「VOO」がいいの?「VTI」がいいの?「VT」がいいの?と過去のリターンを比べる方々へ
水瀬ケンイチ

ブログをはじめたばかりの初心者投信ブロガーの方々に、人気のテーマがあります。それは、ETFやインデックスファンドの銘柄比較です。
個々の銘柄のリターンを横並びに比較して、どれが良いのかを考えようというテーマです。ETFでいえば、VOO がいいの? VTI がいいの? VT がいいの?と過去のリターンの推移を並べて比べてみる記事です。
こういうグラフをよく見ませんか?

これを見て、「おっ、このなかでは VTI がいちばん儲かるのか。じゃあそれに投資しようっと」と思ってしまう。そんな方々に見ていただきたい動画があります。

上記のバンガードのサイトにある動画をご覧ください。たった3分です。
私が考えるこの動画のポイントは、以下の3つです。
- ETFのリストを挙げ、その実績を調べたくなるのは当然のことです。しかし過去のデータはこれまでのETFの成績を示すもので、未来のことは分かりません。
- 個々のETFのパフォーマンスには注意を向けず、分散させたポートフォリオ内でのETF活用法を考えます。資産が増える可能性とそのために許容できるリスク、このバランスを取るために分散投資は必須です。
- 次の段階では自分が住む国から世界に投資を広げるといいでしょう。
(バンガードWEBサイトより抜粋)
ちなみに、当ブログでは、前回の記事まで「低コストインデックスファンド徹底比較」シリーズを更新しています。この比較シリーズ記事は同じ資産クラスのインデックスファンドを比較するものです。
それに対して、上記のグラフのように、異なる資産クラスの商品を並べて、商品を比較した「つもり」になってしまうのは危険なことです。
動画の中でも言われているように、重要なのは、どの銘柄が一番儲かったかに注意を向けるのではなく、値動きの異なる資産クラスを組み合わせて分散効果を得ながら、期待リターンとリスクのバランスを、自分自身のリスク許容度の範囲内におさめることです。
ETFやインデックスファンドの個々の銘柄は、その道具のひとつに過ぎません。
異なる資産クラスの商品のリターンを横並びにして、いちばんリターンが高かったものを選ぶというのは、良くないグラフの使い方だと私は思います。
リターンの裏には必ずリスクがセットであります。
異なる資産クラスの商品を比較するには、リターン、リスクの両面からの検討が必要ですし、どうせなら、相関係数を使って、それらを組み合わせた時の、リターン・リスクのバランスの改善効果を見る方がよほど有用だと思います。
この説明が難しくていまいちよくわからないというかたは、もう一度、上記バンガードの動画を見てみることをおすすめします。私なんかよりも、ずっとわかりやすい解説をしてくれていますので😅
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