アジアの金融センターを担ってきた東証?

水瀬ケンイチ

日本を除くアジアの主要13市場合計の時価総額が、東京証券取引所を上回ったそうです。
近年、中国市場などが好調でしたから、実感としてよくわかります。

【NIKKEI NET 2006/12/09より引用】
株式時価総額アジア急増、13市場合計で東証抜く
 世界の株式市場の勢力図に変化が生じている。日本を除くアジアの主要13市場合計の時価総額は10月末で5兆9000億ドルと、東京証券取引所(4兆4000億ドル)を上回った。より有望な投資先を求める資金の流れが背景にあり、これまでアジアの金融センターを担ってきた東京市場に代わって中国、インドなどが存在感を高めている。

 アジア13市場の時価総額は2000年末からは約4.3倍に拡大。昨年末では東京にわずかに及ばなかったが、東京市場が年初からほぼ横ばいにとどまっているのに対し、アジア各市場は時価総額が33%増え、東京を引き離した。
【引用終わり】

昔から気になっていたことに触れていましたでの、そのことについて書いてみます。
それは、「アジアの金融センターを担ってきた東京市場」という部分です。
この記事だけでなく、新聞報道や国会討論など、いろいろなところで見かけるこの言い方。

アジアの金融センターを担っているって、具体的にどういうことなんでしょう?
だって、東証ではほとんど日本株しか売買されていません。
ほんの少しの外国株が東証に上場されていますが、現在たった25銘柄です(2006年12月7日現在)。それも、ここ数年は、東証上場の維持コストが割に合わないということで、東証からの撤退が相次いでいます。
http://www.tse.or.jp/data/oversea/frhistory.pdf

また、欧米の証券取引所などでは日本株のETFが買えますが、東証では海外ETFは買えません。

海外ETFの相互上場については、検討はしていると2001年から言ってはいますが、さて、いつになることやら。
http://www.tse.or.jp/cash/etf/teikei.html

「アジアの」と大上段に構える割には、その実態は、日本単体のみの証券取引所。
成長著しい中国や東南アジア諸国の株式には、まったく関係ないところで、自分で勝手に「アジアの金融センター」名乗っているだけではないでしょうか。
弱小個人投資家にこんなことを言われないためにも、東証にはがんばってほしいものです。

とはいえ、東証が何かしたからといって、いきなりアジアの企業が続々上場申請してくるとは思えません。
そこで、まずは手始めに、アジア市場の海外ETFを上場させてみてはどうでしょうか。
中国株、インド株など、日本人にも大人気の市場に連動するETF数本を目指して。
現在売れに売れているBRICs投信と比較して、格安の信託報酬になるはずですから、それなりに売買高が上がることが見込めます。
盛り上がってくれば、アジアの企業も勝手に上場申請してくるのではないでしょうか。

聞くところによると、香港の市場では、インド株のETFが買えるそうです。
東証に出来ない理由はないはずです。

「アジアの金融センター」復活を目指しましょう!
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Posted by水瀬ケンイチ