「こんなショボい詐欺話に引っかかるやつなんているのかよ!?」と思っても…
水瀬ケンイチ

仮想通貨の悪質業者が消費者庁によって公表されたそうです。
“仮想通貨でもうかる” 消費者庁が悪質業者を公表 | NHKニュース
「仮想通貨で簡単にもうかる」とうたってアプリの無料体験をさせたうえで、高額の使用料などを払わせていた業者について、消費者…
1日15分で最低3万円を確実に稼げる――。
消費者庁によりますと、この業者は、「1日15分で毎日最低3万円が確実に稼げる」などとうたい、自動的に通知される仮想通貨の交換会社を選ぶだけで利益が出るように見せかけたアプリの無料体験をさせたうえで、入会金9万8000円に加え、使用料などとしておよそ50万円を支払わせていました。
(“仮想通貨でもうかる” 消費者庁が悪質業者を公表 | NHKニュースより)
株式の市場平均であるインデックスは、ざっくり言って期待リターンは年率プラス5%程度しかありませんが、リスク(標準偏差)は約15%も引き受ける必要があります。
これは、1年後にはプラス5%の期待リターンを中心に、プラス20%~マイナス10%の範囲に約68%の確率でおさまり、プラス35%~マイナス25%の範囲に約95%の確率でおさまるという水準の確実性しかないということを意味します。
でも、これが平均的・標準的な投資の期待リターンとリスクの水準です。
一方、くだんの仮想通貨の悪質業者がうたっていた案件は、入会金と使用料の合計59万8000円を払えば、毎日最低3万円を「確実に」稼げるとのこと。甘めに見て、1年の営業日数が365日中245日だとしても、1年で735万円稼げるということになります。
それを59万8000円で割れば、元本に対して1229%。100%が元本ですから、プラス1129%。
〔{(30000円×245日)÷598000円}-1〕×100=1129%
この投資案件は、単純計算でリターンは年率プラス1129%です。しかもノーリスクで。
株式の市場平均の期待リターンとリスクの水準と比べて、桁違い(いや、3桁違い?)に有利な投資案件。もし本当なら、世界中の大金持ちが我先に殺到するはずですが、なぜかそうならずに、自分のところにだけこっそりと伝えられている。常識的に見れば、あからさまな詐欺案件だと判断できます。
「こんなショボい詐欺話に引っかかるやつなんているのかよ!?」と今は思います。
たとえば、「iDeCo」(個人型確定拠出年金)や「つみたてNISA」(少額投資非課税制度)の口座で、インデックス投資(インデックスファンドの積み立て投資)を実践している方々なら、同様の感想を抱くのではないでしょうか。
でも、いざ自分が高齢になったり、生活が苦しくなったり、あるいは酔っ払っている時に、今と同じ判断ができるかどうか。
正直、それはわかりません。なので、馬鹿にするのではなく、株式の市場平均という判断のモノサシを持ちつつ、他山の石としたいです。
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