アクティブファンドの9割が相場に勝てないという調査結果、日本では?
水瀬ケンイチ

アクティブファンドの9割が相場に勝てないという調査結果が、日経新聞のサイトに掲載されています。
アクティブ運用ファンドの9割が相場に勝てず――。S&Pダウ・ジョーンズ・インディシーズは15日、米国の投資信託の2016年上半期の株式ファンドの運用成績を発表し、こんな結果を明らかにした。
9割が相場に勝てず、米アクティブ運用ファンド S&P調べ :日本経済新聞
これだけ見ると「アクティブファンドはダメだね」で終わってしまうのですが、もう少し深掘りすると、少し違った様子も見て取れます。
日経記事の元となる情報ソースは、S&Pダウ・ジョーンズ・インディシーズが毎年発表しているインデックス vs アクティブの調査 「SPIVA」だと思われます。SPIVAを見ると、国別比率などより詳細な情報がわかります。
直近のSPIVA(2016/06/30)によると、各国の株式ファンドのうち、アクティブファンドがインデックスに勝てない比率(5年間)は以下のとおりでした。
アメリカ(S&P 500) 91.91%
オーストラリア(S&P/ASX 200) 67.16%
カナダ(S&P/TSX COMPOSITE) 65.75%
ヨーロッパ(S&P EUROPE 350) 80.63%
インド(S&P BSE 100) 56.52%
日本(S&P/TOPIX 150) 49.83%
ブラジル(S&P BRAZIL BMI) 56.56%
チリ(S&P CHILE BMI) 100.00%
メキシコ(S&P MEXICO BMI) 81.58%
南アフリカ(S&P SOUTH AFRICA DSW) 74.58%
(SPIVAより5年データを引用)
この5年間、米国をはじめ先進諸国では、大半のアクティブファンドがインデックスに勝てなかったようです。新興国チリのアクティブファンドは、100%インデックスに勝てなかったというのも衝撃的なデータです。
一方、日本だけは49.83%となっており、逆に半数以上のアクティブファンドがインデックスに勝ったようです。
この違いの要因は何なのでしょう。よく言われる「市場の効率性」の違いなのか、「運用会社の実力」の違いなのか、期間中の日本が「運用しやすい相場状況」だったのか。それを確認するすべは私にはありません。
ただ、日本ではこの5年間、「S&P/TOPIX 150」に投資するよりもアクティブファンドに投資した方が、報われる可能性が(ほぼ半々とはいえ)少し高かったという事実は、覚えておきたいと思います。
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