なぜ相場が下がっても放置すると儲けられるのか、その秘訣を教えてくれるコラム
水瀬ケンイチ

なぜ相場が下がっても放置すると儲けられるのか、その秘訣を教えてくれるコラムが、マネー現代に掲載されていたのでご紹介します。
日本株の「クリスマス暴落相場」で株を投げ売った素人投資家の末路(山崎 俊輔)
日本株市場では昨年12月のクリスマスの急落相場で、驚いて自分の証券口座にログイン、損失額に真っ青になった人の話題が持ちきりでした。しかし、これくらいの相場で焦っているようではあなたはまだ投資の初心者です。もしクリスマスに焦って保有株を投げ売ってしまい、その後の株価回復に唖然となったのなら、まさに最悪のトレードをしてしまったことになります。しかし、上がったり下がったりする相場でも、99%の確率で勝てる投資方法があるとしたらどうでしょうか。しかも「徹底的なほったらかし」でそれが実現できるとしたら? なぜ下がっても放置すると儲けられるのか、その秘訣をお教えしましょう。
詳しくは上記コラムをご覧いただきたいのですが、コラム執筆者山崎俊輔氏の趣旨をまとめると、以下の4点になるかと思います。
- 資産配分割合を検討することのほうが「銘柄選び」や「タイミング」より投資において重要
- 「短期的には値下がりする可能性があるが、中長期的には回復に転じプラスに至る」という部分で投資対象を信じる
- 国内外に分散投資をしたとしても短期的にマイナス20%くらいの値下がりは覚悟しておくべき。個別株であればその2倍
- 投資で勝ちたいなら下がっても「相場から降りない」
もう、そのとおり! そのとおりすぎて、首がもげるほどうなずきました!
資産配分の重要性、リターンの源泉の理解、リスクを数字で把握、バイ&ホールド(買い持ち)。まさに長期投資の要諦だと思います。
上記コラムの趣旨を、私なりの理解で勝手にサポートしてみます。
資産配分の重要性は、『国内追加型公募投信の資産分配型ファンドにおけるポリシー・アセットアロケーションの説明力は、(1)リターンの時系列変動に関しては約90%、(2)ファンド間のリターン格差に関しては約70%、(3)ファンド間のリスク格差に関しては約95%、(4)リターン水準に関しては約95%である』(「ポリシー・アセットアロケーションの説明力」小松原宰氏)をはじめ、世界中の研究結果と整合的です。
リターンの源泉は、私は資本主義経済の拡大再生産の力であると私は考えています。また、その力を取り出すために必要なのが平均回帰性の力だと考えます。これには長期間かかるため、バイ&ホールド(買い持ち)戦略が必然的に必要です。
リスクを数字で把握することは、人は一度最悪の事態を覚悟してしまうと逆に心が落ち着いてくるという「悩みを解決するための魔術的公式」(「道は開ける」デール・カーネギー著)を投資でフル活用できるため有用です。
(余談ですが、「道は開ける」は不安や悩みの解決法をまとめた人生訓として古典的名著ですので、悩みがちな方はぜひ読んでみてください)
年間の最大損失の目安を、具体的な数字(最大マイナス○○円、最大マイナス○○%)で知っておけば、ある程度の下げ相場でもやり過ごすことの一助となるでしょう。
どうりで自分の考え方にピッタリくると思ったら、途中で、山崎元氏と私水瀬ケンイチの共著「ほったらかし投資術」(朝日新聞出版)が紹介されていて、ありがたい限りです。
ただ、コラムではタイトルが「日本株のクリスマス暴落相場で株を投げ売った素人投資家の末路」、見出しが「20年後に99%勝てる投資の方法」など、表現が大げさなのが……。
実際には、2018年12月の日本株市場(日経平均)の下落率は10.45%(出所:日興アセットマネジメント MonthlyMarket 2019.1.7)で、たった1割の下落です。個別株で2倍やられても2割の下落です。信用取引さえしていなければ、株を売却したとしてもべつに「末路」というほどのダメージを受けるような相場ではありませんでした。
また、「20年後に99%勝てる投資の方法」として、20年の定期的な積立投資を行えば、ほぼ100%の確率で運用成績はプラスに終わるというグラフが、金融庁のつみたてNISAの解説資料に掲載されているとコラムには書かれています。
私は金融庁主催の説明会「つみたてNISA Meetup(つみップ)」に何度かゲスト出演させていただいています。20年の積み立てでほぼ100%プラスになるというそのグラフは、たしかにイベント開始当初は配布資料にありました。
しかし、回を重ねるごとに、同じくゲスト出演した山崎元氏から、「過去の重なり合う期間の限られたデータ内での現象」と批判され続けていて、最近のつみップの配布資料からは既に削除されているという事実をつけ加えさせていただきます。
コラム本文の趣旨は非常に納得感があるものです。
タイトルや見出しがやたら大げさなのは、察するに、コラム執筆者が書いた原稿に、マネー現代の編集者がPV稼ぎ目的で、煽り系タイトルや見出しを付けたものと推測します。
WEBメディアでは仕方のないことかもしれませんが、ここですすめられている投資法は、大げさなタイトルで煽るほどドラマチックな展開とは無縁の、地味~な投資法であるというのが実態だと思います。
<ご参考>
インデックス投資の具体的方法 8ステップ - 梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー(インデックス投資実践記)
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