「出口戦略」の情報はある! ないないという人は出口戦略と認識できないだけ
水瀬ケンイチ
「東証マネ部!」に「iDeCoや企業型DCは60歳・65歳時点で暴落があったらどうすべきか」という記事が掲載されています。
iDeCoや企業型DCは60歳・65歳時点で暴落があったらどうすべきか | 東証マネ部!
老後資金の準備として、iDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金...
詳しくは上記記事をご覧いただきたいのですが、無理やりまとめると、リタイア時期に暴落にあったら、受け取りを遅らせる、少しずつ取り崩す、そもそも受け取り時期が近くなったらリスクを抑えておく、という趣旨です。
これらは暴落の有無にかかわらず、確定拠出年金のいわゆる「出口戦略」のお話で、スタンダードな内容だと思います。
拙著「お金は寝かせて増やしなさい」でも、同様の出口戦略について書いています。
「出口戦略」という言葉はとても便利で、「ぜったい儲からなきゃヤダヤダ~!!」という投資家の本音を、きれいなオブラートで包んでくれます。「いかなる投資も常に出口戦略を考えて行われるべきだ」なんて言えば、なんだか知的な雰囲気まで醸しだしてくれます。
それもあって、口を開けば「出口戦略の情報がない」とぼやく中高年投資家がいます。
しかし、実際には、上記のような無料のネットメディアや書籍にも、定期的に出口戦略の情報は出ています。投資の古典的名著「ウォール街のランダム・ウォーカー
問題は、それらを中高年投資家が出口戦略だと認識していないというところです。
ぼやき続ける彼らの頭のなかでは、出口戦略とは「自分がリタイアする時に必ず儲かっている方法」であって、暴落はうまくやれば避けられるはずのものという認識になっているのかもしれません。
だから、暴落は避けられないという前提の出口戦略、つまり暴落が来たら取り崩し時期をズラしたり、少しずつ取り崩して回復を待つなどという方法は、出口戦略として認識できないのです。
しかし、それは「ないものねだり」だと思います。
私たち投資家がコントロールできるのは、コストと、せいぜいざっくりとしたリスクまでです。将来のリターンはコントロールできません。
それなのに、受け取り時期が近くなったらポートフォリオの株式比率を下げてリスクを抑えておくこと(リアロケーション)を、実際にやっている中高年投資家の話はあまり聞きません。
年金の受け取り時のことを考える程度にはもういい大人なのだから、いつまでもないものねだりで駄々をこね続けるのはいかがなものかと思います。
現実を受け入れ、スタンダードな出口戦略を着実に実行することが大切だと私は思います。
インデックス投資についてよく勉強されているかたは、「株価動向は予測不能」(ランダム・ウォーク理論)ということに概ね賛同しているかたが多いと思います。さらに、ランダムに動きながらも長期的には上昇する方向性を持つ(期待リターンがプラス)と考えていると思います。(この「ランダムなのに方向性を持つ」ということに納得できないかたはこちらの記事をご覧ください)だからこそ、いろいろなアセットクラスに分散したイン...
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