国際分散投資しているインデックス投資家にとって、あたたかい相場環境が続いておりますが
水瀬ケンイチ

日経平均が年初来高値で、2015年8月以来1年10カ月ぶりの水準、そして、為替は一時1ドル=111円70銭台、約1カ月ぶりの円安水準とのこと。
国際分散投資しているインデックス投資家にとって、あたたかい相場環境が続いており、それはそれでよいことだと思います。
SNS等を見ていると、今までインデックス投資の「イ」の字も言ったことがないような見知らぬアカウントの人々が、なぜか「インデックス投資はダメだ!」「インデックス投資なんて儲からない!」と、躍動感あふれる投稿を続々としはじめているようです。
え、そんなこと言えちゃうの? え、その話にエビデンスあるの? とツッコミどころはたくさんあるのですが、そんなことよりも、この風景、どこかで見たことがあり、既視感を覚えます。
私は将来の相場動向は予測不能だと思っているのでよくわかりませんが、この10数年、愚直にインデックスファンドの積み立て投資をしてきたなかで、結果的に、相場に過熱感が出始めた頃の風景(後からようやくわかることですが…)と酷似しているような気がします。
各種の経済指標が相場の過熱感を示しているのか、私にはわかりませんが。
こういう時に、投資家は「気が大きく」なって、市場平均で満足するのは愚かで、ちょっと努力すればそれなりの確率で思い通りのプラスαの超過収益を得られるような感覚(ある種の全能感)を抱いてしまうものです。
私もむかーし昔は、日本株個別株投資でデイトレやスイングトレードで戦っていたのでよくわかります。相場がよくて利益がどんどん増えている時は、自分なりの銘柄選定と売買タイミングで、市場平均など容易に蹴散らせるような感覚を持ったことがあります。
10数年前の自分の感覚とほぼ同じような勇ましいコメントがSNSにあふれてくるのを見て、「頑張っているのね!戦っているのね!」と応援したくなるのと同時に、今の自分はむしろ気を引き締めてディフェンシブにいこうと、あらためて思い直すのであります。
現在のポートフォリオの資産配分は、株式の比率が高過ぎになっていないか。ポートフォリオ全体のリスク(ボラティリティ)は自分自身のリスク許容度の範囲内に収まっているのか。皆さまも、ぜひ一緒に再計算して確認してみてください。
あらためて確認して、きちんとリスク許容度の範囲内に収まっていれば、あとはほったらかしていても、長期的には資本主義経済の成長のおこぼれに預かる程度のリターンは得られるだろうとゆったり構えます。そして、相場の喧騒から距離を置いて、本業のお仕事や家族と過ごす時間にいそしむだけです。
週末に某温泉宿で、美味しい地魚料理をいただいて、露天風呂に浸かってお仕事の疲れを癒やしつつ、満点の星空を眺めながらぼんやり思いました。
「自分の限られた人生において、相場動向や他の投資家の意見など瑣末なこと。もっと大切なことがあるのでそこに注力したい」
他の方もそうあるべきとは思いませんが、少なくとも私は、常に眉間にしわを寄せて常に相場と対峙していく気はありません。
ほったらかし投資で浮いた時間は、人生を豊かにするための大切なことに使っていきたいと思います。

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