なぜ、インデックス投資はマイナーなのかを考える (その2) 市場の要因
水瀬ケンイチ
前回の記事、
2006/12/14 なぜ、インデックス投資はマイナーなのかを考える (その1)
の続きです。
機関投資家の間ではメジャーなインデックス投資が、個人投資家の間でだけ、“超”マイナーな理由を考えてみます。
他のかたのブログでも、いろいろな要因が指摘されています。前回の記事のコメントでも、たくさんのご指摘をいただきました。ありがとうございます。
自分なりに、これが大きいんじゃないかなと思われる要因を考えて、(1)市場、(2)金融業界、(3)個人投資家の3つの面から整理してみました。
(1)市場の要因
○インデックスファンドができてまだ間もないから
日本では米国に遅れること10年、1985年にようやくインデックスファンドが誕生しました。
しかも、ずっと日経平均やTOPIXといった国内株式のインデックスファンドが中心で、国内債券、外国株式、外国債券のインデックスファンドの設定は比較的新しく、日本国内において確定拠出年金制度が導入された2001年以降に活発化してきました。
(出典:STANDARD&POOR'SのWEBサイト)
現在が2006年ですから、ひととおりの資産クラスのインデックス商品が揃ってから、まだ5年そこそこの歴史しかありません。
そりゃあ、インデックス投資はまだマイナーでしょう。
○バブル崩壊後10年以上、国内株式インデックスが下落し続けたから
上記のとおり、できて間もないインデックスファンドでありますが、国内株式インデックスだけは、20年そこそこの歴史があります。
しかし、その国内株式インデックスが、バブル崩壊以降、1989年をピークに、10年以上下落し続けたことは、誰もがご承知のことと思います。
2006年現在は、ずいぶん盛り返してきているとはいえ、その間、国内株式インデックス(だけ)に投資していた個人投資家は、大損を被ったはずです(僕も下落後期に損失をくらいました)。
その間、他の資産クラス(国内債券・外国株式・外国債券)は堅調であったのですが、その資産クラスに投資するまともなインデックス商品は、ほぼ存在しなかったわけです。
その時あったインデックス商品で、インデックス投資を試みた個人投資家は、未曾有のバブル崩壊の影響をモロにくらってしまったことでしょう。人によっては「インデックス投資うらめしや…」かもしれません。
そりゃあ、インデックス投資もマイナーになってしまうでしょう。
2006/12/14 なぜ、インデックス投資はマイナーなのかを考える (その1)
の続きです。
機関投資家の間ではメジャーなインデックス投資が、個人投資家の間でだけ、“超”マイナーな理由を考えてみます。
他のかたのブログでも、いろいろな要因が指摘されています。前回の記事のコメントでも、たくさんのご指摘をいただきました。ありがとうございます。
自分なりに、これが大きいんじゃないかなと思われる要因を考えて、(1)市場、(2)金融業界、(3)個人投資家の3つの面から整理してみました。
(1)市場の要因
○インデックスファンドができてまだ間もないから
日本では米国に遅れること10年、1985年にようやくインデックスファンドが誕生しました。
しかも、ずっと日経平均やTOPIXといった国内株式のインデックスファンドが中心で、国内債券、外国株式、外国債券のインデックスファンドの設定は比較的新しく、日本国内において確定拠出年金制度が導入された2001年以降に活発化してきました。
(出典:STANDARD&POOR'SのWEBサイト)
現在が2006年ですから、ひととおりの資産クラスのインデックス商品が揃ってから、まだ5年そこそこの歴史しかありません。
そりゃあ、インデックス投資はまだマイナーでしょう。
○バブル崩壊後10年以上、国内株式インデックスが下落し続けたから
上記のとおり、できて間もないインデックスファンドでありますが、国内株式インデックスだけは、20年そこそこの歴史があります。
しかし、その国内株式インデックスが、バブル崩壊以降、1989年をピークに、10年以上下落し続けたことは、誰もがご承知のことと思います。
2006年現在は、ずいぶん盛り返してきているとはいえ、その間、国内株式インデックス(だけ)に投資していた個人投資家は、大損を被ったはずです(僕も下落後期に損失をくらいました)。
その間、他の資産クラス(国内債券・外国株式・外国債券)は堅調であったのですが、その資産クラスに投資するまともなインデックス商品は、ほぼ存在しなかったわけです。
その時あったインデックス商品で、インデックス投資を試みた個人投資家は、未曾有のバブル崩壊の影響をモロにくらってしまったことでしょう。人によっては「インデックス投資うらめしや…」かもしれません。
そりゃあ、インデックス投資もマイナーになってしまうでしょう。
ただし、最悪期からインデックス投資を開始していても、ドルコスト平均法で投資し続けていれば、もうとっくにプラ転しているはずです。(タラレバですけどね…(^^ゞ)
○日本の株式市場は米国ほど効率的でないかもしれないから
インデックス投資が最も効率的と帰結する「現代ポートフォリオ理論」は、その前提として、「効率的市場仮説」が当てはまる必要があります。
効率的市場仮説とは、「ニュースや材料は全て株価に織り込まれており、株価は常に適正価格になっている」という考え方です。
語弊を覚悟でひとことで言えば、「全員が合理的に行動する!」という考え方だと僕は思っています。
この考え方は米国で発展してきましたが、投資が生活の一部になっている米国民であれば、みんながそれなりに合理的に行動するというのは分からんでもありません。
しかし、日本ではどうでしょうか。
まあ、機関投資家は、投資がお仕事なわけで、まあそれなりに合理的な投資判断をするものだと思います。
でも、僕を含めて個人投資家は、米国民ほど投資に対してこなれていない気がしますし、そもそも投資人口自体、まだまだこれから拡大していくであろうという段階ではないでしょうか。比較的、初心者が多そうです。
さらに、日本の株式市場の歴史をひも解くと、自然発生的に株式市場が成立してきた欧米主要国とは違うアプローチがなされてきたことが分かります。
つまり、官僚主導で、日本の高度成長に合致するように、時と場合によって、規制したり開放したり、また規制してみたりと、ずいぶんカスタマイズされてきています。
日本は、株式市場の健全性という観点で見ると「歪んだ株式市場」ではないのかと、個人的には考えております。
なお、この点については、下記参考記事に所見を書かせていただいておりますので、ご興味のあるかたはご覧ください。
(参考記事)2006/02/17 マイアセットアロケーションを肴に語る(その4) 高い外貨比率の理由
現代ポートフォリオ理論の前提になる、「効率的市場仮説」が怪しいと考えるのであれば、純粋な現代ポートフォリオ理論支持者であればあるほど、日本の株式市場ではインデックス投資をやりづらいはずです。
そりゃあ、インデックス投資もマイナーになってしまうでしょう。
ちなみに、僕自身は、日本株式には投資していますが、エマージング市場扱いと考えています。(異論反論はあるかもしれませんが、あくまで個人的な考えでそうしています)
もちろんこれ以外にも「市場の要因」はあるかと思いますが、個人的には上記の三点が大きいのではないかと見ています。
次回は、「金融業界の要因」について考えてみたいと思います。
(次回に続く)
○日本の株式市場は米国ほど効率的でないかもしれないから
インデックス投資が最も効率的と帰結する「現代ポートフォリオ理論」は、その前提として、「効率的市場仮説」が当てはまる必要があります。
効率的市場仮説とは、「ニュースや材料は全て株価に織り込まれており、株価は常に適正価格になっている」という考え方です。
語弊を覚悟でひとことで言えば、「全員が合理的に行動する!」という考え方だと僕は思っています。
この考え方は米国で発展してきましたが、投資が生活の一部になっている米国民であれば、みんながそれなりに合理的に行動するというのは分からんでもありません。
しかし、日本ではどうでしょうか。
まあ、機関投資家は、投資がお仕事なわけで、まあそれなりに合理的な投資判断をするものだと思います。
でも、僕を含めて個人投資家は、米国民ほど投資に対してこなれていない気がしますし、そもそも投資人口自体、まだまだこれから拡大していくであろうという段階ではないでしょうか。比較的、初心者が多そうです。
さらに、日本の株式市場の歴史をひも解くと、自然発生的に株式市場が成立してきた欧米主要国とは違うアプローチがなされてきたことが分かります。
つまり、官僚主導で、日本の高度成長に合致するように、時と場合によって、規制したり開放したり、また規制してみたりと、ずいぶんカスタマイズされてきています。
日本は、株式市場の健全性という観点で見ると「歪んだ株式市場」ではないのかと、個人的には考えております。
なお、この点については、下記参考記事に所見を書かせていただいておりますので、ご興味のあるかたはご覧ください。
(参考記事)2006/02/17 マイアセットアロケーションを肴に語る(その4) 高い外貨比率の理由
現代ポートフォリオ理論の前提になる、「効率的市場仮説」が怪しいと考えるのであれば、純粋な現代ポートフォリオ理論支持者であればあるほど、日本の株式市場ではインデックス投資をやりづらいはずです。
そりゃあ、インデックス投資もマイナーになってしまうでしょう。
ちなみに、僕自身は、日本株式には投資していますが、エマージング市場扱いと考えています。(異論反論はあるかもしれませんが、あくまで個人的な考えでそうしています)
もちろんこれ以外にも「市場の要因」はあるかと思いますが、個人的には上記の三点が大きいのではないかと見ています。
次回は、「金融業界の要因」について考えてみたいと思います。
(次回に続く)
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