ニッセイ基礎研が考える「株は長期的には値上がりが期待できる」理由
水瀬ケンイチ

「なぜ株は長期的には値上がりが期待できるのか?」という質問に、回答できるでしょうか。
いろいろな説明ができると思いますが、ニッセイ基礎研究所のレポートにひとつの回答例を見つけましたので、記録しておきたいと思います。
若いほど有利、時間を味方に付ける「積立投資」-若い世代の資産形成 Part2 | ニッセイ基礎研究所
若い世代は仕事の“伸びしろ”も大きい。一番大事なのは本業の仕事で「稼ぐ力」を高めることだが、シリーズ第1回に述べたような社会情勢の変化を考えると、「毎月1万円」などコツコツと投資する「積立投資」の併用が資産形成・資...
上記コラムの趣旨は、積み立て投資の有用性について書かれていますが、そのなかに、「株は長期的には値上がりが期待できる」理由について説明が書かれていました。
そもそも株式というのは(株式を組み入れいている多くの投資信託も同様)、短期的には値上がりと値下がりを繰り返すが、長期では値上がりが期待できる。
なぜなら、株式の適正価格(理論価格)は(1)自己資本(資本金や過去に稼いだ利益の蓄積など)と(2)将来の予想収益(現在価値に換算)の合計で決まる(図表1)。一般に企業は稼いだ利益の一部を自己資本に加算する。赤字が続かない限り長期的には自己資本が増えるので、株価も上昇するということだ。
(若いほど有利、時間を味方に付ける「積立投資」-若い世代の資産形成 Part2 | ニッセイ基礎研究所 より)
とても簡潔でよいと思います。
企業は利益の一部を自己資本に加算して、より良い(売れる)製品・サービスを生み出す事業を行います。その利益の一部を自己資本に追加して……という事業の繰り返しにより、株価が上昇するというわけです。
拙著「お金は寝かせて増やしなさい」では、これを「資本主義経済が拡大再生産し続ける仕組みだから」と表現しました。さらに、資本家と労働者の「豊かになりたい」という尽きない欲望をエンジンとして、今後も拡大再生産はグルグルと回り続けると書きました。
株の未経験者に、「なんで株って値上がりが期待できるの?」「上げ下げは半々じゃないの?」と素朴な(でもまっとうな)質問をされた時に、腹に落ちた自分の言葉で説明ができるといいですよね。
それは、下げ相場が来た時に、狼狽売りしないで耐える「胆力」にもなると思います。
※上記は長期投資における全体的な傾向の話であり、短期的には必ずしもあてはまりません。言わずもがなですが、投資判断は自己責任でお願いします。
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