鶏を買った男と、株式ETFを買った男の話
水瀬ケンイチ
ある村の男が100匹の鶏を買いました。将来200匹、300匹と増やして売るためです。
庭で放っておいても親鶏は卵を産み、死んでしまう雛と無事大きく育つ雛がいながらも、均せば毎年100匹につき5匹くらい増えていきます。しかし、飼い主の男は「腹が減る」「鶏を飼ってる実感がほしい」といって、毎年親鶏を2~3匹食べてしまいます。
そんなことをくりかえして長期育成した結果、いつまでたっても鶏はなかなか増えなかったとさ。
おしまい。
さて、上記は架空のお話ですが、次は、Twitterで実際よく見かける投資初心者の男の話です。
ある投資初心者の男が株式ETFを100万円買いました。将来200万円、300万円に増やして売るためです。
ネット証券で放っておいても株式ETFは複利で増え、上がったり下がったりしながらも、均せば毎年5%くらい増えていきます。しかし、投資初心者の男は「生活に潤いを」「投資をしてる実感がほしい」といって、毎年2~3%払い出される分配金を、再投資しないでちょっとした贅沢に使ってしまいます。
そんなことをくりかえして長期投資した結果、いつまでたってもお金はなかなか増えなかったとさ。
おしまい。
資産形成期の投資家が、払い出された分配金を再投資しないで、ふわっとしたプチ浪費に使ってしまうことは、卵を産むはずだった親鶏を食べてしまうがごとく、将来の目標からどんどん離れていく所業であることがわかると思います。
鶏を買った男と株式ETFを買った男の2つの話はまったく別の話です。でも、増殖するペース(年率 +5%)とそれを目先の欲求のために台無しにするペース(年率 ▲2~3%)が、当たらずとも遠からずだと思います。
これら2つの話から得られる共通的な教訓。それは、目先の小さな損得にとらわれて、長期的な大きな目的を見失うことのないようにということ。自戒を込めて覚えておきたいものです。
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