米国株・米国ETFの配当・分配金に対する二重課税を外国税額控除で取り返そう!という米国株ブロガーの皆さまへ

水瀬ケンイチ

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東証マネ部に確定申告に関する記事が掲載されています。投資ブロガー的な観点で読んでみます。

知らずに損してない?確定申告すべきなのはこんな人 | 東証マネ部!

年が明けると、「確定申告」の文字がいたるところで目につきます...


上記の東証マネ部の記事では、確定申告しなければならない人として、

・ 給与の年間収入金額が2000万円を超える人
・ 給与を1か所から受けていて、給与以外に収入(給与所得、退職所得を除く)があり、その所得の合計が20万円を超える人
・ 給与を2か所以上からもらっている人
・ 災害減免法により所得税等の源泉徴収税額の徴収猶予や税金の還付を受けた人

また、確定申告した方が得な人として、

・ 医療費がたくさんかかった人(医療費控除など)
・ 一定の寄附やふるさと納税をした人(寄附金控除)
・ 災害や盗難などで損害を受けた人(雑損控除)
・ マイホームを購入、リフォームした人(住宅ローン控除)
・ 会社を退職した人
・ 年末調整での控除にもれがあった人

と解説されています。とても有用な情報です。ありがたや、ありがたや🙏

一般的には上記のケースを考えれば十分でしょう。ただ、投資ブロガー的にはもう少し補足をば。

近年、米国株ブログが人気です。勉強になるブログがたくさんあり、学ばせていただいています。

米国の個別株やETFに投資をすすめるブログ内容で、GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)がいい、いやFANG(Facebook、Amazon、Netflix、Google)の方がいい、いや高配当株(TやXOMなど)の方がいい、いやいや結局 S&P500 が最強ではないか?といった感じで検討や議論に勢いがあります。

私もインデックス投資のメイン商品として米国ETF(IVV、VT、VWOなど)にも投資しています。投資先進国である本場米国の超・低コストな金融商品の恩恵にあずかっています。

そして、米国株・米国ETFは配当・分配金に対する米国と日本の二重課税を取り返すことができるメリットがあるため、外国税額控除の確定申告を毎年行なっています。

米国株ブロガーさんたちも、外国税額控除を受けるために確定申告をしているかたがいらっしゃると思います。取り返せる分は取り返さなければもったいないですからね。

ただ、米国株ブロガーさんが外国税額控除のために確定申告をするならば、ブログの収入(Amazonアソシエイトや Google Adsense など)も申告・納税する必要があります。

上記の東証マネ部の記事のように、「給与を1か所から受けていて、給与以外に収入(給与所得、退職所得を除く)があり、その所得の合計が20万円を超える人」が確定申告しなければならないというのは事実ですが、たとえ給与以外の雑所得が20万円以下であっても、別の理由(たとえば、外国税額控除や住宅ローン控除など)で確定申告するのであれば、20万円以下の雑所得もしっかりと申告・納税しなければなりません。

自分の得になる都合の良いところだけを申告して、自分の損になる都合が悪いところは申告しないという「いいとこ取り」は残念ながらできません。

私は米国ETFの投資を始めた10年以上前から毎年、外国税額控除も申告していますが、少ないながらもブログ収入、近年では書籍の収入などもあわせて申告・納税しています。

もし、確定申告で外国税額控除を受けているにもかかわらず、ブログ収入を申告・納税していない場合、今は税務署に見つかっていなくても、いざ見つかった時に、①申告漏れ、②所得隠し、③脱税のいずれかを言い渡されてしまうおそれがあります。

そもそも、20万円以下の雑所得で確定申告が不要とされているのは、国に対する所得税だけで、地方税は申告が必要です。

私は常々、インデックス投資において、海外ETFへの投資は、情報の少なさや税務処理など様々な課題に直面した時に、自力で課題を解決できる知識と経験がある「玄人向け」で、そうでないかたはインデックスファンドなど投資信託への投資にしておいた方がいいと言ってきました。

近年はインデックスファンドの運用コストがどんどん下がってきており、昔と比べて海外ETFの低コストの優位性がだんだんなくなってきました。

そろそろ、海外ETFの確定申告の話もおしまいかなと思っていたところ、最近の米国株ブログのブームを見るにつけ、税務処理は大丈夫なのかなと(余計なお世話で)心配になってしまい、この記事を書きました。

米国株ブロガーの皆さまは、米国株・米国ETFの外国税額控除だけでなく、ブログ収入の申告・納税も行い、ゆめゆめ申告漏れの指摘など受けませぬようご注意ください。

他にも、たとえば、ふるさと納税をしてる節約ブロガーさんもまったく同じ構図です。寄附金控除の申告をするなら、ブログ収入も申告・納税する必要があります。

老婆心ながら、ぜひぜひお気をつけを。



※なお、税務処理は個々の置かれた環境によって必要な処理がまったく異なり、一般化するのが難しいことに加え、個別の税務アドバイスは法令に抵触するおそれがあるため、ご質問等にはお答えいたしかねます。予めご了承ください。

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Posted by水瀬ケンイチ