株価がブレグジット前の水準を回復したと胸をなでおろす前に
水瀬ケンイチ

国内外の株価がブレグジット前の水準を回復したと報道されています。あっという間に回復しました。特に、米英の株価が好調なようですね。
インデックス投資(国際分散したインデックスファンドの積み立て投資)をはじめて間もない投資家さんのなかには、「ああ、よかった」と胸をなでおろしているかたもいらっしゃると思います。でも、ちょっと待ってください。その前にやることはありませんか。
暴落局面では、インデックス投資家にできることはあまり多くありません。古参のインデックス投資ブロガーたちも、たとえば2008年のリーマン・ショックの時には呆然としていたものです。
それでも何かしらアドバイスをしなくてはならないFPの方々などは、暴落局面で、「自分のリスク許容度の確認を」といったアドバイスをするのをよく見かけます。
自分のリスク許容度(年間いくらまでの損だったら耐えられるか、または、何%までの損だったら耐えられるか)に照らして、明らかにリスクを取り過ぎている場合、対処する必要があります。
具体的には、「投資額全体を減らす」か、または、資産配分のうち株式やREITなど「リスクが高い資産クラスの比率を減らす」ことをします。つまり、投資している資産を売ることになります。
予想外の大きな損失をくらって市場から一発退場にならないためには、リスク許容度の確認はたしかに重要です。
ただ、本当は、リスク許容度の確認は株価が好調な時に「こそ」行なうべきで、暴落局面でそれを行なうのでは遅いのです。
なぜなら、暴落時にリスクを取り過ぎていたことに気づいても、既に資産は毀損しており、そこから投資額や資産配分を調整しようとすると、資産価格が下がっている時に損失を確定することになってしまうからです。
おすすめなのは、株価がググっと上がった時に、プラスとマイナスを入れ替えて、同じだけ下がったら耐えられるかと自問自答することです。
たとえば、株価が大幅に上がり、1日で資産が50万円増えた日には、「50万円も儲かった!ワーイワーイ!」と喜ぶだけでなく、「もし、50万円損したら耐えられるだろうか…?」と、逆の場合のことを考えてみるといった具合です。
これは、株価の動きが短期的にはランダムで正規分布するという前提で物事を考えるのであれば、平均値(ここでは期待リターン)をはさんで上にも下にも同じ幅で株価変動があっておかしくないという理屈に基づきます。
「そ、それはちょっと耐えられないな……」と感じるのであれば、それは運用資産が自分のリスク許容度を超えている可能性があり、前述の対処(資産額や資産配分の調整)が必要になります。
株価が高い時に資産を売ることは利益確定になり、もっと言えば「勝ち逃げ」の形になるので、悪い話ではありません。リスクを取り過ぎていたこと自体はミスですが、美味しい形でミスを修正できて、結果オーライとなります。
だからこそ当ブログでは、暴落局面ではなく、相場が好調な時にこそ、繰り返し「リスク許容度の確認を」という記事を投稿しているのです。
以前、暴落局面で上記と同様の記事を書いたところ、「ただでさえ損失を被ってへこんでいる投資初心者に、傷口に塩を塗りこむような真似しやがって!」と末代まで呪わんばかりの非難と人格否定をされたことがあります。
気持ちは痛いほどわかりますが、たびたび訪れる暴落相場のたびに、共感しながら「辛いよね、資産配分の見直しだね」と言って資産を売却させていては、高い時に買って安い時に売ることになり、資産形成などできるはずがありません。
聞こえのよい言葉で対症療法を繰り返すよりも、たとえ耳が痛くても、リスク許容度を超えた状態をずっと放置していたミスに対して、今後、同じミスを繰り返さないような「気づきや工夫」(たとえば、相場上昇時のプラスとマイナスを逆にしたリスク許容度の確認)を示した方が、よっぽど投資家本人のためになると私は考えます。
ですので、今後も当ブログでは、上げ相場で世の中が浮かれ気味の時に、「こんな時こそリスク許容度の確認を、リスク許容度の確認を」と念仏のようにくり返し記事を書いていくつもりです。
※当ブログ記事は、インデックスファンドのバイ&ホールド戦略をとっている投資家に向けて書かれています。他の投資法においては当てはまらない場合があるのでご注意ください。
<ご参考>
2016/01/21 リスク許容度の確認は、相場が下げてからするのではもう遅い
2015/11/09 課税されるのが嫌なのでリバランスしたくない?
2015/08/23 何度でも何度でも何度でも、胸に刻むべき投資の大原則
2015/06/11 「投資は自分のリスク許容度の範囲内で」と何度でも言います
2015/04/16 国際分散投資派にとっては、日経平均が2万円を超えるかどうかよりも重要なことがある
2015/03/18 日経平均が15年ぶりの高値だそうですが
2014/09/08 「喉元過ぎれば熱さ忘れる」とつくづく思う
2014/04/24 資産配分を見直すのは、今みたいな時じゃないですかね
2013/12/09 上げ相場で自分のリスク許容度を超えていないか、いま一度チェック
2013/10/03 リーマン・ショック後に投資を始め、いま絶好調の投資家たちへ捧ぐ
2013/05/05 昨今の日本株上昇でテンション高くなってるインデックス投資家へ
2011/09/19 近視的に調子がよければもてはやされ…
2006/04/05 運用が好調ですが、淡々とやります
それでも何かしらアドバイスをしなくてはならないFPの方々などは、暴落局面で、「自分のリスク許容度の確認を」といったアドバイスをするのをよく見かけます。
自分のリスク許容度(年間いくらまでの損だったら耐えられるか、または、何%までの損だったら耐えられるか)に照らして、明らかにリスクを取り過ぎている場合、対処する必要があります。
具体的には、「投資額全体を減らす」か、または、資産配分のうち株式やREITなど「リスクが高い資産クラスの比率を減らす」ことをします。つまり、投資している資産を売ることになります。
予想外の大きな損失をくらって市場から一発退場にならないためには、リスク許容度の確認はたしかに重要です。
ただ、本当は、リスク許容度の確認は株価が好調な時に「こそ」行なうべきで、暴落局面でそれを行なうのでは遅いのです。
なぜなら、暴落時にリスクを取り過ぎていたことに気づいても、既に資産は毀損しており、そこから投資額や資産配分を調整しようとすると、資産価格が下がっている時に損失を確定することになってしまうからです。
おすすめなのは、株価がググっと上がった時に、プラスとマイナスを入れ替えて、同じだけ下がったら耐えられるかと自問自答することです。
たとえば、株価が大幅に上がり、1日で資産が50万円増えた日には、「50万円も儲かった!ワーイワーイ!」と喜ぶだけでなく、「もし、50万円損したら耐えられるだろうか…?」と、逆の場合のことを考えてみるといった具合です。
これは、株価の動きが短期的にはランダムで正規分布するという前提で物事を考えるのであれば、平均値(ここでは期待リターン)をはさんで上にも下にも同じ幅で株価変動があっておかしくないという理屈に基づきます。
「そ、それはちょっと耐えられないな……」と感じるのであれば、それは運用資産が自分のリスク許容度を超えている可能性があり、前述の対処(資産額や資産配分の調整)が必要になります。
株価が高い時に資産を売ることは利益確定になり、もっと言えば「勝ち逃げ」の形になるので、悪い話ではありません。リスクを取り過ぎていたこと自体はミスですが、美味しい形でミスを修正できて、結果オーライとなります。
だからこそ当ブログでは、暴落局面ではなく、相場が好調な時にこそ、繰り返し「リスク許容度の確認を」という記事を投稿しているのです。
以前、暴落局面で上記と同様の記事を書いたところ、「ただでさえ損失を被ってへこんでいる投資初心者に、傷口に塩を塗りこむような真似しやがって!」と末代まで呪わんばかりの非難と人格否定をされたことがあります。
気持ちは痛いほどわかりますが、たびたび訪れる暴落相場のたびに、共感しながら「辛いよね、資産配分の見直しだね」と言って資産を売却させていては、高い時に買って安い時に売ることになり、資産形成などできるはずがありません。
聞こえのよい言葉で対症療法を繰り返すよりも、たとえ耳が痛くても、リスク許容度を超えた状態をずっと放置していたミスに対して、今後、同じミスを繰り返さないような「気づきや工夫」(たとえば、相場上昇時のプラスとマイナスを逆にしたリスク許容度の確認)を示した方が、よっぽど投資家本人のためになると私は考えます。
ですので、今後も当ブログでは、上げ相場で世の中が浮かれ気味の時に、「こんな時こそリスク許容度の確認を、リスク許容度の確認を」と念仏のようにくり返し記事を書いていくつもりです。
※当ブログ記事は、インデックスファンドのバイ&ホールド戦略をとっている投資家に向けて書かれています。他の投資法においては当てはまらない場合があるのでご注意ください。
<ご参考>
2016/01/21 リスク許容度の確認は、相場が下げてからするのではもう遅い
2015/11/09 課税されるのが嫌なのでリバランスしたくない?
2015/08/23 何度でも何度でも何度でも、胸に刻むべき投資の大原則
2015/06/11 「投資は自分のリスク許容度の範囲内で」と何度でも言います
2015/04/16 国際分散投資派にとっては、日経平均が2万円を超えるかどうかよりも重要なことがある
2015/03/18 日経平均が15年ぶりの高値だそうですが
2014/09/08 「喉元過ぎれば熱さ忘れる」とつくづく思う
2014/04/24 資産配分を見直すのは、今みたいな時じゃないですかね
2013/12/09 上げ相場で自分のリスク許容度を超えていないか、いま一度チェック
2013/10/03 リーマン・ショック後に投資を始め、いま絶好調の投資家たちへ捧ぐ
2013/05/05 昨今の日本株上昇でテンション高くなってるインデックス投資家へ
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2006/04/05 運用が好調ですが、淡々とやります
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