個人投資家の株価見通しとその後の市況は…?
水瀬ケンイチ

ニッセイ基礎研のレポートに、個人投資家の株価見通しと市況について調べた興味深いデータがありました。身もふたもない結果になっています。

(好機は諦めた頃にやってくる?-個人投資家の見通しとその後の株価 | ニッセイ基礎研究所より)
上記グラフは、ニッセイ基礎研のレポートにあった、3ヶ月後の株価見通しについて個人投資家にアンケートを実施し、その結果を公表したものです。
個人投資家の株価見通しと直近の市況には、「正の相関」が見て取れます。
個人投資家の株価見通しは、直近の市況が良い時には楽観的になり、市況が悪い時には悲観的になるようです。
これは、カッコよく言えば、個人投資家はトレンドフォローの傾向があるということ、悪く言えば、個人投資家は直近の状況がそのまま続くだろうと安易に考える傾向があるということだと思います。
トレンドフォローでも安易でも、投資成果に結びついていれば何の問題もないのですが、実際はそうなっていないようです。

(好機は諦めた頃にやってくる?-個人投資家の見通しとその後の株価 | ニッセイ基礎研究所より)
上記グラフからは、個人投資家の株価見通しと「直後」の市況には、とくに有意な相関は確認できません。
個人投資家の株価見通しが楽観的であろうが悲観的であろうが関係なく、直後の市況はバラけて動いているように見えます。個人投資家の株価見通しなどアテにならないということかもしれません。
私はこのインデックス投資ブログを10年以上続けていますが、相場の騰落によって、周囲の評価が豹変するのを幾度となく経験しています。経験上、上記ニッセイ基礎研のデータとも整合的です。
相場が良い時には、ブログに対してメールやSNSで賞賛の意見がたくさん寄せられますが、相場が悪い時には、反対の意見どころか誹謗中傷がたくさん寄せられます。相場の騰落とともに何度も繰り返されるので、もはや私の中では誹謗中傷も一定のリズムで繰り返される年中行事となっています。
人は直近の出来事が印象に残ってしまい、評価期間全体の評価が正しく行なわれない傾向があります。これを「近接誤差」(Recency Bias)というそうです。
長期投資家であっても、直近の市況に一喜一憂すること自体は否定しませんが、他人に迷惑をかけず、ひとりでやっていてほしいものです。
なお、ニッセイ基礎研のレポートでは、直近・直後のタイムスパンは3ヶ月ですが、6ヶ月とか1年とか別のタイムスパンで調べたデータも見てみたいなと思いました。興味深いデータがあればまた取り上げたいと思います。
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