アクティブファンドをタイミングを図って売買する投資家は、バイ&ホールドする投資家に負けているどころか…
水瀬ケンイチ

モーニングスターに、「インベスターリターン」に着目したアクティブ vs パッシブの比較データが掲載されていて、非常に興味深いので取り上げさせていただきます。
「インベスターリターンは、ファンドを保有する投資家の平均的な損益を示す」(モーニングスターより)ので、ファンドごとに、バイ&ホールドしていた投資家(トータルリターン)と、タイミングを見計らってファンドを売買していた投資家(インベスターリターン)を比較できる便利な指標です。
モーニングスターでは、たしか2010年のリニューアル以降、インベスターリターンが見られるようになったと記憶しています。

(モーニングスター [ アナリストの視点(ファンド) アクティブVSパッシブ、投資家の“実際の儲け”は? 2018-03-08]より引用)
上記モーニングスターのグラフによると、過去10年間、これは2008年リーマンショックの期間を含みますが、アクティブファンドをタイミングを図って売買した投資家はバイ&ホールドする投資家に負けているだけでなく、パッシブファンドをバイ&ホールドする投資家には大きく負けている様子がわかります。
要するに、下げ相場になると、「一時撤退! 相場が良くなったらまた参戦します♪」とやっているアクティブファンドの投資家は、撤退タイミングが悪いのか、再参戦のタイミングが悪いのか分かりませんが、結局、バイ&ホールドを継続する投資家に大きく劣るリターンしか得られなかったということです。
タイミングを図って売買しながら、「明らかなバブルは避けるべき」だの「勉強すれば投資タイミングが分かる」だのとしたり顔で言う個人投資家はたくさんいて、時に、バイ&ホールド戦略を「アホールド」などと言って批判します。
しかしながら、平均的データで見ると、君こそ余計なことをしないでアホールドしていた方がまだマシだったのでは、という結果に終わっています。
上記記事のグラフからは、以下の点が読み取れます。
- アクティブファンドに投資する投資家の投資タイミングは超がつくほど下手
- アクティブファンドの運用者の投資タイミングに任せておいた方がまだマシ
- 上記2つのアクティブファンドのケースよりも、パッシブファンドをバイ&ホールドするのがさらに良い
タイミング投資でリターンを上げられると考えている投資家の中には、このようなデータを見て内心おもしろくないかたがいらっしゃるかもしれません。でも、平均的な現象をデータで把握することはとても大切です。
そのうえで、「俺だけは違う」とお考えになる客観的証拠や自信をお持ちの方は、どうぞ頑張ってください。
最後に、タイミング投資側を少しだけフォローすると、それは、パッシブファンドのインベスターリターンがトータルリターンよりも(僅かながら)上回っているというデータです。
これは、アクティブファンドは論外であるものの、パッシブファンドでタイミング投資する投資家は、バイ&ホールドする投資家よりも(僅かながら)超過リターンを得ることができたという事実でもあります。
すべてのタイミング投資がダメだというわけではないのが、タイミングを図って売買するアクティブ運用の救いとなっている形です。
私は資産運用にできるだけ手間をかけたくないので、今までもこれからも、パッシブファンドをバイ&ホールドしていこうと思いますが。
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