アクティブファンドの運用コスト(信託報酬)の推移に異変あり!?

水瀬ケンイチ

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投資信託の運用コスト(信託報酬)の推移についての記事が、NIKKEI STYLE に掲載されているので取り上げます。

長期投資ならコストに注目 指数連動型は下がる傾向|マネー研究所|NIKKEI STYLE

汗ばむ陽気の週末の午後。筧家のダイニングテーブルでは良男と幸子がおやつにケーキを食べています。そこへ友人と出かけていた満が帰宅しました。ソファに座るなり、けげんな顔でタブレット端末の画面を見て首をかしげています。<FONTSMALL>筧(かけい)家…


詳しくは、上記コラムをご覧いただきたいのですが、そのなかで、投資信託の運用コスト、特に信託報酬について、過去10年のインデックスファンドとアクティブファンドの推移のグラフがあります。

これが「おっ」と思う内容になっていました。

過去10年の信託報酬の推移

当ブログをご覧いただいている読者の皆さまであれば、アクティブファンドの信託報酬は高く、インデックスファンドの信託報酬は低いことはご存知だと思います。

そのせいもあり、アクティブファンドの7~8割はインデックスに勝てないというのが古今東西の調査・研究結果として出ています。

しかし、上記の推移グラフを見ると、インデックスファンドだけでなく、アクティブファンドの信託報酬が、直近で、横ばいから微妙に下がりはじめているのです。

過去のブログ記事で、この手の信託報酬の推移グラフを取り上げた時には、アクティブファンドの信託報酬は年々上がり続け、インデックスファンドの信託報酬は年々下がり続け、両者の差はどんどん開いている形でした。

<関連記事>
2015/01/07 日本の投信の運用コスト、アクティブファンドはより高く、インデックスファンドはより低く - 梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー(インデックス投資実践記)より
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ところが、年々上がり続けていたアクティブファンドの信託報酬は、2015年頃の年1.5%弱をピークに上げ止まり、少しずつ下がり始めているように見えます。

これは、運用各社がインデックスファンドの信託報酬を値下げしたり、超・低コストインデックスファンドを新規設定したりした、いわゆる「投信コスト革命」の余波なのか。

それとも、金融庁から提言された「顧客本位の業務運営に関する原則」により、各金融機関がフィデューシャリー・デューティー宣言をして運用コストの適正性を見直したからなのか。

あるいは、分配金がたくさん出るように見せるための毎月分配型&通貨選択型&株式カバードコール戦略型&通貨カバードコール戦略型の「4階建て投信」のような複雑かつ高コストな投信が批判されたからなのか。

本当の要因はわかりません。いくつかの複合要因なのかもしれません。

いずれにしても、インデックスファンドだけでなく、アクティブファンドの信託報酬が下がることは、個人投資家にとってありがたいことです。

金融先進国である米国において、最大級のインデックスファンド運用会社であるバンガードでは、インデックスファンド・ETFだけでなく、じつはアクティブファンドも数多く運用されています。

バンガードのアクティブ運用の株式ファンドの平均経費率(≒日本の信託報酬)は、年 0.39%、債券ファンドの平均経費率は年 0.16%と低コストです(2016/06/30時点)。

<関連記事>
2016/10/16 米国バンガード訪問レポート(その2) バンガードの低コスト運用の秘密に直接迫る - 梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー(インデックス投資実践記)

将来のリターンは「不確実」であるのに対して、コストは「確実」にリターンを蝕みます。アクティブファンドも低コストである方が有利であることは言うまでもありません。

私もインデックス投資をベースにコア&サテライト戦略として、以前は、少量のアクティブファンドを保有していたことがあります。しかし、結果はインデックスを下回る散々なものでした。

現在は、アクティブファンドを保有していませんが、サテライト戦略として良い商品があればと探してはいます。今のところなかなかめぐりあえませんが、信託報酬が低いアクティブファンドが出てくれば、その中から投資に値すると思える商品が出てくる……かもしれません。

そんな淡い期待を抱かせてくれた、上記の過去10年の信託報酬の推移グラフでした。

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Posted by水瀬ケンイチ