新興国債券をポートフォリオに入れるべきかどうか
水瀬ケンイチ

読者のかたから新興国債券をポートフォリオに入れるべきかどうかについてのご質問をいただきましたので、自分なりの回答をしたいと思います。
「世界経済インデックスファンド」に積立を開始したのですが、新興国債券の割合が高すぎるのかなと思うようになりました。
もともとそういう設計なのを承知で積立開始始めたのですが。
カン・チュンドさん、竹川美奈子さんの著作でも、新興国債券は選択肢にないような扱いです。
新興国株式にはロマンを感じることができますが、新興国債券は、クッション作用を期待してよいものなのでしょうか?
セゾンGBFが、新興国債券を組み入れていないのをみると、心配になってきます。
初心者の単純な質問ではありますが、アルゼンチン国債の問題もありますし、お考えを聞かせていただけると幸いです。
結論から言えば、ポートフォリオの値動きのクッション作用を期待するのであれば、私なら新興国債券クラスには投資しません。
理由は、当ブログでしばしば登場する「外債ほぼ不要論」です。具体的には、
・長期的には購買力平価が意外に強力で、外国債券の期待リターンは国内債券と同じであるという考え
・外国債券クラスは期待リターンが低い割にはリスク(標準偏差)が高い
・為替リスクはなるべく外国株式クラスに振り向けたい
ということです。先進国債券ですら上記の状況なので、いわんや新興国債券をや、といったところです。理屈の詳細については、過去のブログ記事を含め、度々取りあげていますのでそちらをご参照ください。
<該当記事>
2013/04/10 円安を利用して外国債券クラスから撤退中
2013/01/17 外国債券クラスの為替リスクはどの程度か
楽天証券 山崎元「ホンネの投資教室」 2009年12月18日 第116回 外国債券の期待リターン
この考え方はあくまで理屈ベースなので、先進国債券・新興国債券について中長期的に強気の相場見通しをお持ちなのであれば、この限りではありません。
なお、当記事は個人的な考えを聞かれたから答えたものであり、この考え方を当記事をご覧の皆さまに強要するつもりもございません。「こういう考え方をする投資家もいるのか」という程度に、何かのご参考になれば幸いです。
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