初年度の「つみたてNISA」が損益マイナスでもつみたてをやめない方がよい理由
水瀬ケンイチ

20~30代の若者の資産運用意識が高まってきたとの NIKKEI STYLE の報道です。
特に、少額投資非課税制度の「つみたてNISA」について、前回2017年12月に実施した調査では「知らなかった」と答えた人が7割にのぼったのに対し、今回は4割を下回ったとのことで、認知度が格段に上がりました。
とても良いことだと思います。
残念なことに、12月の国内外の株式市場の急落で、「つみたてNISA」1年目は損益がマイナスになったかたが多いかもしれません。私も2018年分の「一般NISA」は現時点で損益がマイナスです。
しかし、つみたてNISAは毎月一定額を積み立てていくので、ファンドの取得価格は、今後20年間にわたる投資期間で平準化されます。
言い替えると、「ファンドの取得価格は今後20年かけてつくっていくもの」であるとも言えます。
しかも、来年から、また「別枠」の積み立てがイチから始まり、それが20年間続くわけです。その後も、毎年毎年、イチからの別枠積み立てが20年間続きます。なんらかの非課税枠での運用は合計40年間にもわたります。
現時点の積み立て総額は、全体の20分の1に過ぎません。
だから、2018年に始めたつみたてNISAでの投資が、現時点で何%利益が出ていようが損失になっていようが、現時点ではあまり意味はありません。むしろ、投資初期に安値で仕込めたことは、でラッキーであるとも考えられるくらいです。
いちばん重要なのは、ここで積み立てをやめないことです。
つみたてNISA口座で損失状態のまま売却してしまうと、損失が確定してしまい、せっかくの非課税制度の恩恵に預かれないだけでな、通常の課税口座では可能な、利益と損失の損益通算もできないので、二重のダメージを受けてしまうことになります。
繰り返しになりますが、つみたてNISAにおいては、「ファンドの取得価格は今後20年かけてつくっていくもの」です。初年度の損益に一喜一憂する必要はないと思います。
私は一般NISAで運用していますが、売却するつもりはまったくありません。
来年も、「つみたてNISA」「一般NISA」「ジュニアNISA」という少額投資非課税制度をきっかけに、投資家デビューするかたが増えていけばいいなと思います。
投資の知識と経験は、若者のこれからの人生において、きっと役に立つことでしょう。
本日のまとめ。
初年度の「つみたてNISA」が損益マイナスでもつみたてをやめない方がよい理由
- ファンドの取得価格は今後20年かけてつくっていくもの
- 現時点の積み立て総額は、全体の20分の1に過ぎない
- 損失状態で売ると非課税制度の恩恵に預かれないだけでなく損益通算もできないので二重のダメージを受けてしまう
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