日経電子版の記事「インデックス型投信の選択肢広がる」の後半があやしい……汗
水瀬ケンイチ

日経電子版に「つみたて元年、インデックス型投信の選択肢広がる」という記事が掲載されています。
2018年から積み立て型の新しい少額投資非課税制度である「つみたてNISA」が始まり、インデックスファンドの種類も増え、個人投資家にとっての選択肢が広がりました。
まさに、つみたて元年。つみたてNISAさまさまです。
上記の日経電子版の記事では、インデックスファンドの本数や純資産総額が増えてきたことに加えて、後半で、運用の目標年に向けて安全資産の配分を増やしていく「ターゲット・デート・ファンド」と、「ロボット」や「バイオ」、「宇宙開発」などテーマ型投信を大きく取り上げています。
ターゲット・デート・ファンドは、つみたてNISA対象商品が5本あると書かれています。つみたてNISAは20年間売却しないことを前提に作られたしくみなので(途中売却も可能ですが)、加齢にともなう資産配分変更(リアロケーション)を自動でやってくれる投信というのは、一定のニーズがあると思います。
一方で、テーマ型投信は、つみたてNISA「対象外」と書かれているにもかかわらず、なぜかぐいぐいおすすめされており、無理やり感を感じます。
テーマ型投信のように「旬」があるものは、タイミングを見極めて売買をする必要が出てくるため、長期投資にはなじみません。特に、つみたてNISAは、一度購入すると非課税枠を消費してしまい、売却しても非課税枠が復活しないしくみになっているので、テーマ型投信は不向きです。
これまでオーソドックスなインデックスファンドをシリーズ展開していた複数の運用会社が知恵を絞り、相次いでテーマ型を投入した。
背景にあるのは、個人の資産運用への知識や関心が向上し、低コストのインデックスファンドが広く知られるようになってきたことだ。
(つみたて元年、インデックス型投信の選択肢広がる :日本経済新聞より)
この文章も、背景と結果がつながっておらず、不自然です。
国民年金を運用するGPIF等、機関投資家(プロ)のポートフォリオを見てもテーマ型投信は入っていないように、個人でもテーマ型投信はあまり使いどころがないように思います。資産運用の知識が向上すれば、なおさらテーマ型投信など買わないでしょう。
べつに世の中にテーマ型投信が存在していてもいいとは思います。でも、金融機関が売りたい商品と、個人投資家が買いたい商品は違います。
つみたてNISAという個人投資家目線で作られた良心的なしくみを引き合いに出して、金融機関が売りたい商品をおすすめしようとすると、どうしても上記記事のように文章展開に歪みが出てきてしまいます。
なかなかむずかしいですね💦
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