短期投資家が安値で投げ売った株を、長期積み立て投資家が安値で拾っている
水瀬ケンイチ
新型コロナウイルスの拡大をトリガーに、世界中で株式市場で暴落が続いています。この「コロナ・ショック」で市場は悲観ムードにつつまれています。
そんななか、インデックスファンドの「eMAXIS」シリーズへの資金流入が加速しているという現象が起きています。

(“コロナ・ショック”の中で「eMAXIS」シリーズへの資金流入が加速、3月は月間流入額最高が視野| モーニングスターより)
「eMAXIS」シリーズは三菱UFJ国際投信が運用するインデックスファンドシリーズで、2019年12月には合計5000億円を突破しています。なかでも「eMAXIS Slim」シリーズは超・低コストかつ「業界最低水準の運用コストを、将来にわたってめざし続ける」と公表されており、ライバルファンドのコスト引き下げには対抗値下げをして、投資家から人気を博しています。
このようなインデックスファンドですが、ベンチマークであるインデックス(多くは市場平均)に連動するように運用されますので、市場の上昇でリターンを確実に得られると同時に、市場の下落のダメージもフルに受けます。
この「コロナ・ショック」で、特に、資産配分で100%株式に振っていた人や、ブル型ファンド・レバレッジ型ETFなどでレバレッジをかけていた人は大きなダメージを受けていると思います。私の保有資産もだいぶやられました。
このような暴落相場のなかで、インデックスファンドからは資金が流出しているのかと思っていましたが、意外や意外。上記グラフのとおり、資金流入は加速しており、20年3月には月間流入額最高が視野に入っています。
グラフの記事では、シリーズ59本のうち26本が「つみたてNISA」対象ファンドで、毎月安定して資金が集まりやすいことに加えて、20年3月は世界的に株価が急落する中で反転を見込んだ資金の流入も加わっているとみられると分析しています。
ボラティリティが激しすぎる個別株や、成績が悪いアクティブファンドから、資金が優良インデックスファンドへ移動しているのかもしれません。
暴落相場の時にインデックスファンド・ETFに資金が集まる現象は、2008年リーマン・ショックの時にも見られました。
市場は悲観ムードにつつまれていますが、そもそも市場で株式に価格(=株価)が付いていること自体、その価格で売る人と買う人が必ずセットで存在している証拠です。決して、全員が全員、売っているわけではありません。
今日は日経平均が1,000円以上下落したというニュースが流れてきました。下落の水準自体は「ああ、そうですか」という感想しかないのですが、気になるのはその報道内容です。...
上記のグラフと記事のように、これを機にインデックスファンドをコツコツと買い進めている投資家もいます。
短期投資家たちがギャーギャー喚き散らしながら安値で投げ売った株式を、長期積み立て投資家たちが粛々と安値で拾っている構図になっています。
保有資産の評価額が目減りして、ゆううつな気分になるのは仕方がありません。でも、自分のリスク許容度の範囲内で投資しているのであれば、暴落はピンチではなく、安値で仕込む絶好のチャンス。
むしろ、長い運用期間のなかで、リーマン・ショックやコロナ・ショックのような暴落が何度かあると、長期積み立て投資では将来のリターンをブーストすると言ってもいいくらいです。
下げ相場でモヤモヤした気分が続くことはうれしいことではありませんが、積み立てを続けながらこれを乗り切れば、将来のリターン向上につながるのだと私は考えています。
私は、今までもこれからも、所定の資産配分を守り、低コストなインデックスファンド等の積み立て投資を継続していくつもりです。
それでも、ちょっとしんどいな、売りたいなと思ってしまうインデックス投資家さんには、過去の下げ相場を乗り切ったときに活用してきた「売らずに我慢するテクニック」集が、何かの役に立つかもしれません。ご参考まで。
梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー(インデックス投資実践記) | 売らずに我慢するテクニック
インデックス投資家のための「売らずに我慢するテクニック」を集めました。下げ相場を乗り切りましょう。
※言わずもがなですが、投資判断は自己責任でお願いします。
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