日銀の「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」を受けて資産運用方針をどうするか

水瀬ケンイチ

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皆さまご存知のとおり、日本銀行の「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」の導入により、日銀当座預金の一部に、▲0.1%のマイナス金利が適用になりました。

それを受けて、自分自身の資産運用方針をどうするかという話です。

「ついにマイナス金利だ!」と大騒ぎしている方々もいらっしゃいますが、結論から言うと、私自身の運用方針はなにも変わりません。理由は以下のとおりです。

  1. 自分が利用している「普通預金」「個人向け国債変動10」はマイナス金利ではない
  2. リスク資産のうち、日本資産(国内株・債券)への投資比率は4割程度であり、資産の大半は外国資産に分散されている
  3. 資産配分は、日銀の当座預金の金利に応じて決めるものではない

「マイナス金利」という言葉だけが独り歩きしている感がありますが、日銀に民間銀行が預けている当座預金の金利(のごく一部)の話であり、自分が利用している「普通預金」「個人向け国債変動10」は、プラスの金利が付いており、マイナス金利ではありません。

また、自分のリスク資産のうち、国内資産(国内株・債券)への投資比率は4割程度であり、資産の大半は外国資産に分散されています。

万が一、国内資産がコケても、外国資産があるわけで、私が採用している投資法の根底にある「世界経済全体の発展の恩恵にあずかろう」という考え方が、根底から覆るような出来事ではないと思っています。

一方で、普通預金や国内債券がヤバそうだというイメージで、外国株式や外国債券などに乗り換えるのもひとつの方法という意見が散見されますが、こういうイチかゼロかという考え方は、逆に危険だと思います。

金融機関は「預貯金ではマイナス金利で目減りするのでこの商品を!」などと言って、金融商品を買わせようとするかもしれませんが、今まで預貯金やせいぜい国内債券にしか利用したことがない人が、いきなり外国株式や外国債券や他の複雑な商品に投資するのは考えものです。

今はマイナス金利のことで頭がいっぱいで、リターンのことしか見えていないのかもしれませんが、資産クラスの選択は、リターンだけでなくリスク(ボラティリティ)もセットで考える必要があります。

国内債券 期待リターン 3.0% リスク 6.5%
国内株式 期待リターン 4.8% リスク 22.48%
外国債券 期待リターン 3.2% リスク 12.90%
外国株式 期待リターン 5.0% リスク 22.28%
(出典:年金積立金管理運用独立行政法人の中期計画(基本ポートフォリオ)の変更

上記のGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の推計のとおり、外国株式や外国債券のリスクは、普通預金や日本債券のリスクとは比べ物にならないくらい大きいです。

厳密には、上記の数字も状況により多少変動するので、国内債券の期待リターンは下がるかもしれませんが、外国株式や外国債券のリスク水準は高いままでしょう。

日銀の当座預金の微々たるマイナス金利(しかも、私たちが利用している預貯金や個人向け国債の金利ではない)を必要以上に気にするあまり、いきなり外国株式や外国債券に資産を移し替えるというのは、枝葉末節を気にして根幹を見誤ることになりかねません。

そもそも資産配分は、各アセットクラスの期待リターンとリスク(ボラティリティ)を勘案しつつ、自分のリスク許容度に応じて組み合わせを決定するものであり、少なくとも、日銀の当座預金の金利動向に応じて決めるものではないと思います。

というわけで、今のところ私自身の運用方針や資産配分・投資商品はなにも変わりません。

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