煽り系メディアや識者の「マイナス金利でパラダイムシフト」という言葉に気をつけよう
水瀬ケンイチ

「マイナス金利」というキャッチーな言葉を多用して、まるでこの世からプラス金利の商品がなくなってしまったかのように危機感を煽っているメディアがあるように感じます。パラダイムシフトだとかなんとか言って。
世の中のメディアは、率直に言って、悲観的な情報を出せば出すほど売上が上がる構造にあるのが実態です。識者においても、悲観的情報をずっと提供することで、長年生計を立てている人もいるくらいです。
たしかに、日銀の「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」を受けて、いくつかの種類の国債でマイナス金利になっています。MMFが販売停止になったりしています。
しかし、それでプラス金利の商品や無リスク資産がすべてなくなってしまったわけではありません。物事はイメージではなく、事実をもとに考える必要があると思います。
たとえば、民間銀行の預金金利は、本日(2016年2月13日現在)もプラス金利がついています。
みずほ銀行 0.02%
りそな銀行 0.02%
埼玉りそな銀行 0.02%
三菱UFJ信託銀行 0.02%
みずほ信託銀行 0.02%
三井住友信託銀行 0.02%
野村信託銀行 0.02%
オリックス銀行 0.02%
新銀行東京 0.02%
ジャパンネット銀行 0.03%
セブン銀行 0.05%
楽天銀行 0.02%
住信SBIネット銀行 0.02%
じぶん銀行 0.02%
新生銀行 0.02%
あおぞら銀行 0.02%
大和ネクスト銀行 0.02%
SBJ銀行 0.05%
三菱東京UFJ銀行 0.02%
三井住友銀行 0.02%
ゆうちょ銀行 0.03%
(出所:Yahoo!ファイナンス)
あいかわらず虫眼鏡で見ないと判別がつかないような超低金利ではあるものの、銀行の金利が虫眼鏡で見ないと判別つかないのは、もう10年以上も前からずっと同じです。
重要なのは金利が「プラス」であることで、マイナスになってパラダイムシフト云々という煽り情報に惑わされないことだと思います。
国債だって、「長期金利がマイナスで大変だ!」というイメージを持たれているかもしれませんが、個人が買っている個人向け国債は、昨日(2016年2月12日現在)も年率0.05%の最低金利保証があるので、プラス金利です。個人向け国債公式ツイッターアカウントがそうツイートしています。
重要なのは金利が「プラス」であることで、マイナス金利でパラダイムシフト云々という煽り情報に惑わされないことだと思います。
このように、世の中からプラス金利の商品や無リスク資産がなくなってしまったわけでは決してありません。
パラダイムシフトという強力な言葉を聞くと、今まで考えていたことが一気に無効化されてしまったような無力感に襲われるかもしれません。
でも、冷静に事実を見つめてみると、浅はかなメディアが喧伝するように天地がひっくり返るようなパラダイムシフトが、そう何度も起こっていたら、今ごろ天地は何回転もしているはずですが、実際は特に何も変わっていません。預金金利や個人向け国債の金利がよりショボくなっただけです。
資産運用の枠組みそのものが、おおきく変わってしまったわけでもなんでもありません。
実は、インデックス投資を行なっている個人投資家さんから、「マイナス金利のパラダイムシフトで、個人投資家にとっての無リスク資産がなくなってしまう!いったいどうすれば…?」という不安をメールフォームのメッセージでいただいています。
「生活防衛資金の普通預金も見直して、株や投信に移行した方がよいのではないか」というご意見を見るに至って、本末転倒感を感じずにはいられませんでした。マイナス金利という得体の知れないものを恐れるあまり、よりハイリスクなものに突っ込もうとしているように私には見えます。
「無リスク資産の商品は別になくなっていません。金利はよりショボくなりましたが、それは多かれ少なかれ昔からそうでしょう。資産運用の枠組みは何も変わっていません。株や投信などの投資は、ご自身のリスク許容度の範囲内で」と回答しましたが、上記の様な、プラス金利の実例を付けておけばよかったなと思い直し、ブログ記事で取り上げさせていただきました。
もしも、万が一、万が一ですが、預貯金金利や個人向け国債がマイナス金利に陥ったとして、どうでしょうか。その微細なリスク(年率 -0.1% とか -0.2% など)と、株や債券が持っているボラティリティ(±5.0%~±20%)を天秤にかけて、判断すればよいかと思います。
荒れ相場の時には、煽り系メディアや識者の「パラダイムシフト」というもっともらしい言葉に気をつけましょう。一時的な自信喪失からの思考停止で、リスク許容度を超えた投資に傾倒するようなことのないようにしたいものです。
<ご参考>
2012/12/02 「パラダイムシフト」という言葉に気をつけよう - 梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー(インデックス投資実践記)
たしかに、日銀の「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」を受けて、いくつかの種類の国債でマイナス金利になっています。MMFが販売停止になったりしています。
しかし、それでプラス金利の商品や無リスク資産がすべてなくなってしまったわけではありません。物事はイメージではなく、事実をもとに考える必要があると思います。
たとえば、民間銀行の預金金利は、本日(2016年2月13日現在)もプラス金利がついています。
みずほ銀行 0.02%
りそな銀行 0.02%
埼玉りそな銀行 0.02%
三菱UFJ信託銀行 0.02%
みずほ信託銀行 0.02%
三井住友信託銀行 0.02%
野村信託銀行 0.02%
オリックス銀行 0.02%
新銀行東京 0.02%
ジャパンネット銀行 0.03%
セブン銀行 0.05%
楽天銀行 0.02%
住信SBIネット銀行 0.02%
じぶん銀行 0.02%
新生銀行 0.02%
あおぞら銀行 0.02%
大和ネクスト銀行 0.02%
SBJ銀行 0.05%
三菱東京UFJ銀行 0.02%
三井住友銀行 0.02%
ゆうちょ銀行 0.03%
(出所:Yahoo!ファイナンス)
あいかわらず虫眼鏡で見ないと判別がつかないような超低金利ではあるものの、銀行の金利が虫眼鏡で見ないと判別つかないのは、もう10年以上も前からずっと同じです。
重要なのは金利が「プラス」であることで、マイナスになってパラダイムシフト云々という煽り情報に惑わされないことだと思います。
国債だって、「長期金利がマイナスで大変だ!」というイメージを持たれているかもしれませんが、個人が買っている個人向け国債は、昨日(2016年2月12日現在)も年率0.05%の最低金利保証があるので、プラス金利です。個人向け国債公式ツイッターアカウントがそうツイートしています。
【解説】個人向け国債の3商品は、いずれも金利の下限が0.05%(年率・税引き前)とされています。そのため、全く金利がもらえなくなるということはありません。
— コクサイ先生 (@kokusai_sensei) 2016, 2月 12
重要なのは金利が「プラス」であることで、マイナス金利でパラダイムシフト云々という煽り情報に惑わされないことだと思います。
このように、世の中からプラス金利の商品や無リスク資産がなくなってしまったわけでは決してありません。
パラダイムシフトという強力な言葉を聞くと、今まで考えていたことが一気に無効化されてしまったような無力感に襲われるかもしれません。
でも、冷静に事実を見つめてみると、浅はかなメディアが喧伝するように天地がひっくり返るようなパラダイムシフトが、そう何度も起こっていたら、今ごろ天地は何回転もしているはずですが、実際は特に何も変わっていません。預金金利や個人向け国債の金利がよりショボくなっただけです。
資産運用の枠組みそのものが、おおきく変わってしまったわけでもなんでもありません。
実は、インデックス投資を行なっている個人投資家さんから、「マイナス金利のパラダイムシフトで、個人投資家にとっての無リスク資産がなくなってしまう!いったいどうすれば…?」という不安をメールフォームのメッセージでいただいています。
「生活防衛資金の普通預金も見直して、株や投信に移行した方がよいのではないか」というご意見を見るに至って、本末転倒感を感じずにはいられませんでした。マイナス金利という得体の知れないものを恐れるあまり、よりハイリスクなものに突っ込もうとしているように私には見えます。
「無リスク資産の商品は別になくなっていません。金利はよりショボくなりましたが、それは多かれ少なかれ昔からそうでしょう。資産運用の枠組みは何も変わっていません。株や投信などの投資は、ご自身のリスク許容度の範囲内で」と回答しましたが、上記の様な、プラス金利の実例を付けておけばよかったなと思い直し、ブログ記事で取り上げさせていただきました。
もしも、万が一、万が一ですが、預貯金金利や個人向け国債がマイナス金利に陥ったとして、どうでしょうか。その微細なリスク(年率 -0.1% とか -0.2% など)と、株や債券が持っているボラティリティ(±5.0%~±20%)を天秤にかけて、判断すればよいかと思います。
荒れ相場の時には、煽り系メディアや識者の「パラダイムシフト」というもっともらしい言葉に気をつけましょう。一時的な自信喪失からの思考停止で、リスク許容度を超えた投資に傾倒するようなことのないようにしたいものです。
<ご参考>
2012/12/02 「パラダイムシフト」という言葉に気をつけよう - 梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー(インデックス投資実践記)
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