VAIO を買ってプロスペクト理論を思い知った件
水瀬ケンイチ

Photo: SONY Website
半年間、葛藤に葛藤を重ねて、ついに VAIO を買ってしまいました。
今まで私のなかでは、PCと言えば DELL のタワー型デスクトップで10万円と決まっていました。でっかいけれど、パワフルで安い。費用対効果万歳です。モバイルPCなんて買ったことがありません。
それが、割引クーポンとかクレジットカードポイント増量とかをガンガン使っても、非力なモバイルPCに15万円ってなんですか。考えられません。
しかし、今後、仕事で出張が大幅に増えることがわかっています。出先でのブログ執筆や諸々の対応のために、モバイルPCが必要になりました。
2kg以上ある大きめのノートPCが5万円くらいで安かったので、「これでいいや」と買おうとしたところ、出張慣れしている先輩たちが全力で止めにかかってきました。
「やめろ!悪いことは言わんからできるだけ軽いやつにしとけ。出張が苦になるぞ」
「そうだ。持ち運ぶなら軽さは正義だ」
しかし、タワー型に比べて、処理能力やディスプレイの大きさという基本性能が劣るモバイルPCに、タワー型よりも高いお金を払うということに、どうしても納得がいきません(もちろんその分、軽さや薄さに優れているのですが……)。悩みに悩んで半年間。
時間切れ寸前まで葛藤し、ついに先日、上記の VAIO をポチってしまいました。13.3インチで940gしかありません。ノマドな人たちが大好きな MacBook Air よりも軽いです。
……とここで終わるとただのPC購入自慢なのですが、インデックス投資家としては、この心の動きは、我ながら「プロスペクト理論」そのものだなと思ったのです。
いつものタワー型PCの10万円という金額が、私のなかの「参照点」になり、15万円のPCを買うことが合理的であったとしても、5万円を余分に払うというマイナスが感覚的に許せません。
一方で、投資ではウン千万円を運用していて、日々、何十万円もマイナスになったりプラスになったりしていますが、べつになんとも感じません。「参照点」から遠く離れた地点では、感応度逓減により感覚が鈍っているのでしょう。
よくあるたとえ話ですが、普段10円払うことをケチるような人でも、自動車や住宅など金額的に大きな買い物をするときには、勧められるがままに何十万円もするオプションをすんなり付けてしまうものです。
お金をもらう(プラス側の)場合よりも、お金を払う(マイナス側の)場合に、よりその傾向が強く出ます。これは個人の性格的なものではなく、理論に裏打ちされた人類共通の傾向です。
人間は金額によって、感じ方に非合理的な歪みがあります。
だとするならば、投資においても金額が大きくなればなるほど、感覚に頼るのは危険で、数値的な判断基準など「感覚を排除するしくみ」を持っておくことが大切になってくるなと、あらためて思いました。
半年間葛藤して VAIO を買って、なぜかプロスペクト理論の力を思い知ったわけですが、それはさておき、はやく VAIO 届かないかなあ (・∀・)
※私が購入したのはこれより1ランク下のモデルですが。
それが、割引クーポンとかクレジットカードポイント増量とかをガンガン使っても、非力なモバイルPCに15万円ってなんですか。考えられません。
しかし、今後、仕事で出張が大幅に増えることがわかっています。出先でのブログ執筆や諸々の対応のために、モバイルPCが必要になりました。
2kg以上ある大きめのノートPCが5万円くらいで安かったので、「これでいいや」と買おうとしたところ、出張慣れしている先輩たちが全力で止めにかかってきました。
「やめろ!悪いことは言わんからできるだけ軽いやつにしとけ。出張が苦になるぞ」
「そうだ。持ち運ぶなら軽さは正義だ」
しかし、タワー型に比べて、処理能力やディスプレイの大きさという基本性能が劣るモバイルPCに、タワー型よりも高いお金を払うということに、どうしても納得がいきません(もちろんその分、軽さや薄さに優れているのですが……)。悩みに悩んで半年間。
時間切れ寸前まで葛藤し、ついに先日、上記の VAIO をポチってしまいました。13.3インチで940gしかありません。ノマドな人たちが大好きな MacBook Air よりも軽いです。
……とここで終わるとただのPC購入自慢なのですが、インデックス投資家としては、この心の動きは、我ながら「プロスペクト理論」そのものだなと思ったのです。
「新しい株式投資論」(山崎元著)より
- 結果に対する価値評価は参照点よりも得した状態でプラス、損した状態でマイナスに評価されるが、1単位の損得の増加に対する評価の絶対値は、損得の絶対値が大きくなるほど逓減する。
- 参照点付近の価値評価の変化は、参照点よりもプラスの領域の1単位の得よりも、参照点よりもマイナスの領域の1単位の損の方がかなり大きい
いつものタワー型PCの10万円という金額が、私のなかの「参照点」になり、15万円のPCを買うことが合理的であったとしても、5万円を余分に払うというマイナスが感覚的に許せません。
一方で、投資ではウン千万円を運用していて、日々、何十万円もマイナスになったりプラスになったりしていますが、べつになんとも感じません。「参照点」から遠く離れた地点では、感応度逓減により感覚が鈍っているのでしょう。
よくあるたとえ話ですが、普段10円払うことをケチるような人でも、自動車や住宅など金額的に大きな買い物をするときには、勧められるがままに何十万円もするオプションをすんなり付けてしまうものです。
お金をもらう(プラス側の)場合よりも、お金を払う(マイナス側の)場合に、よりその傾向が強く出ます。これは個人の性格的なものではなく、理論に裏打ちされた人類共通の傾向です。
人間は金額によって、感じ方に非合理的な歪みがあります。
だとするならば、投資においても金額が大きくなればなるほど、感覚に頼るのは危険で、数値的な判断基準など「感覚を排除するしくみ」を持っておくことが大切になってくるなと、あらためて思いました。
半年間葛藤して VAIO を買って、なぜかプロスペクト理論の力を思い知ったわけですが、それはさておき、はやく VAIO 届かないかなあ (・∀・)
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