順張りがいいのか、逆張りがいいのか? 日米で大きく異なる結果とその理由
水瀬ケンイチ

モーニングスターに、「順張り」がいいのか、「逆張り」がいいのかについて、おもしろいデータがありました。
上記コラムでは、国内の株式・債券・REIT、海外の株式・債券・REITの6資産のうち、前年に最もリターンが高かった資産を翌年に買うことを順張り、逆に、前年に最もリターンが低かった資産を翌年に買うことを逆張りとして、それを毎年繰り返したらどうなったかを検証しています。
その結果、おもしろいデータが出ていました。まずは日本バージョンです。
(期間はモーニングスターさんがデータ取得可能な期間で最長の2004年以降)

(モーニングスター [ アナリストの視点(ファンド) 世界株高―順張り・逆張り!?それとも… 2017-06-22]より引用)
逆張りが勝っています。よく日本の個人投資家は逆張り派が多いと言われていますが、このデータを見ると、さもありなんという気がします。
一方の順張りはボロボロで、資産を半分程度まで減らしています。アカン…。
ちなみに、6資産均等の分散投資が、順張りや逆張りよりも圧勝しています。分散投資強し。
続いて、米国の株式・債券・REIT、海外の株式・債券・REITの6資産で同様の検証を行なった、米国バージョンです。
(期間はモーニングスターさんがデータ取得可能な期間で最長の1990年以降)

(モーニングスター [ アナリストの視点(ファンド) 世界株高―順張り・逆張り!?それとも… 2017-06-22]より引用)
こちらは日本とは正反対の結果になっており、順張りの圧勝です。逆張りは、あまりふるっていません。
ちなみに、6資産均等の分散投資は、順張りと同程度というように私には見えます。
上記コラムでは、順張り・逆張りの相対的な優位性が日米で逆となっている理由を、「対象とする市場と期間において、中長期的な資産価格の上昇トレンドがあったかどうかによるところが大きい」と分析しています。ふむふむ。
さて、ここからは個人的な推測です。
米国では、データ期間中において、国内株式(=米国株式)が好調な年が継続していたため、順張りのリターンが絶好調だったのだと推測します。
さらに、その好調な資産クラスが、米国においては為替リスクをともなわない国内株式(=米国株式)であったことが、上昇トレンドが長続きした理由にあると考えます。
それに対して日本では、たとえ海外株式(≒米国株式)の好調が続いていても、ドル円の為替が円高になってしまえば、その上昇は相当押さえられてしまいます。
自国通貨が違うため、資産クラスの上昇に影響する要素が、ひとつ余分にあるのが日本(というか米国以外の国)の投資家の泣きどころです。
日本のネット証券で海外株式の特定口座対応が進んだ2014年~2015年以降、一部の投資家の間で米国株投資がブームになっています。リターンも好調なようで何よりです。私もIVV等の米国ETFに投資しており、好調なリターンを享受しています。(一般口座ですがね(血涙))
ただ、私たち日本で暮らす日本人が米国株投資をする場合、米国人とは違って、ドル円の為替リスクという予測不能かつ余計なリスクを背負い込まざるをえないということは、頭の片隅に置いておきたいところです。
そして、そのせいで米国よりも好調な資産の入れ替わりが激しい(=中長期的な資産価格の上昇トレンドがない)のだとするならば、投資する資産クラスを決め打ちせずに、幅広い資産クラスに分散投資しておくことに一定の合理性はありそうです。
上記グラフの1枚目にある日本バージョンのグラフが、それを表しているように思います。
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