投資信託の制度・規制緩和の年表、インデックス投資の(勝手)年表
水瀬ケンイチ

投資信託の制度・規制緩和の歴史がまとまった年表が、トウシルに掲載されていますので取り上げます。
(2018/12/13 残高は国家予算を超える101.28兆円!誕生から振り返る平成の投資信託 | トウシルより引用)
1951年の日本初の投信が国内株式クラスだけだったところ、1961年に国内債券の組み入れが可能になり、1970年に外国証券の組み入れが可能になり、1978年に為替ヘッジ先物予約が可能になり、2003年にはREITが解禁になり、この頃には投資家の資産運用に必要なアセットクラスはだいたい投信で揃っていました。
私がインデックス投資をはじめたのは2002年なので、このあたりの時期です。
トウシルの年表では、順風満帆に環境が向上してきたように見えますが、実際はそんなきれいなものではありませんでした。
たしかに、ひととおりのアセットクラスの投信は揃っていましたが、基本的にアクティブファンドが中心であり、販売手数料も信託報酬も高かった状況でした。
インデックス投資の環境は、2005年くらいまでは、はっきりいってボロボロでした。
インデックスファンドはあっても日本株式インデックスファンドばかり、しかもノーロードではないものばかりでした。また、せっかく国内外の株式や債券のインデックスファンドが出てきても、突然、繰上償還や取扱廃止に追い込まれることが相次ぎました。
黎明期のインデックス投資家たちは、そのたびに振り回され苦労しました。その頃のインデックス投資環境を勝手に年表にした過去記事があるので、そこから引用します。あわせてご覧ください。
<水瀬的インデックス投資の思い出年表>
2002年 | - | 個別株投資を見限り、国際分散投資のインデックス投資を開始 |
2003年 | 12月 | 大和投資信託、直販サービス終了(以降、投資していたインデックスファンド「ダイワ投信倶楽部」シリーズが一般販売されなくなる) |
2004年 | 4月 | 野村ファンドネット証券、サービス終了(当時、投資していたインデックスファンド「PRUマーケットパフォーマー」シリーズが主要金融機関で購入不能に) |
7月 | インデックスファンド「MONEYKitスタンダード」シリーズ繰上償還 | |
2005年 | 8月 | ブログ「梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー(インデックス投資実践記)」開始、あわせて金融機関・証券取引所等への直接要望開始 |
2006年 | 6月 | 日経ビジネス アソシエ 7月11日号臨時増刊 掲載(初取材) |
10月 | ネット証券で初めて楽天証券が海外ETFの取り扱い開始 | |
2007年 | 1月 | マネックス証券、低コストなバランスファンド「マネックス資産設計ファンド」発売 |
eトレード証券(現SBI証券)に海外ETFを取り扱うようブログで直接要望を募る。多数の読者が行動を起こしてくれた | ||
3月 | セゾン投信、低コストなバランスファンド「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」発売 | |
4月 | 梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー、100万PV突破 | |
ダイヤモンド ZAi 6月号 掲載 | ||
5月 | 日経マネー 7月号 掲載 | |
6月 | eトレード証券(現SBI証券)で海外ETF取り扱い開始 | |
7月 | ブロガー仲間に声をかけてお会いする(以降、毎年不定期に「梅屋敷インデックス飲み会」と称してインデックス投資関係者と懇親会を開催) | |
9月 | ダイヤモンド ZAi 11月号 掲載 | |
10月 | 楽天証券に直接取材敢行、ブログで質問が多かった疑問点を解消 | |
2008年 | 1月 | インデックスファンド「STAMインデックス」シリーズ販売開始 |
日経トレンディ 2月号 掲載 | ||
ベスト投資信託ガイド 掲載 | ||
3月 | Yen SPA '08春号 掲載 | |
5月 | BIG tomorrow 7月号 掲載 | |
6月 | 梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー、500万PV突破 | |
7月 | ダイヤモンド ZAi 9月号 掲載 | |
8月 | BS11 「money cafe」 TV出演 | |
マネックス証券で海外ETF取り扱い開始 | ||
9月 | リーマン・ショックをきっかけに世界金融危機勃発 | |
バンガードが海外ETFに参入 | ||
2009年 | 1月 | 日本経済新聞1月1日特集 掲載 |
第一回インデックス投資ナイト開催 | ||
5月 | 「ウォール街のランダム・ウォーカー」著者のバートン・マルキール氏来日講演 | |
6月 | 新興国を含む全世界株式ETF「Vanguard Total World Stock ETF」(VT)日本上陸 | |
8月 | ダイヤモンド ZAi 10月号 掲載 | |
日経マネー10月号 掲載 | ||
9月 | 楽天証券、1000円からの投信積立サービス開始。すぐに、マネックス証券・SBI証券も続く | |
10月 | インデックスファンド「eMAXIS」シリーズ販売開始 | |
11月 | 月刊ニュートップL.創刊号 掲載 | |
ジョインベスト証券がサービス終了(野村證券に引き継がれるが、STAMシリーズなど低コストインデックスファンドは取扱廃止) | ||
第1回三菱UFJ投信ブロガーミーティングで意見交換・直接要望 | ||
2010年 | 1月 | 第二回インデックス投資ナイト開催 |
MSCIコクサイ、MSCIエマージング連動の国内ETF(1680・1681)上場 | ||
2月 | ドイツ証券、海外ETFに参入 | |
梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー、1000万PV突破 | ||
3月 | ダイヤモンド ZAi 5月号 掲載 | |
ドイツ証券海外ETF懇親会で意見交換・直接要望 | ||
第2回三菱UFJ投信ブロガーミーティングで意見交換・直接要望 | ||
4月 | インデックスファンド「CMAMインデックスファンド"e"」シリーズ発売開始 | |
7月 | 「STAMインデックス」シリーズが純資産拡大に伴い信託報酬値下げ | |
ブラックロック証券ブロガー向けセミナーで意見交換・直接要望 | ||
日経ヴェリタス7月18日号 掲載 | ||
8月 | ダイヤモンド ZAi 10月号 掲載 | |
9月 | 三菱UFJ投信、投資家アンケートの結果で要望1位の「eMAXIS 全世界株式インデックス」発売 | |
第3回三菱UFJ投信ブロガーミーティング開催 | ||
11月 | 野村インデックスファンド「Funds-i」シリーズ発売開始 | |
東京証券取引所意見交換会で国内ETFについて意見交換・直接要望 | ||
12月 | 山崎元氏との共著で「ほったらかし投資術 インデックス運用実践ガイド」上梓 | |
2011年 | 1月 | 第三回インデックス投資ナイト開催 |
2月 | ダイヤモンド ZAi 4月号 掲載 | |
日経マネー4月号 掲載 | ||
バンガードの海外ETF、コスト改定(大幅低下) | ||
3月 | 世界最大のETF「SPDR S&P500 ETF」(SPY)が東証に重複上場 |
(2011/03/08 【ザイ没ネタ】水瀬的インデックス投資の思い出年表 - 梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー(インデックス投資実践記)より
当時はメディア取材に浮かれており、やたらメディア掲載情報が多くて見づらく申し訳ないのですが、インデックス投資環境は、主要インデックスファンドの信託報酬の引き下げ、低コストインデックスファンドシリーズの登場、国内ETFの登場、海外ETFの登場など、ゆっくりとではあるものの着実に向上してきました。
(この勝手年表、個人的なメディア掲載履歴を削除しつつ、続きを作りたい…)
投信全体では、直近10年で主に制度面での拡充が続きました。
2004年の証券優遇税制が2008年、2010年に二度延長され、それが終わると、2014年にNISA(少額投資非課税制度)、2016年にジュニアNISA、そして2018年につみたてNISAが開始されました。
投資家の要望、投信各社の企業努力、金融庁のサポートなどによって、特に直近10年、投信の投資環境は格段に向上しました。
環境はほぼ整ったと言っていいでしょう。それを活用するかどうかは、投資家しだいです。
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