に差(ずれ)が生じる可能性が高くなり、期間が長くなれば長くなるほどその差(ずれ)が大きくなる傾向がある
これは、商品設計のミスではなく、ブルベア型商品共通の性質であり、目論見書にもでかでかと書かれています。私たち投資家は知っておく必要があります。
実際に、既存の日本株レバレッジ・インバース型ETF(ブルベアファンドとほぼ同じもの)の値動きの事例をとりあげたものが下記のブログ記事です。上記の性質がよくわかりますのでご覧ください。
2014/05/12 TOPIXダブルインバース(-2倍)指数連動ETFが登場ですが
ブルベアファンドは、長期保有してしまうと相場が上がっても下がっても損をする可能性があるものです。相場の見通しがある程度つくかたが、ピンポイントで短期売買するための商品と言えるでしょう。
さらに、このファンドはファンド・オブ・ファンズであり、実質的な信託報酬が年率2%を超えています(いわゆる「隠れコスト」を加えた実質コストは、それ以上になると思われます)。したがって、インデックス投資家の長期保有には向きません。
「日本初」とか「新興国株の3倍」という宣伝文句は嘘ではありませんが、その裏にはいろいろな罠があることを、インデックス投資家の皆さまはゆめゆめお忘れなく。
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