「2019年に投資すべき国ベスト20」に見る世界経済の多様性
水瀬ケンイチ

BUSINESS INSIDER JAPAN に「2019年に投資すべき国ベスト20」が掲載されています。
USニューズ&ワールド・レポート誌は、投資をするのに最も適した国ランキングの2019年版を発表した。世界の経済界における7000人以上の意思決定権...
「世界の経済界における7000人以上の意思決定権者が、起業家精神、経済の安定性、税制面での優遇など、8つの属性について各国を採点し、それに基づいて作成された」とのこと。
ここでいう「投資」は、単にその国の株式を買うという意味ではなく、ビジネスでその国に進出するというようなもう少し広い意味での「投資」だと思います。
それでも、世界の経済界7000人の意思決定者がどの国に投資妙味を見出しているのかは、いち投資家として気になるところです。ランキングを抜粋して見てみます。
「2019年に投資すべき国ベスト20」
1位 ウルグアイ人口:350万人
国内総生産(GDP):562億ドル(約6兆800億円)
GDP成長率:1.6%
2位 サウジアラビア
人口:3290万人
国内総生産(GDP):6838億ドル(約73兆9500億円)
GDP成長率:2.2%
3位 コスタリカ
人口:490万人
国内総生産(GDP):571億ドル(約6兆1800憶円)
GDP成長率:2.7%
4位 ルクセンブルグ
人口:60万人
国内総生産(GDP):624億ドル(約6兆7500億円)
GDP成長率:2.6%
5位 インド
人口:13億人
国内総生産(GDP):2兆6000億ドル(約281兆2200億円)
GDP成長率:7.0%
6位 ポーランド
人口:3800万人
国内総生産(GDP):5245億ドル(約56兆7300億円)
GDP成長率:5.1%
7位 カタール
人口:260万人
国内総生産(GDP):1676億ドル(約18兆1300億円)
GDP成長率:1.4%
8位 ベトナム
人口:9550万人
国内総生産(GDP):2239億ドル(約24兆2200億円)
GDP成長率:7.1%
9位 スロベニア
人口:210万人
国内総生産(GDP):488億ドル(約5兆2800億円)
GDP成長率:4.5%
10位 チリ
人口:1810万人
国内総生産(GDP):2771億ドル(約29兆9700億円)
GDP成長率:4.0%
11位 ニュージーランド
人口:480万人
国内総生産(GDP):2059億ドル(約22兆2700億円)
GDP成長率:2.8%
12位 ラトビア
人口:190万人
国内総生産(GDP):303億ドル(約3兆2800億円)
GDP成長率:4.8%
13位 マレーシア
人口:3160万人
国内総生産(GDP):3145億ドル(約34兆200億円)
GDP成長率:4.7%
14位 シンガポール
人口:560万人
国内総生産(GDP):3239億ドル(約35兆300億円)
GDP成長率:3.1%
15位 デンマーク
人口:580万人
国内総生産(GDP):3249億ドル(約35兆1400億円)
GDP成長率:1.4%
16位 ロシア
人口:1億4450万人
国内総生産(GDP):1兆6000億ドル(約173兆560億円)
GDP成長率:2.3%
17位 リトアニア
人口:280万人
国内総生産(GDP):472億ドル(約5兆1000億円)
GDP成長率:3.5%
18位 インドネシア
人口:2億6400万人
国内総生産(GDP):1兆ドル(約108兆1800億円)
GDP成長率:5.2%
19位 イタリア
人口:6060万人
国内総生産(GDP):1兆9000億ドル(約205兆4700億円)
GDP成長率:0.9%
20位 ブラジル
人口:2億930万人
国内総生産(GDP):2兆1000億ドル(約227兆1400億円)
GDP成長率:1.1%
(出所:2019年に投資すべき国ベスト20 | BUSINESS INSIDER JAPAN)
1位ウルグアイはどんな国?
1位が南米のウルグアイというのがなんとも意外な感じです。ウルグアイといえば、個人的には、サッカーのウルグアイ代表選手だったフォルラン選手がJリーグのセレッソ大阪に来てくれたときの大フィーバー(その後の活躍は…)くらいしか思いつきません。←ダメじゃん
そこで、ジェトロ(日本貿易振興機構)のWEBサイトでウルグアイを調べてみました。
1999年以降、ブラジル、アルゼンチンに続いて経済危機に見舞われマイナス成長を続けていたものの、自由開放的経済政策を進め、2005年には対外債務の返済につとめ、国際社会での信用も向上。順調に経済成長を続け、2010年には経済成長率7.8%を達成し、貿易多角化と投資誘致をしているたとのこと。
直近の2018年は、物価高騰(インフレ)に悩まされ、経済成長は小休止。ボトルネックになっているインフレ抑制、道路改修整備等に取り組んでいるそうです。
成長ののりしろが大きいと見込んでの1位なのかもしれませんね。
それにしても、ベスト20の国々は、人口60万人のルクセンブルクのような小さな国から、人口13億人のインドのような大きな国まで、GDP成長率もまちまちで実に多種・多彩です。
インデックス投資でカバーできるか
これらの国々にインデックス投資しようとしたらできるのか。主要な株式インデックスでのカバー状況を調べてみました(出所:MSCI指数ハンドブック)。■ MSCI World Index、MSCI Kokusai Index(先進国)
ニュージーランド(11位)、シンガポール(14位)、デンマーク(15位)、イタリア(19位)
■ MSCI Emerging Markets Index(新興国)
サウジアラビア(2位)、インド(5位)、ポーランド(6位)、カタール(7位)、チリ(10位)、マレーシア(13位)、ロシア(16位)、インドネシア(18位)、ブラジル(20位)
■ MSCI Frontier Markets Index(フロンティア市場)
ベトナム(8位)、スロベニア(9位)、リトアニア(17位)
■ インデックスのカバーなし
ウルグアイ(1位)、コスタリカ(3位)、ルクセンブルグ(4位)、ラトビア(12位)
おもしろいことに、1位のウルグアイ、3位のコスタリカ、4位ルクセンブルグなど、「2019年に投資すべき国ベスト20」上位の国々は、インデックスではカバーできません。だからこその「投資すべき国」なのかもしれません。
いま世界最大の米国や、日本だけに投資し続けていると、将来、世界経済の成長を取りこぼすことになるかもしれませんぞ。
最後に、BUSINESS INSIDER JAPAN の元記事には、ベスト20の国々のそれぞれに、異国情緒あふれる美しい写真が掲載されています。一度、元記事も見てみることをオススメします。
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