「お金は寝かせて増やしなさい」に頂いた書評(その17) しゅんすけさん
水瀬ケンイチ
拙著「お金は寝かせて増やしなさい」に頂いた書評をピックアップ。その17は、ブログ「【京極・出町/京都】年金アドバイザーの毎日」のしゅんすけさんです。ありがとうございます。
しゅんすけさんは、京極・出町FP相談代表のファイナンシャル・プランナー(FP)さんです。
ブログは「相談を受けることを生業(なりわい)としている私が日々きちんと活動できていますというPRの場」とのお考えのもと、日々、FPの立場からお金に関するクオリティの高い情報を発信されており、私も勉強させてもらっているかたです。
そんなしゅんすけさんが、拙著「お金は寝かせて増やしなさい」を読んで、書評を書いてくれました。
そうなんですよね。すべての著者がプロローグ→エピローグをまず読まれることを想定してはいないと思うのですが、プロローグで著書の全体像と読んでほしいポイントを書いてなんとか読者の興味をひくように(買ってもらえるように)がんばり、エピローグでは結論を端的にふりかえり、最後に「読んで良かった」と思ってもらえるようにがんばるのです。多くの本にも言えることなのですが、プロローグの後すぐにエピローグも読んでから本文に入ることをお勧めしたいです。読み進めるにあたっての強い動機付けになると感じることが多いからです。
ゆえに、本を読む時に、プロローグ→エピローグをまず読むというのは効率的な読み方になることが多くなるのだと思います。逆に、まずそこを読んで、著者が上から目線で独りよがりなことばかり書いてあるようでは、全体を読む価値はないと判断されても仕方がないと思います。
タイトル(小見出し)は、半分以上、出版社の編集さんのグッジョブなのです。私の荒削りなつまらない小見出しを、編集さんが原稿内容を理解したうえで、多くの人に興味を持ってもらえるようなワーディングで整えてくれ、ていねいに仕上げてくれました。■第1章 金融のど素人でもプロと互角以上に叩ける「インデックス投資」
・すぐに大儲けできない p38~
・アクティブファンドのほとんどがインデックスに勝てない皮肉な現実 p41~
・いざ始めてしまえば、やることはほとんどない! p48~
・なぜ、銀行や証券会社はインデックス投資をすすめないのか? p50~
興味を引くうまい項目のタイトルだと感じます。いくら内容が良くても、ここがあんまりだとこれだけ多くの方々が手に取ることはないと思います。僭越ながらすばらしいです。
■第2章 寝かせて増やすインデックス投資の実践法
ここでは、私がFPについて、節約をすすめる人、また、金融機関側の人間として、最適なポートフォリオを提案しますと契約を迫ってくるかもしれない人、という体裁で表現した箇所があります。
それに対して、しゅんすけさんは、「FPは節約アドバイザーではありません」「FPというよりも厳密にはIFA(証券会社の代理店)かなと感じます。(中略)IFAの方々もFP資格を持っていればFPと名乗りますから一般にはその区別はつきません。はぁ…悩ましいです」と感想を述べられています。
FPのなかにも様々な提供サービスと所属(収入源)の方々がいらっしゃることがうかがえます。FPといっても、十把一絡げにはできないのかもしれませんね。
良心的なFPの相談事業をされているかたにとっては、失礼な決めつけになってしまったかもしれません。お詫び申し上げます。(そうではないFPもたくさん知っているので、同じく悩ましいですが…)
ここでしゅんすけさんは、iDeCo(個人型確定拠出年金)の「年金」という言葉に厳密な意味の使い方を求めていることを述べられています。■第3章 おすすめの金融機関&口座開設の手順と気になるNISAとiDeCo
・iDeCo(個人型確定拠出年金)はあくまでも「年金」であることを忘れずに! p141~
水瀬さんは将来資金という意味において「年金」と略されていると読み取りました。本文中にも出てきていますが、世の中にあふれている「私的年金」という用語の存在が悪だと私は思っています。
「年金」という用語には「分割して受け取る」という意味しかありません。
「公的年金」は保障の仕組みです。
(中略)
また、iDeCoは分割受け取りだけでなく、一時金受け取りも選べます。
確定拠出年金との名称ではありますが、私の立場としましては「年金」ではなく「自分で作る将来資金」です。
私もiDeCoは「自分で作る将来資金」という仕組みだと考えています、ここでは、老後のために一定年齢まで引き出せないお金だという注意喚起をこめて、一般的な「年金」という言葉を使っています(正式名称も確定拠出「年金」ですし)。もちろん、iDeCoは制度で国からもらえるお金ではなく、自分で拠出する自分の将来のためのお金です。
言葉のひとつひとつの意味をていねいに使い分けて、お客さんの誤解を解消していこうとする姿勢がハッキリ見て取れるご感想です。
言葉は大切です。いい加減な使い方や独自の意味付けで言葉を使ってしまうと、読んだかたに無用な混乱や誤解を与えかねません。しゅんすけさんのていねいな言葉の使い分け、すばらしいと思います! 私も見習わなくては。
しゅんすけさん自身が、事前にアドバイスをしたお客さんが実際に下落を経験した時に、「事前にアドバイスもらっていなかったら相場が下がったときに怖くなって売ってしまっていたと思います」と感謝された逸話を取り上げられています。■第4章 始めるのはカンタンだけど続けるのは意外と難しい
・損益で一喜一憂する凡人から抜け出そう! p148
・相場が暴落したらどうすんのよ!? p171~
・相場が好調なときにこそ「リスク許容度の確認」をすべし! p173~
刺激的な項目タイトルです。
この章の内容は本当にたいせつです。
「事前にアドバイスもらっていなかったら相場が下がったときに怖くなって売ってしまっていたと思います」投資信託の積立購入の件です。インデックス投資家の方々のブログや書籍にたどり着けていなくて、専門家にも相談していなければ普通の反応なんだろうなと改めて感じた午前中の相談対応でした。
— 伊藤 俊輔 (@shiso_tsukune) 2018年3月7日
やはり、知識の力は大きいと思います。
下落相場がどのようなものか、事前に知識があるのとないのとでは、実際に下落相場が訪れた時に投資を継続できるかどうかに大きな違いが出ると思います。
投資を始めるにあたって、勉強もせず、アドバイスを受けることもなく、丸腰で相場の荒海に出ていく人が後を絶たない(それをすすめるFPさえいる!)なか、心に留めておきたい逸話を、ご感想のなかで学ばせていただきました。
当時の出来事を1年ごとにふり返りながら、著者の資産金額推移を晒していくという、脇汗をかきながら書いた章です。リアリティと生々しさを楽しんでいただけたら幸いです。■第5章 涙と苦労のインデックス投資家15年実践記
・2004年 ロクなインデックスファンドがなかった時代 p208~
・2008年 ガー(;゚Д゚)ーン!! まさかの大暴落! p216~
・2009年 まさかのV字回復! キター(゚∀゚)-!! p222~
すごいです。歴史書です。
つみたて投資を始めている人、始めようとしている方々はこれから先に相場の低迷や大暴落があったとき、この章を読み返すことで売却せずに踏みとどまれると思います。繰り返します。すごいです。
たしかに、仰るとおりです!■第6章 貴重情報! インデックス投資の終わらせかた
・インデックス投資の出口戦略③「必要になったら必要な分だけ取り崩す」 p257~
第2章で2ページだけ取り上げられているリバランスも、ページ数を増やしてこちらで触れてもらいたかったというのが個人的な要望です。
必要になった分の資産を取り崩す際には、所定の資産配分からハミ出た資産クラスを優先的に取り崩せば、取り崩しとリバランスを兼ねることができて、一石二鳥でさらに良いですね。
メモメモ…_φ(・_・
ほかにも、ネット上の特設ページでプロローグや漫画(コミック)パートの冒頭が読めることや、本の表紙を外した時に出てくる「隠しイラスト」に気づいてくれたり(というより、私も言われて初めて気づきました笑)、本書を隅から隅まで楽しんでいただきました。ありがとうございます!
FPのかたから見た拙著「お金は寝かせて増やしなさい」のご感想は、過分な高評価であるとともに、著者にとってもたくさん気づきをいただくことができました。しゅんすけさん、ありがとうございました🙏
そして、日々の良心的なFP相談事業、がんばってください!
皆さまも、ご興味がありましたらぜひ書店でお手に取ってみてください。もしくは以下からどうぞ。
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