インデックス投資はマイナーであるほうがよいが、過ぎてもいけない

水瀬ケンイチ

過去の記事、
2006/12/21 なぜ、インデックス投資はマイナーなのかを考える (その5) マイナーでいい
2006/12/27 しぶしぶ、インデックス投資の「本質的な問題点」を語る
において、「インデックス投資はマイナーであるほうがよい」という意見を述べさせていただきました。

これに対して、読者の方々から、賛否両論、たくさんのご意見をいただきました。
僕と同じインデックス投資家と思われる方々からも、厳しいご意見をいただきました。
その後、その方々とのコメントやトラックバックでの議論を通じて、考えがある程度まとまった部分がありますので、主張を少し修正させていただきます。

まず、インデックス投資という運用方法は、「フリーライダー問題」および「効率市場のパラドックス」という本質的問題を抱えており、メジャーになると有効ではなくなってしまう宿命を持っている。
だから、マイナーであるほうがよい。
ここまでは、いっしょです。

ただし、現状は、個人投資家にとっては、インデックス投資があまりにもマイナー過ぎて、需要が少な過ぎるため、個人投資家向けインデックスファンドが途中償還されたり、なかなかコストが下がらなかったりといった問題が、実際に起きている。(機関投資家向けはその限りではないが)
だから、マイナー過ぎてもいけない。

つまり、こういうことです。
「インデックス投資はマイナーであるほうがよいが、過ぎてもいけない」
(コメントいただいた旗風さんのご意見です。ありがとうございます)

さて、「マイナーであるほうがよいが、過ぎてもいけない」ということになってくると、「じゃあ、その均衡点はいったいどのへんなのよ?」という疑問がわいてきいます。
具体的には、「時価総額におけるインデックス運用比率」ということになるのだと思いますが、何割くらいがいいのかは、ちょっと僕にはわかりません。

参考までに、比較的効率的と言われている米国株式市場における、時価総額に対するインデックス運用の比率が、約30%といいますから、このあたりが、ひとつの参照点にはなるのではないでしょうか。
なお、日本においては、約5%(2003年3月時点)ですから、米国との比較で考えれば、「まだまだマイナー過ぎる」と言えるかもしれません。
(出典:ニッセイ基礎研究所) ※余談ですが、この数字、探すのに苦労しました…(^^ゞ

まだまだ、インデックス投資の頑張り甲斐がありそうです。
以下は完全に余談です。

僕は今まで、「インデックス投資はマイナーなほうがいい」とだけ考えていたので、自らブログでインデックス投資についてアレコレ書くということについて、なんとなく、心のどこかでちょっとした罪悪感のようなものを抱きながらブログを運営してきました。
まあ、僕のブログのような弱小個人ブログの影響なんて、マーケット全体から見たら、ゼロに等しいでしょうから、たいして気にはしていませんでしたが(笑)

ところが、「インデックス投資がマイナー過ぎてもいけない」ということになれば、僕がこのブログでインデックス投資についてアレコレ書くということに、罪の意識を感じる必要はないということになるではありませんか。

それどころか、読者の方々との議論のなかで、待ち人さんからいただいたご意見では、

インデックス投資がメジャーになる

市場が非効率となる

裁定余地が生まれ、アクティブ運用が利益を上げるようになる

アクティブ運用がメジャーになる

市場が効率的になる

裁定余地が薄くなり、アクティブ運用が利益を上げられなくなる

インデックス投資がメジャーになる

というような流れで、メジャーでもマイナーでもない均衡点に収束するのではないかと思うので、「効率市場のパラドックス」はあんまり気にしなくてもいい、と仰るではありませんか。
メジャーになり過ぎても、また勝手に均衡するというわけです。
(永久保存版でメモさせていただきます。(^^ゞ)

これらの考え方が、本当に正しいのかどうかはわかりません。
しかしながら、少なくとも、僕にとってこの議論は、このブログを続けていく大きな大きなモチベーションになりました。
コメント、トラックバックをいただいた、すべての方々に感謝いたします。
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Posted by水瀬ケンイチ