インデックスファンド・シリーズは「本数」ではなく「純資産総額」で良し悪しを評価したい
水瀬ケンイチ

日本でもインデックスファンドの純資産総額が伸びているようです。
低コストの「インデックスファンド・シリーズ」の新規設定が増えている。主にネット証券経由での資金流入で、この5年間で純資産総額(残高)は5倍以上に拡大した。積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNI
日本経済新聞の悪い癖なのですが、昔から投資信託の新規設定本数が増えることを「良いこと」として、逆に、新規設定本数が少ないことは「悪いこと」と報じるところがあります。本当は、本数ではなく、純資産総額が増えることこそが「良いこと」のはず。
「投信の新規販売が多いと良い」という発想をそろそろ変えたらどうか(2回目)
昨年、「投信の新規販売が多いと良い」という発想をそろそろ変えたらどうかというブログ記事を書きましたが、相変わらず、こんな報道が出ています。投信、NISA特需 16年ぶり5000銘柄超 公募の投資信託の銘柄数が16年ぶりに5000を超えた。少額投資非課税制度(NISA)が今年から始まったのに伴い、金融機関が積極的に初心者向けのファンドを投入している。投信が組み入れる資産も世界の株式や債券、通貨など多彩で、個人投...
冒頭の日本経済新聞の記事では、導入部分や図表では、相変わらず新規設定のインデックスファンド・シリーズの「本数」に引っ張られながらも、本文では、純資産総額にフォーカスを当てて、インデックスファンドが拡大している状況を解説しています。
日本には既に5,000本近い投資信託が存在し、現在も運用されています。
投資家としては、「本数」の増加は、投資先の資産クラスが拡大しているのであれば選択肢が増えるという面で歓迎すべき面もありますが、なかには、テーマ型などその時々の流行り廃りにまかせて粗製乱造された投資信託も多数残っています。
特に、インデックスファンドにおいて、同じ資産クラス(同じベンチマーク)の本数が増え続けることに、あまり意味はありません。結局同じベンチマークへの連動を目指すわけですから。
本数ではなく、純資産総額が増加していくことにこそ、意味があると思います。なぜなら、目指すべきリターンが同じ以上、純資産総額が増えれば、運用コストが下がる余地がうまれるからです。
運用会社各社の主力インデックスファンド・シリーズは出揃いました。今後は既存のインデックスファンドを大切に育てて、運用コストを下げながら純資産総額を増やしてほしいと思います。
P.S
投資信託市場におけるインデックスファンドのシェアが増えすぎることに対して、市場に与える悪影響の懸念を抱く意見がありますが、これについては別の機会にブログ記事を書きたいと思います。
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